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年末調整の「生命保険料控除」はいくら得するのか?生命保険の節税メリットは?

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更新日:2024年09月20日
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生命保険料控除というと、ご主人が年末調整で手続きをしてくれて「12月の給料振込がいつもより多くて良かった!」で終わっている方も多いのではないでしょうか?

しかし生命保険料控除をきちんと理解し手続きをすれば、更に還付金を受け取れる可能性も!

年末調整の時期になって焦るより、心の余裕がある、いまのうちに整理をしていただければと思います。

1. 控除の対象となる保険の条件

「一般の生命保険料控除」、「介護医療保険料控除」の対象となる保険の条件は、

保険金受取人を契約者または配偶者、その他の親族(6親等以内の血族と3親等以内の婚族)に指定している保険です。

※財形保険、保険期間が5年未満の貯蓄保険、団体信用生命保険は対象となりません。

医療保険、ガン保険、介護保険は、契約相手が損害保険会社でも、一般の生命保険料控除または介護医療保険料控除の対象となります。

「個人年金保険料控除」の対象となる保険の条件は、以下のすべての条件を満たし、「個人年金保険料税制適格特約」を付けた保険。

  • 年金受取人が契約者または配偶者のどちらかである
  • 年金受取人は被保険者と同一人である
  • 保険料払込期間は10年以上である
  • 年金の種類が確定年金や有期年金の場合、年金受取開始が60歳以降で年金受取期間が10年以上である

条件を満たしていない個人年金保険(例えば、一時払いで加入した個人年金保険)や変額個人年金保険の保険料は、一般の生命保険料控除の対象です。

また、災害入院特約や疾病入院特約などを付けている場合、特約部分の保険料は個人年金保険料控除の対象とはならず、介護医療保険料控除の対象となります。

2. 新旧制度があるのをご存知ですか?

生命保険料控除は納税者が一定の生命保険料、介護医療保険料及び個人年金保険料を支払った場合に一定の金額の所得控除を受けることですが、平成24年1月1日以後に締結した保険契約等に係る保険料と平成23年12月31日以前に締結した保険契約等に係る保険料では、生命保険料控除の取扱いが異なります。

①新契約(平成24年1月1日以後に締結した保険契約等)に基づく場合の控除額

年間の支払保険料等 控除額
20,000円以下 支払保険料等の全額
20,000円超 40,000円以下 支払保険料等×1/2+10,000円
40,000円超 80,000円以下 支払保険料等×1/4+20,000円
80,000円超 一律 40,000円

②旧契約(平成23年12月31日以前に締結した保険契約等)に基づく場合の控除額

年間の支払保険料等 控除額
25,000円以下 支払保険料等の全額
25,000円超 50,000円以下 支払保険料等×1/2+12,500円
50,000円超 100,000円以下 支払保険料等×1/4+25,000円
100,000円超 一律 40,000円

③新契約と旧契約の双方に加入している場合の控除額

新契約と旧契約の双方に加入している場合の新(旧)生命保険料または新(旧)個人年金保険料は、生命保険料又は個人年金保険料の別に、次のいずれかを選択して控除額を計算することができます。

適用する生命保険料控除 控除額
新契約のみ生命保険料控除を適用 (1)に基づき算定した控除額
旧契約のみ生命保険料控除を適用 (2)に基づき算定した控除額
新契約と旧契約の双方について

生命保険料控除を適用
(1)に基づき算定した新契約の控除額と(2)に基づき算定した旧契約の控除額の合計額(最高4万円)

いかがですか、ご主人はご加入している保険を正確に把握してきちんと年末調整で申告されていますか?

3. こんなときはどうなるの?

妻の保険も夫の年末調整で処理できる?

皆様が気付かずに放置されている一番多いパターンだと思います。

ご主人は会社員で生命保険料控除対象の保険にだけ加入していて、奥様は専業主婦で控除の対象となる個人年金保険に独身時代から加入しているケースです。保険料は結婚を機に現在はご主人が払っています。

毎年、奥様は個人年金保険料控除証明書を受け取られているのですが、ご自身は無収入で年末調整も確定申告もしていないので控除は関係ないと証明書を捨ててしまっています。

よくある話だと思いますが、前々項の「控除の対象となる保険の条件」を見直してください。

控除の対象となるには、「保険金等の受取人」が保険料負担者かその配偶者、または他の親族である必要はあるものの、「保険契約者」が誰かは問われません。つまり妻が契約者の個人年金保険を夫の個人年金保険料控除として年末調整等で手続きをしても構わないということです。

