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【弁護士監修】生命保険を活用した相続税対策。みなし相続財産とは?

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弁護士 古閑 孝 アドニス法律事務所

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更新日:2022年10月24日
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生命保険は相続税申告が必要なのか?

相続税を申告する際の相続財産には「本来の財産」と「みなし相続財産」があります。

故人が亡くなった際に、生命保険に入ってるケースも多いかと思いますが、生命保険は相続財産となるのでしょうか?

今回は、生命保険と相続税との関係について、下記のような相談に基いてお話したいと思います。

実父が昨年10月に死亡しました。

故人が、相続人のうちの一人を受取人として、多額の生命保険をかけていたことが判明しました。この死亡保険金は、相続税の申告が必要なのですか。

「みなし相続財産」とはどういう意味?

相続税の申告をする上では「相続財産でないものを相続財産とみなす」という、一見するととても迷惑な法律の条文があります。

相続税法では、亡くなった人が所有していた財産以外のものにも相続税を課税するという規定がしっかり設けられており、相続税が課税される財産には、亡くなった人の遺産である「本来の相続財産」と、相続税を申告する上では相続財産として計算しなければならない「みなし相続財産」の二つに分かれることになります。

例えば、「死亡保険金は、相続財産とみなす」という旨の規程がありますが、これがまさにみなし相続財産にあたります。

みなし相続財産にはどんなものがあるか

相続財産とみなされて課税されるものには、かなりの種類がありますが、実際に課税される主な例としては、「生命保険金」や「死亡退職金」の二つが挙げられます。

みなし相続財産の主な生命保険金の課税方法とは

皆様のご家庭では、生命保険に加入されている方も多いと思います。

そのほとんどは、一家の大黒柱である夫が契約者であり、且つ被保険者でもあり、妻か子供が受取人という契約が多いのではないかと思われます。

つまり、夫が保険料を払い込み、その夫が死亡したときに、妻か子供が保険金を受け取るという仕組みです。こうした契約に基づいて保険金を受け取った場合には相続税が課税されるのです。

死亡保険金にはどんな税がかかる?

「被保険者」を夫にしている生命保険でも、以下のように、保険料を負担している「保険契約者」と、その死亡保険金を受け取る「受取人」がそれぞれ変わると、課税される税金も異なってくるのです。

例)1 夫が保険契約者となって保険料を負担し、受取人を子供にした場合

例)2 妻が保険契約者となって保険料を負担し、受取人を子供とした場合

例)3 妻が保険契約者となって保険料を負担し、受取人を妻とした場合

上記の例に基づいて、それぞれをご説明致します。

例)1 夫が保険契約者となって保険料を負担し、受取人を子供にした場合

まず、1の場合には、上記でもご説明したとおり、子供が受け取った死亡保険金は相続財産とみなされ、相続税の課税対象となります。

例)2 妻が保険契約者となって保険料を負担し、受取人を子供とした場合

2の場合には、妻から子供へ保険金が譲り渡されたと考えるため、子供に対して贈与税が課税されます。夫が死亡したことによって支払われた保険金であっても、相続税の対象となるわけではありません。

例)3 妻が保険契約者となって保険料を負担し、受取人を妻とした場合

3の場合は、夫の死亡によって妻が死亡保険金を受け取りますが、保険料は受取人である妻自身が負担していたので、相続税でも贈与税でもありません。この場合は、自分から自分への財産移転と考えるため、妻に所得税(一時所得)が課税されることとなります。

要するに、生命保険に対する課税方法は、保険料を負担している者と受取人との関係で決まることになるのです。

しかし、生命保険金には非課税枠があります。

死亡保険金には相続税が課税される場合がある、ということは前述のとおりですが、保険金は遺族の生活保障という目的もあるので、全額に課税されてしまうということになってしまうのでは、非常に酷な話です。

そこで、死亡保険金は、一定の金額を非課税とすることにされています。

非課税とされる金額は、「500万円×法定相続人の数」となり、保険金の受取金額が非課税限度枠を超える場合にのみ、その超過額が他の相続財産と合算されて相続税の課税対象として計算されることになります。

例えば、法定相続人が、妻、長男、次男の三人の場合は、500万円×3人=1500万円までは課税されません。

因みにこの場合、1500万円という金額は、相続人全体に認められるため、妻と長男がそれぞれ1000万円ずつの死亡保険金を受取り、次男には受け取る死亡保険金が無かったとしても、非課税枠は上記と同じく1500万円となります。

法定相続人の数は、相続の放棄をした人がいても、その放棄がなかったものとした場合の相続人の数をいいます。また、法定相続人の中に養子がいる場合、法定相続人の数に含める養子の数は、実子がいるときは1人、実子がいないときは2人までとなります。

最後に

保険金非課税枠については、死亡保険金を被保険者の相続人以外の者が受け取った場合は、遺贈によってもらったものとみなされ、相続税の課税対象となり、この場合には、非課税枠は設けられていません。

相続税の申告は非常に複雑ですので、是非専門家にご相談下さい。

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