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【弁護士監修】資産管理会社設立による相続税・所得税減税のメリット・デメリット

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弁護士 古閑 孝 アドニス法律事務所

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更新日:2018年12月29日
資産管理会社設立による相続税・所得税減税のメリット・デメリットのアイキャッチ

資産家である被相続人から莫大な財産を相続する場合、節税に迷うところではないでしょうか。今回は相続税の税率を乗じる直前の課税価格という財産の評価額を減らす方法としての資産管理会社設立によるメリット、デメリットについて紹介させていただきます。

資産管理会社設立による不動産の節税対策

父親が資産家で、息子に相続する場合についてみていきましょう。

父親(被相続人)が生前に土地を保有していたとします。息子が土地を相続すると相続税が課税されます。また、相続税は相続した財産から支払うということから、できるだけ相続税分の資金を父親の生前から蓄えておきたいものです。

そこで不動産を投資することにしたとします。

生命保険金は生命保険料を途中まで積み立てていますが、死亡前解約すれば解約金がおりてきます。父親が将来死亡したときに受け取ることになるであろう預金と生命保険金の解約金などを使って、父親が生前に土地の上にマンションを建てたとします。

マンション経営では賃貸収入が入ってきます。ですが父親の収入が増えることは、将来の相続財産のうちの現金も増えることになり、相続税が増えることになってしまいます。

そこで節税対策として、今注目を浴びているのが、資産管理会社の設立です。法人として設立します。今、法人の設立には資本金が1円あれば設立できるので相続税の節税対策として銀行もすすめているようです。

資産管理会社を相続税の節税対策として設立した場合のメリットをみてみましょう。

資産管理会社設立のメリット

将来の相続財産を使って、父親の生前に投資すれば、将来の相続税となる税額負担分が賃貸収入を配当のように相続人たちに分配できれば、相続人たちの相続税の負担が軽減されます。そこでおすすめが資産管理会社です。

資産管理会社という法人を設立せずに賃貸経営をすると所得税が課税されます。所得税だと賃貸経営にかかわる経費しか収入から控除できないのです。ですが、法人税は経費として認められるものが所得税よりも多額になります。法人だと所得税での必要経費よりも多くの経費を計上することができるので、毎年の税金が節税できるのです。資産管理会社を父親が設立したとします。マンションの賃貸収入には法人税が課税されます。

息子や親族に役員報酬として渡すことが出来る

息子の家族を役員にし役員報酬を支払うことで、役員報酬を必要経費(損金)として計上できる。そうすることで賃貸収入に課税される法人税が少なくなり、毎年の賃貸収入にかかわる税金の節税になります。

退職金や携帯代などが経費になる

経費を有効に活用することができる。社宅補助、法人名義の車の費用や維持費、役員の生命保険料、役員の退職金や、交際費・会議費・法人名義の携帯料金など法人でしか経費とならないものが経費となる

社会保険に加入することができる

法人の場合、社会保険(健康保険・厚生年金保険)に加入することができる。

その際、会社からの報酬や給与次第では、国民健康保険や国民年金より安くなります。

資産の生前贈与ができる

個人での不動産収入であれば、いったん個人所得として所得税を支払う必要があり、その後息子などに現金を贈与した場合贈与税が発生します。所得税と贈与税が2重で発生するのです。また、父親の手元に残しておいても将来の相続財産も相続時に現金のまま相続すれば相続税が課税されます。

ですが、法人を設立して役員報酬として支払った場合には、報酬を受けた息子の家族(役員)には所得税が課税されますが、相続税で一括で移転するよりも、生前贈与の節税効果があります。

例)毎年1000万円を贈与された場合と報酬として受け取った場合で比較すると、贈与税(一般贈与)だと231万円に対して所得税だと176.4万円と年間54.6万円節税になる。

※贈与税(特例贈与)だと177万円なので、孫の場合は特例贈与で贈与した方が約6,000円ほど少なくなりますが、20歳以上などの条件があります。

資産管理会社が保有した不動産の相続時のメリット

資産管理会社に父親の不動産を保有させた場合、資産管理会社の名義は父親になっています。

将来、父親が他界したとき相続人たちには賃貸経営をしているマンションと土地は相続財産になりますが、資産管理会社の所有にすることで、不動産として相続しなくても、会社の株式に変換して、相続人に分散して相続させることが出来るため、事実上、不動産の分割ができるということになります。

このときの株価の基礎となる不動産の価額は、相続税評価額で評価されます。ただし、資産管理会社設立から3年を経過している場合です。3年を経過していれば株式の評価は相続税評価額でできるからです。そうなると、実勢価額よりも低い価額で不動産の課税価格を設定できるので節税になります。

資産管理会社設立のデメリット

法人の維持費用が掛かり経理作業が発生する

毎年法人税や事業税などの税金を支払わないといけないので維持費用がかかることです。また、それに伴い経理が煩雑になってしまいます。

社会保険の事業負担が掛かる

役員報酬を支払うときの社会保険料は、経営者が半分支払わなければいけません。不動産から得られる賃貸収入が少額の場合は収入が目減りしていくことになってしまいます。

株式分散により経営で揉めることがある

相続人に株式が分散されることで、経営権をめぐり対立が起こることも予測されます。会社を承継したい相続人を決めておくことで回避出来る可能性が高くなります。

所得税を払いながら相続するということもできる

父親の生前中に、資金を生み出すという方法である賃貸経営は、資産管理会社を設立せずに、父親が相続まで所得税を支払い、相続時には小規模宅地の特例である貸付事業用宅地等によって、課税価格を50%減額できるということもできます。賃貸の収入状況が多い場合は法人税で毎年の税金を少なくすることがいいでしょう。ですが賃貸収入がそんなに多くない場合は、所得税と相続税の小規模宅地の特例での税額でも相続税の節税はできます。

まとめ

不動産をお持ちの方は、そのまま相続財産とするよりも、投資をして収入金額で相続税をまかなえるように、資産管理会社という法人を設立して法人税で節税できことがわかりました。

法人設立をせずに、所得税と相続税の組み合わせで節税をすることもできます。どちらの節税方法にするのかは、不動産の賃貸収入が土地の価額などを配慮することが必要です。迷われたときはぜひとも税理士にご相談ください。

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