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【弁護士監修】親に勘当された(親子の縁を切った)まま親が亡くなった場合、相続はされるのか?

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弁護士 古閑 孝 アドニス法律事務所

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更新日:2019年03月29日
親に勘当された(親子の縁を切った)まま親が亡くなった場合、相続はされるのか?のアイキャッチ

勘当とは、法律的な効力などはあるのでしょうか。
「親子の縁を切ったまま」の方などは想像はどうなるのか
こちらで解説していきます。

1. 勘当とは何か法律上の意味合いはあるのか?

激しい親子喧嘩の末に「もうお前は勘当だ!」「こっちこそ、親子の縁を切ってやる!」という言い合いになることもあるかもしれませんね。ドラマで出てきそうなシーンですが、この「勘当」には何か法律上の意味合いがあるのでしょうか?答えは「NO」です。現在の日本には、法的な勘当の制度はありません。法律的には親子がどんなに仲が悪くても、最後まで親子であり、子供には相続権が発生します。

2.勘当の手続きはあるのか?

勘当とは、親が子供との縁を切りたい場合に使う言葉です。しかし1.に述べたように「勘当」には現在の日本の法律上、意味がありませんから、「勘当」の法的な手続きはありません。

3.子どもに遺産相続させないことは可能か

子どもを法的に勘当はできません。そしてどんなに仲が悪くても、法的に親子なので、子供に遺産相続させないことは、原則的に不可能です。

4. 「公正証書遺言」などを利用した場合

例えば、子供が2人いた場合、「そのうち1人だけに全てを相続させる」という内容で公正証書遺言(公証役場で公証人に作成してもらう遺言=公的に認められる遺言書)を遺しておくという方法です。

5.勘当などされていても貰える遺産がある?

公正証書遺言で、「子供Aには一切の財産を相続させない」と書くことは可能です。
けれども勘当された子でも、法的には親子であり、相続人です。
いくら公正証書遺言で「子供Aには、何も財産を渡さない」と書いておいても、その子Aには、法律が決めた最低限の相続分、遺留分があります。
そのため、子供Aが遺留分減殺請求をした場合には、やはりその分を相続させない、ということはできません。
なお、遺留分減殺請求は、子供Aが、自分の権利が侵害されているとわかった日から、1年以内に家庭裁判所に申し立てしないと、時効になります。

6. 相続廃除を申し立てた場合

公正証書遺言でも、子供Aの遺留分を取り上げることはできませんでした。
では推定相続人の廃除をした場合はどうなるでしょうか。これは民法892条に定められた、亡くなった方(故人・被相続人)の意思によって、子供Aの相続権を奪う制度です。
この制度は、ある条件を満たしていて、家庭裁判所が認めた場合に限り、子供Aが最低限受け取れるはずの「遺留分」の権利を否定する、というものです。
廃除の条件は、当該の子供から虐待された、重大な侮辱を受けた、子供に著しい非行があった、という場合であり、それもかなり重大な事案でないと、簡単には認められない傾向があります。

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7.まとめ

ここまで見てきたように「勘当してやる!」と親が怒るほど仲が悪くても、法律的には親子は親子。縁は切れません。つまり、よほどのことが無い限り、子どもは相続権を奪われないのです。
この子には財産をまったく渡したくない、というほど仲が悪い場合にも、遺言によって法定相続分ほどは与えずに済みますが、それでも法律で定められた相続人の最低限の権利である遺留分があります。推定相続人の廃除手続きは、かなり重大なケースでなければ認定されません。つまり勘当した子供に、何も渡さない、ということは、実際にはかなり難しいと言えるでしょう。
それでも、勘当した子の相続分をできるだけ減らすためには、公正証書遺言で「子供Aは、遺留分だけを相続する」と書いておくことが必要です。自筆遺言書では、小さなミスで、遺言書全体が無効になるケースが多いため、やはり公正証書遺言をすることをおすすめします。

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