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【弁護士監修】在日韓国人・朝鮮人の相続は、どちらの国の法律が適用される?

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弁護士 内藤 政信 優和綜合法律事務所

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更新日:2024年03月28日
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在日韓国人の方など相続が発生した場合、どちらの法律が適用されるのでしょうか。
今回は韓国と朝鮮の2つの国で国籍を持つ方向けの相続についてお伝えします。

在日韓国人の場合

生活の本拠地は日本にあるが、国籍は韓国にある場合に、死去したときの相続は、日本の法律で処理するのか、韓国の法律で処理するのか。という問題が生じます。

これを解決する基準となる法律が、日本の国際私法である「法の適用に関する通則法」です。その36条には、

「相続は、被相続人の本国法による。」

と定められています。

したがって、韓国の法律が適用されるのが原則です。

しかし、韓国の国際私法49条1項は、日本と同じように本国法によるとの定めがありますが、2項では、遺言により所定の相続の準拠法を指定した場合は、その法によることを定めています。

これによれば、「私は、常居所地法である日本法を相続準拠法と指定する」旨の遺言を作成しておけば、日本の相続法が適用されることになります。

遺言について

「遺言の方式の準拠法に関する法律」により、在日韓国人は、日本で、日本の方式により遺言書を作成することが可能です。

その場合、日本法を相続準拠法と定めておかなければ、韓国法の適用になるが、日本法を相続準拠法と定めておけば、日本人となんら変わらなくなります。

遺産分割の争いも、日本の家庭裁判所で行うことになります。

また、韓国法が適用される場合でも、遺産分割協議がまとまらない場合は、日本の裁判所に管轄権があると考えられており、家庭裁判所に、調停を申し立てることになります。もちろん、分割に際しては韓国法を適用して解決します。

上記の通りですので、遺言書を検認手続が不要な公正証書で作り、日本法を準拠法として定めておくことが、一番良いと方法ではないでしょうか。

韓国相続法について

相続法の構成については、日本法と似ています。内容については異なる面もいくつかありますが、日本法が理解されていれば、理解できる範囲でしょう。

異なる面についての詳細は、次の機会に触れていきます。

相続登記について

相続登記が必要な場合、必要な書類は以下の通りとなります。

  1. 韓国戸籍謄本及びその日本語訳文
  2. 法定相続人全員の家族関係証明書及びその日本語訳文
  3. 被相続人の閉鎖外国人登録原票記載事項証明書
  4. 相続人の住所証明書
  5. 相続人全員の印鑑証明書
  6. 遺産分割協議書
  7. 相続関係説明図
  8. 固定資産税評価証明書など

上記の多くは、公正証書を作成する場合や、調停申し立てをする場合にも必要になるが、日本人の場合も、同じような書類を収集して、公正証書を作成したり、調停を申し立てていますが、韓国の戸籍システムや韓国語の理解が必要になるから、大変なことが予想されます。

相続税の申告・納税について

被相続人の遺産が、日本以外の国にもある場合は、それぞれの遺産がある国の税法によって計算され、それらの国で納税します。仮に、二重課税が生じた場合は、二重部分を控除して納税します。

在日朝鮮人の場合

日本の法適用に関する通則に相当する北朝鮮対外民事関係法45条では、

「北朝鮮を本国法とする在日」が死亡した場合、不動産相続には、財産の所在する国の法を、動産相続には、被相続人が最後に住所を有していた国の法が適用されるから、結局、日本法が適用されることになる。

韓国の場合は、日本法で手続する場合には遺言書が必要であったが、北朝鮮の場合は、それが不要である。

ただし、相続人が北朝鮮にいる場合、遺言書を作るにせよ、調停を申し立てるにせよ、住所や相続関係を証明する資料を入手するのに、朝鮮総連の協力が必要で、時間がかかりそうである。

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内藤 政信 (弁護士)優和綜合法律事務所

第一東京弁護士会所属 当事務所は錦糸町で30年以上の弁護士経験を誇る弁護士が設立した事務所です。豊富な経験に基づく適切な事件解決と依頼者への親身な対応で地域の皆様からご好評をいただいております。

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