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遺産相続にかかる弁護士費用の目安とは?

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更新日:2021年03月24日
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遺産相続について相続人の間でもめているので弁護士に相談をしたり、場合によっては実際に色々ともめごとの解決をお願いしたいのだけれど、高そうだから手が出ない…。
 このように悩んで何とか自分で解決しようという方も少なくないのではないでしょうか。

 実際に弁護士に相談や事件処理の依頼をする場合はいったいどのぐらいの費用がかかるのでしょうか?
 弁護士費用の種類と、費用の目安について詳しくみていきましょう。

遺産相続にかかる主な弁護士費用

ではまず、弁護士費用の種類についてみていきましょう。
弁護士費用については各弁護士が設定しますので、一律の金額というわけではありません。しかし目安は存在します。目安については後述します。

遺産相続にかかる主な弁護士費用は「着手金」と「報酬金」です。
まずは着手金と報酬金について詳しくみてみましょう。

①着手金
 事件を依頼した時(事件に着手する前)に支払う費用です。
 事件の結果に関わらず返還されることはありません。つまりは事件が不成功だったとしても着手金は返ってきません。
 基本的に着手金は一括払いで支払うことになりますが、高額になることがあるため相談をすれば分割払いにできる事務所もあります。

②報酬金
  事件が成功した場合に、事件が終了した時に支払う費用です。
  一部成功した場合も含まれますので、成功の度合いに応じて支払います。
  例えば裁判で全面敗訴など、全くの不成功だった場合には支払う必要はありません。

 その他必要に応じて支払う弁護士費用についてもみていきます。
 ③相談料
  弁護士に法律相談をする際に必要な費用です。
  目安としては30分5,000円で、弁護士事務所によっては初回の相談を無料で受けているところや、有料で相談を受けた後事件の依頼をした場合に相談料を無料にしてくれるところもあります。

 ④手数料
  事件の当事者間に争いのない事務的な手続きをする際に必要な費用です。
  例えば
   ・裁判所への申立費用
   ・遺言作成
   ・遺言執行
   ・契約書作成
   ・登記
   ・会社設立
  などを依頼した場合に必要です。

 ⑤実費
  事件処理に必要な費用のことです。
  例えば
   ・収入印紙や切手代(裁判や調停の申し立ての際に裁判所に納めるものなど)
   ・記録謄写費用(コピー代のこと)
   ・保証金(仮処分の保証金など)
   ・鑑定料(書面による法律上の判断又は意見の表明に対して支払うもの)
   ・調査費用
   ・通信費
   ・日当、旅費、宿泊費(遠方に出張しなければならない場合などに発生する費用。日当については弁護士が事務所以外の場所で時間的に拘束される場合に発生する費用のことで、裁判所に出廷する場合に支払う「出廷日当」や出張する場合に支払う「出張日当」がある。)
  など事件解決の為に実際にかかった費用を、事件終了後に支払うことになります。

 ⑥顧問料
  顧問契約を結んで、その契約に基づいて継続的に行われる法律相談や法律事務に対して毎月支払う費用のことをいいます。

弁護士費用は日本弁護士連合会の報酬規定が目安

 以前は弁護士費用について日本弁護士連合会が基準を定めていました。これは「旧報酬規定」と呼ばれています。
旧報酬規定が2004年に廃止されて以降は弁護士が自由に依頼者と相談して報酬を決めることができるようなりましたが、現在でも旧報酬規定をもとに弁護士費用を設定している弁護士や法律事務所が多いため、旧報酬規定は弁護士費用の目安として使うことができます。
相続に関わる弁護士費用の旧報酬規定をまとめましたのでチェックしてみましょう。

日本弁護士連合会の報酬規定(旧報酬規定)

法律相談等
相談料 初回市民

法律相談料

30分ごとに5,000円から1万円の範囲内の一定額
一般法律相談料 30分ごとに5,000円以上25,000円以下
鑑定料 複雑・特殊でないときは10万円から30万円の範囲内の額
民事事件(訴訟事件)
着手金 事件の経済的利益の額が

300万円以下の場合…経済的利益の8%
300万円を超え3,000万円以下の場合…5%+9万円
3,000万円を超え3億円以下の場合…3%+69万円
3億円を超える場合…2%+369万円

