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【弁護士監修】「相続放棄申述受理通知書」を無くした場合の対処法

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弁護士 古閑 孝 アドニス法律事務所

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更新日:2024年02月08日
「相続放棄申述受理通知書」を無くした場合の対処法のアイキャッチ

相続放棄申述受理通知書をなくしてしまった

私の両親は共に5年以上前に亡くなりました。どちらも、多額の借金があったため、私は父が死亡した時も、母が死亡した時も、弁護士に依頼して、きちんと相続放棄の手続きを行いました。

その際に、家庭裁判所から送られてきた相続放棄申述受理通知書は、大切な物ですから大事に保管して下さいと言われていたのですが、どうやら引っ越しの際に誤って紛失してしまったようで、どんなに頑張って探してもとうとう見つかりませんでした。

なぜこんなに慌てて探しているかと言いますと、5年以上も経ってから父と母が借りたというA社からしつこく督促の連絡がくるようになったからです。上記のとおり、きちんと相続放棄した旨を口頭で伝えましたが、受理通知書の原本を出してくれなければ認めないの一点張りで、職場にまで連絡がくるようになってしまい困っています。

相続放棄申述受理通知書は再発行できるのか?

結果から申し上げると受理通知書は、再発行出来ないようです。

では、上記のような債権者に相続放棄を受理してもらった証明を書面で出すことは出来ないでしょうか。でも、ご心配は無用です。『受理通知書』は再発行出来ませんが相続放棄申述『受理証明書』を発行してもらうことが出来ます。

この受理証明書は、相続放棄が認められた場合も自動で発行されるものではありません。相続放棄が認めれた後に、証明書が必要な場合に発行してもらうことが出来ます。

ですから、まさに本件のような相談者のケースでは、この証明書を発行して貰えば良いことになります。

証明書の発行は、相続放棄の申述の申立てを行った家庭裁判所に申請することになります。

インターネットからもダウンロード出来ますが、申請用紙に必要事項を記入して、収入印紙を(発行する証明書1枚につき)150円貼付し、返信用封筒を同封して提出するだけで大丈夫です。事件番号などを失念していても、問い合わせれば調べてくれるので,安心です。

本件のようなケース以外では、相続人の中に相続放棄をしている者がいる際の不動産登記の手続きなどで使用することが多いでしょう。

ですから、慌てる必要は全くありません。

借金の消滅時効期間

そもそも借金には、弁済期又は最後の返済から一定期間が経過すると消滅時効が成立します。いわゆる、時効というものです。

この期間は、貸主か借主のいずれかが商法上の商人であれば,商事債権として51年(商法522条)、いずれも商人でない場合には一般的な債権として10年です。(民法167条)

今回のご相談例は、両親が亡くなってから既に5年以上経過していますし、時効の起算点となる両親の最後の弁済日から考えても,A社は上記で言うところの商人であるため、そもそもこの借金は時効が成立しているとも考えられます。

ただし、時効期間が経過したからと言っても、自動的に借金が消滅する訳ではありません。消滅時効の『援用』をすることが必要です。『援用』とは、時効の利益を受けるということを相手に伝えることです。具体的に言いますと、消滅時効を援用するという旨の通知を,配達証明付きの内容証明郵便で郵送するという方法があります。

また、裁判で判決をとられていたり、差押え又は仮処分、債務の承認等が原因で時効が中断している場合がありますので、よく注意して下さい。

いずれにせよ、本件はきちんと相続放棄をしていらっしゃいましたので、時効の援用などする必要もなく、相続放棄申述受理証明書を発行してもらい、A社に送付し解決となりました。

まとめ:遺産相続に関する困りごとは弁護士へ相談を

今回のようなご相談は、マイナスも含め全ての遺産を相続する意思がないため、相続放棄を選択しています。

しかし、債権者の督促に応じて支払ってしまえば、相続放棄をしたことに矛盾が生じてしまいます。

相続放棄に関しては、法的要素が絡んでくるため非常に複雑です。

もし悩まれていたりご自身で解決が出来ない時は、すぐ弁護士に相談をしましょう。

法律のプロである弁護士なら、個々の状況に合わせて相談に乗ってくれるだけでなく、遺産相続で起きやすいトラブルを未然に防いでくれます。

相続に詳しい弁護士に事前に相談しておくのがおすすめです。

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相続に強い弁護士

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古閑 孝 (弁護士)アドニス法律事務所

相続は、どなたにも身近で起きる出来事です、しかし、感情で揉めてしまったり話し合いで解決出来ないことも少なくありません。 相続時には色々なトラブル・悩みが発生するものです、私の40年間という弁護士経験のを元に事例や状況に沿って対処法を電話でも解説可能...

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