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【弁護士監修】【要注意】相続放棄する場合、後悔してからでは遅い3つの注意点

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弁護士 古閑 孝 アドニス法律事務所

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更新日:2024年03月11日
【要注意】相続放棄する場合、後悔してからでは遅い3つの注意点のアイキャッチ

他の親族から相続を放棄するように言われた・・・

こういった事例をよくお伺いします。

例として、すでにお父様が他界。兄妹2人、お母様が亡くなられた場合の相続について考えてみましょう!

お母様と同居していた長男夫婦が、お母様の看病・介護などお世話をしていました。

その後、お母様がお亡くなりになったため、相続が発生。財産としては、自宅の不動産を相続することになったのですが、長男は自宅不動産に亡くなった母と同居していたため、妹に相続を放棄するように促しました。

妹は、長男にお母様の面倒を見てもらっていたため、了承してしまいました。

その後、何の手続きすることもなく相続に関する話し合いは一切行わずに一周忌を向かえることになります。

注意1. 口頭のみは法的に無効!3ヶ月以内に手続きが必要

この事例にある、長男が主張していた「相続を放棄する」ということは、お母様の財産だった自宅不動産については、「長男が自宅を全て相続するということに了承して下さい。」という主張でした。

本来の相続放棄は、

「相続放棄をしようとする相続人本人(=この場合は妹さん)、もしくはその代理人が、家庭裁判所に相続放棄をしたい旨を届け出し、裁判官の審理を経て行われる手続き」のことを言います。

相続放棄は、民法により定められており、自己のために相続の開始があったことを知った時から 3か月以内にしなければならない(民法第915条)。そして相続の放棄をした者は、その相続に関しては、初めから相続人とならなかったものとみなされるのです(民法第939条)。

注意2. 遺産分割協議においての相続分の放棄

今回の例における妹は、裁判所で相続放棄の手続きなどは一切していません。一方で、遺産分割について、妹は相続しない旨を了承はしていますが、遺産分割協議書などの作成は一切行っていません。

仮に、お母様の相続財産であった自宅不動産を第三者に売却しようとする時には、お母様の名義のまま、買主に直接名義を変更することはできません。まずは、遺産分割協議書をきちんと作成し、印鑑証明書を添付し、登記上の名義も変更する必要があります。

注意3. 相続放棄と遺産分割協議の大きな違い

亡くなった方(被相続人)の財産を相続しないという意味で「相続を放棄する」という言葉で表現する方も多いようですが、

相続放棄の手続きを行う場合と、遺産分割協議で相続分を放棄する場合では、結果が大きくことなることがあります。それは「負債(=債務・借金)」がある場合です。

相続をするということは、「不動産・証券・現金資産などのプラスの財産だけでなく、住宅ローンなどの負債のようなマイナスの財産も引き継ぐ」ことになります。

家庭裁判所で相続放棄の手続きを行うことによって、法律的には「相続人ではない」ということになります。したがって相続放棄をすれば、相続財産をもらうこともなくなりますが、借金の支払いをすることもありません。

今後一切の相続手続きに関わることはなくなり、債権者に対して、自分は相続人でないことを主張することができます。

借金など相続したくない場合に「放棄する」という選択肢を知っておこう

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不測な事態を回避しましょう

今回のような例では、遺産分割協議で相続人の一方が引き継いだ旨を示していたとしても、それは当事者間での口約束だけになってしまっていますので、債権者に対しては法律的に全く効力がありません。

仮に、相続財産を引き継ぐと主張した相続人が支払うことが出来なくなった場合は、債権者は法定相続分に従って、相続人それぞれに対して請求することが出来てしまいます。

相続争いに巻き込まれないために相続放棄したにも関わらず、法的には責任が及びますので、巻き込まれてしまう可能性があります。

よくドラマなどで親が亡くなりその借金で苦しむ設定などがありますが、相続放棄を裁判所で手続きを行えば回避することが出来ます。

このように、一概に「相続を放棄をする」と言っても、場合によっては大きな違いが出てしまうことがあります。少しでも思い当たることがある方は、是非とも弁護士などの専門家にご相談することをおすすめ致します。

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相続に強い弁護士

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古閑 孝 (弁護士)アドニス法律事務所

相続は、どなたにも身近で起きる出来事です、しかし、感情で揉めてしまったり話し合いで解決出来ないことも少なくありません。 相続時には色々なトラブル・悩みが発生するものです、私の40年間という弁護士経験のを元に事例や状況に沿って対処法を電話でも解説可能...

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