※事件の内容により、30%の範囲内で増減額することができる
※着手金の最低額は10万円

報酬金 事件の経済的利益の額が

300万円以下の場合…(経済的利益の)16%
300万円を超え3,000万円以下の場合…10%+18万円
3,000万円を超え3億円以下の場合…6%+138万円
3億円を超える場合:4%+738万円

※事件の内容により、30%の範囲内で増減額することができる

調停事件及び示談交渉事件の着手金・報酬金 訴訟事件に準じる。ただし、それぞれの額を3分の2に減額することができる
※示談交渉から調停,示談交渉または調停から訴訟その他の事件を受任するときの着手金は,訴訟事件又は手形・小切手訴訟事件の額の2分の1

※着手金の最低額は10万円

裁判外の手数料
法律関係調査 基本 5万円から20万円の範囲内の額
特に複雑又は特殊な事情がある場合 弁護士と依頼者との協議により定まる額
遺言書作成 定型 10万円から20万円の範囲内の額
非定型 基本

経済的な利益の額が

300万円以下の場合

…20万円

300万円を超え3,000万円以下の場合

…1%+17万円

3,000万円を超え3億円以下の場合

…0.3%+38万円

3億円を超える場合

…0.1%+98万円

特に複雑又は特殊な事情がある場合

…弁護士と依頼者との協議により定める額

公正証書にする場合 上記の手数料に3万円を加算する。
遺言執行 基本 経済的な利益の額が

300万円以下の場合

…30万円

300万円を超え3,000万円以下の場合

…2%+24万円

3,000万円を超え3億円以下の場合

…1%+54万円

3億円を超える場合

…0.5%+204万円

特に複雑又は特殊な

事情がある場合

弁護士と受遺者との協議により定める額
裁判手続きを要する場合 遺言執行手数料とは別に,裁判手続きに要する弁護士報酬を請求できる
その他報酬
顧問料 事業者の場合 月額5万円以上
非事業者の場合 年額6万円(月額5,000円)以上
日当 半日(往復2時間を超え4時間まで) 3万円以上5万円以下
1日(往復4時間を超える場合) 5万円以上10万円以下

「経済的利益」とは、特に定めのない限り着手金は事件等の対象額を、報酬金は確保した利益の額をそれぞれ基準として算定することになります。
例えば、裁判で1,000万円の請求をして700万円の一部勝訴判決を得た場合に、着手金の経済的利益は1,000万円、報酬金の経済的利益は700万円となります。
 相続の場合は遺産分割について弁護士に依頼することが多いのではないかと思いますが、遺産分割の経済的利益というのは「依頼者の相続財産の時価相当額」となります。

 あくまで旧報酬規定は目安で、実際は弁護士や法律事務所が弁護士報酬を決定しています。そのため例えば相談料については前述したように初回無料の事務所も存在しますし、着手金は30万円と固定している事務所もあります。
旧報酬規定は複雑でわかりにくくなっていますので、実際に着手金を20~30万円、報酬金を経済的利益の〇%と定めているところが増えてきているようです。しかし、そうなると旧報酬規定よりも高額になる可能性もあります。
 弁護士報酬については必ず依頼する弁護士や法律事務所に確認をしておきましょう。

 弁護士や法律事務所選びについては、まず無料相談を利用してみてはいかがでしょうか。
 依頼するところによっては依頼を受けたいがために『勝てますよ』というところもあれば、依頼者のためを思って『勝てませんよ』というところもあります。勝てると言われたほうが嬉しいのは確かですが、勝てなければ高額な弁護士費用を支払うだけになってしまいます。少なくとも着手金は払わなければならないのです。
 数ある弁護士や法律事務所から自分にあったものを選ぶために、いくつか相談してみると良いかもしれません。
 相談する時のポイントとしては
  ・どの位相続分がもらえるのか
  ・弁護士報酬はいくらになるのか
 という点を全ての事務所に聞いておくと比較がしやすいのではないでしょうか。

まとめ

 弁護士費用については一律ではなく、弁護士や法律事務所によって料金が設定されています。
 しかし、以前日本弁護士連合会が定めていた弁護士費用の規定である旧報酬規定を基準にして弁護士費用を定めている事務所が多いため、旧報酬規定を目安にすることができます。

相続に強い弁護士

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相続相談弁護士ガイド 編集部

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