今まで申告してなくて悔しいと、お嘆きの皆さん、ご安心ください。

生命保険料控除の手続きは、給与所得者であれば、生命保険会社の発行する「生命保険料控除証明書」を「給与所得者の保険料控除等申告書」に添付し、勤務先に提出して年末調整で控除を受けます。 ※給与天引きにより保険料を払い込んでいる場合は「生命保険料控除証明書」の提出は不要です。

自営業者の場合は、翌年2月16日から3月15日までの所得税の確定申告において、「生命保険料控除証明書」を確定申告に添付して控除を受けるのですが、もし年末調整での処理をしなかった場合は、雑損控除や医療費控除とともに確定申告をして控除することができますし、確定申告も忘れてしまった場合、還付金の請求権の時効が5年間あります。その間であれば所轄税務署に所定の書類を持参し、生命保険料控除による税金の還付の請求をすることができます。

ただし、すでに確定申告を行った後で、生命保険料控除や医療費控除を忘れていて修正申告をする場合には1年間です。

パート(扶養)にとってはメリットがない?

よくパートをして扶養に入っている方の年収の壁が103万円だと言われます、これは103万円が所得税が発生しないぎりぎりの金額(給与所得控除65万円+基礎控除38万円)で、なおかつ

給与所得者の配偶者控除を受けれるぎりぎりの金額だからです。

※年収130万円を超えると夫の扶養から外れ、社会保険料が自己負担になる為に130万円は第二の壁と言われてます。

それでは所得税を払っていない方に生命保険料控除のメリットがないかというと、そんなことはありません。

例えば生命保険料で控除される分だけ多めに働いても所得税はかからないのですから10万円の控除が受けられるなら、113万円まで稼いでも所得税はかからないということになり、毎年、103万円の調整に苦労していたことが、ずいぶんと楽になります。

それと住民税に関してですが、一般的には年収98万円から課税されるようになるのですが(103万円だとかかる)、生命保険料控除を活用すれば住民税がかからなくなることもあります。

離婚した時も忘れちゃだめです

愛し合った夫婦も何かの行き違いで別々の道を歩むことになることも珍しくありません。

傷ついた心で生命保険料控除のことなんか考えられないでしょうが注意してください。ここでも受取人が重要となります。

例えばのケースですが、妻を生命保険金の受取人とする生命保険契約の保険料を毎月支払っていて5月に妻と離婚し、離婚後5月分の保険料を支払いました。その後、本年10月に保険金の受取人を離婚した妻から子に変更しました。

生命保険料控除の対象となる生命保険契約等とは、その保険金等の受取人のすべてが、自己又は自己の配偶者その他の親族であることが要件となっています。生命保険料控除の対象となる保険料等に該当するかどうかは、保険料等を支払った時の現況により判定することとされています。このケースの場合は、4月までの保険料を支払った時の保険金等の受取人は妻であり、10月以降は子となっていますので、1月から4月まで並びに10月~12月の分が生命保険料控除の対象となります。なお、5月から9月までの期間の保険料は、保険金等の受取人が離婚した妻であることから生命保険料控除の対象となりません。

4. 所得税以外の節税メリット

①個人の場合

相続税

生命保険には相続税の課税対象にならない非課税金額(相続税法第12条)があります。

500万円 × 法定相続人の数 = 非課税限度額

贈与税

直接的に贈与税の節税はできませんが暦年贈与に生命保険を活用することにより

結果的に相続税を圧縮することができます。

②法人の場合

生命保険に加入することで事業保障や役員退職金の準備といったことができますが

支払った保険料が損金扱い(保険料は保険の種類によって、全損、二分の一損金、四分の一損金、資産扱いなど、損金に算入できる経費の割合が異なります)になることから、それに応じて法人税の税額負担が軽減されます。

つまり、損金を計上することで法人税の負担を軽減し、その軽減分を社長や会社のお金として、積み立てておける効果があります。

まとめ

日本の国の税金は非常に細かく、難解で複雑です。しかし識者いわく、日本の税金は全ての国民から不満を持たせないように、できるだけ公平に税を徴収する芸術作品だそうです。

様々な控除もその芸術性の一部だと言えるのではないでしょうか?

税金の還付手続き等は面倒くさいとか、金額が少ないからどうでもいいとかで、放置される方が意外に多いようですが、せっかく還付できるように国が作ってくれたルールですから、是非とも有効活用されてください。

税務トラブルは早期に弁護士へ相談を

税務手続きは非常に複雑で、時に法的トラブルへ発展するケースも珍しくありません。

税務署の課税処分に不服がある場合、通常は所定の手続きを踏んで不服申立てを行うことになりますが、場合によっては税務訴訟を提起することとなります。

税務訴訟の手続きは非常に複雑で、専門知識や経験が求められます。トラブルの可能性を感じた早期の段階で、法律のプロである弁護士へ相談するようにしましょう。

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