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【弁護士監修】個人再生手続中の夫が他界したら借金は無くなる??

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弁護士 古閑 孝 アドニス法律事務所

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更新日:2024年02月13日
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借金を抱えた夫が他界したら?

負債(借金)を抱えた夫が癌になってしまいました。昨年から個人再生手続の申立をしており、債権者への弁済を開始していますが、万が一、夫が亡くなった場合、負債は無くなるのでしょうか?

こういったご質問をお受けすることがあります。

借金は個人に紐付いておりますので、その方が亡くなった場合、同時に無くなると思っている方もいらっしゃるかと思います。

上記のようなケースの場合、どうなるのでしょうか?

任意整理の一つ、個人再生手続とは?

まず、個人再生手続とは、借金の返済が厳しくなった人に対して返済負担額の圧縮と返済計画の立案を支援する平成13年からスタートした国の救済措置です。債務整理の方法は大きく分けると下の3つに分類されます。

その1 任意整理

任意整理とは、債務者と和解交渉して将来の利息を極力減らしてもらい、3年~5年の長期分割で返済していく方法です。

その2 自己破産

自己破産とは、裁判手続で自身の生活状況を説明した上で、最終的に借金を免除(法律的には「免責」と言います)してもらう救済制度です。

その3 民事再生(個人再生)

今回の相談者はこれに該当します。

民事再生とは、ちょうど任意整理と自己破産の中間的な役割の制度で、任意整理するのは難しいが諸々の事情で自己破産を避けたい方のために、一定額の借金を返済し財産も守れるというものです。

個人再生手続について、簡単に説明すると

住宅ローンなどを除く借金総額が5,000万円を超えない個人が、将来の収入から一定額(借金の20%程度)以上の金額を債権者に原則3年間で分割弁済する計画(再生計画案)を裁判所に提出します。そして、債権者の過半数かつ借金金額の半分を超える反対がなければ、裁判所は再生計画を認可するものとされています。(「小規模個人再生手続」といいます。)

その後、この再生計画案に従って上で定めた一定額の返済を完了すれば、残りの借金(借金の80%程度)が免除されるという制度です。

※個人再生手続には、「小規模個人再生」以外にサラリーマンなど一定の給与などで生計を立てている人は、債権者の反対の有無を問うことなく裁判所の認可を得られる「給与所得者等再生」手続も利用できます。

相続では、借金も財産に含まれます

今回のケースでは、借金があったご主人が個人再生手続をし弁済をしている間に他界した場合、借金をしている方が亡くなったので再生計画も無くなると思う方も多いかと思いますが、相続では「借金もマイナスの財産」として相続されます。

相続人は、再生債務者の死亡時の財産と債務を相続にて引き継ぐことになります。従って、再生計画に基づいた弁済義務は相続人にその義務が課せられるのです。そのため、残っている弁済金は相続人が継続して支払っていかなければなりません。

一旦、確定した再生計画は、債務者から裁判所に取消しの申立をし、それが裁判所に許可されない限り取消しになりません。

しかし、プラスの財産も相続しないのであれば、借金を相続しないという選択肢もございます。「相続放棄」です。相続放棄すれば、残ってしまっている弁済金の支払い義務もなくなりますが、プラスの財産などに不動産など価値の高いものがあった場合、損してしまう場合もございます。

遺産相続の困りごとは弁護士へ相談を

相続では「借金もマイナスの財産」として相続されます。
相続放棄という選択も一つの手ですが、法的複雑さを伴うため慎重に進めなくてはなりません。

そこで頼りになるのが「弁護士」の存在です。

法律のプロである弁護士なら、個々の状況に合わせて相談に乗ってくれるだけでなく、相続で起きやすいトラブルを未然に防いでくれます。

弁護士を選ぶ際は、トラブルの内容に精通しているかどうかや相談のしやすさ、説明の分かりやすさを意識しておくのが重要です。

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古閑 孝 (弁護士)アドニス法律事務所

相続は、どなたにも身近で起きる出来事です、しかし、感情で揉めてしまったり話し合いで解決出来ないことも少なくありません。 相続時には色々なトラブル・悩みが発生するものです、私の40年間という弁護士経験のを元に事例や状況に沿って対処法を電話でも解説可能...

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