預金の分割

Ｈ２８．１２．１９最高裁大法廷決定により預金も遺産分割対象とされたため、現在、法定相続分の払戻を含めて遺産分割が必要とされ、解約には相続人全員の同意が必要なため、直接の話し合いが難しければ遺産分割調停申立てが必要となる可能性があります。
もっとも、医療費等で緊急の必要性がある場合には、①金融機関によっては相当な範囲内で払戻に応じる場合もあるため、金融機関と協議頂くほか、②法的には、預金に関する仮処分という方法も不可能ではありません。
その他、③近々、単独での預金一部払い戻しを可能とする相続法改正も予定されていますので（現在国会審議中ですが）、調停等に時間を要する場合には法改正に基づく対応を検討する余地もあるでしょう。

＞亡くなった当時、相続財産は預貯金が800万円ほどしかなかったが、分割協議で揉めたため、長男としては解決案として、長女に長男名義の田畑を譲り、次女と三女には、現金を300万円ずつ、長男名義の預金から渡しているが、その後、預金を解約しようとした際に、協力が得られず、預金が今もそのままになってしまっています。

この時、遺産分割協議書の作成はされていないのでしょうか？
されていれば、遺産分割協議書の内容はどうなっているのでしょうか？
それにより対応が変わってきます。

上記の長男さんの行為が、遺産分割協議が正式に整っていないのに事実上行ったものでしたら、遺産分割協議をやり直す必要があります。
他の兄弟の方が協力してくれないのでしたら、家庭裁判所に遺産分割調停を起こすしかないでしょう。