父が亡くなり、車のローンを引き落としていた口座が凍結された

従前の判例では預貯金債権は法定相続分に応じて当然分割されると解されていましたが、昨年１２月１９日付最高裁大法廷決定において、預貯金債権も遺産分割対象とする旨の判例変更がなされました。
同決定の多数意見では口座振替の解約等について言及されていませんが、岡部喜代子裁判官補足意見において、口座振替契約の解約を行なう場合、処分行為として相続人全員で行なわなければならないとされます。
また、大谷剛彦裁判官他４名の補足意見において、緊急の必要がある場合には、相続財産中の特定の預貯金債権を当該共同相続人に仮に取得させる仮処分を行なう方法が挙げれられます。
したがって、上記補足意見を前提にすれば、遺産分割協議なくして口座の解約等を行なうことは困難であり、債務の支払いに関してはローン会社との交渉により特定の相続人が立替払いする方法がないとは言えません。
ただ、車も共有財産であり、使用者名義の変更は遺産分割なくしては困難でしょう。