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相続に詳しい弁護士とは?

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更新日:2023年11月14日
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 相続の手続きは様々にわたり、その一方で期限が決まっています。相続税の申告・納税期限が、相続開始から10か月と決められているためです。
 親しい人を亡くした喪失感を抱えて日常生活を送るだけが精いっぱいのところで、相続の手続きを漏れなくするのは難しいことです。
 そこで相続がおきたら、まずは相続に詳しい弁護士に相談するのが賢明でしょう。ではどうやって相続に詳しい弁護士を見つけられるか。今回は相続に詳しい弁護士の見分け方についてお伝えします。

1. 相続に詳しい弁護士の特徴は?

 弁護士は難しい司法試験に合格した法律のエキスパート。だから弁護士ならば、全員同じように、全ての法律関係を知っていて、どんな内容でも対応できるのだろう、と思っていらっしゃるかもしれませんね。実は弁護士には「専門」とまではいかなくとも、扱う案件内容に得意、不得意があります。例えば企業買収が得意な弁護士に、相続問題を頼んでも、お互いに納得のいく良い結果が出るとは限りません。つまり、頼む弁護士によって、相続の結果が違ってしまうこともあり得るのです。
 相続で納得のいく結果を得たい場合には、やはり相続問題に強い弁護士に相談し、依頼することが大切です。ではどうやって、その「相続問題に強い弁護士」を探せばいいのでしょうか。ここでは相続問題に強い弁護士の特徴と見分けるポイントをお伝えします。

1.経験と実績、さらに知識が豊富

何よりも大切なことは、その弁護士が相続問題について豊富な経験と、実績を持っていることです。
そこで実際に電話や対面で相談する前に、目当ての弁護士のホームページで、その弁護士が年間に何件くらい相続問題を取り扱っているか、また相続問題を担当してどのくらい経つのかを、まず調べましょう。
さらに相続問題に関する著書がある場合は、知識が豊富なことがわかります。またホームページ本体やブログに相続関係の記事が多く書かれている場合は、相続問題に力をいれていることもわかります。こうした点が、相続問題に強い弁護士を見抜く際のポイントになります。

2.熱意と誠実さが感じられるか

 担当する弁護士が、相続問題に熱意をもって取り組む姿勢があるか、も重要なポイントです。片手間で担当され、後からトラブルになったら、せっかく弁護士に依頼する意味がありません。再び弁護士のホームページをよく見ましょう。
 弁護士によっては「お客様(=依頼者)の声」を掲載している場合があります。そこから弁護士の熱意や人柄などを伺えます。
 ホームページ内にコラムやブログがあれば、そこで最新の情報を解説しているか、最近手掛けた相続問題について書いているかを確認してください。「いろいろな人に、難しい法律問題をわかりやすくお伝えしたい」という、弁護士のクライアントに対する熱意とがわかります。
 また電話で問い合わせた時のスタッフの対応などからも、その弁護士や事務所がどのような姿勢でクライアントに対応するかがわかります。
 熱意と誠意をもってあなたの代わりに相続問題に取り組み、問題が起きないように、事前にアドバイスをして、より良い道に導いてくれる弁護士を探しましょう。

3.説明が丁寧で質問しやすいか

 専門家でもなければ、相続問題に慣れている人はいません。多くの場合、相続問題については疑問点だらけで、質問がどんどん出てくるでしょう。それに対して、面倒くさがらずに、丁寧に、こちらがわかるまで説明してくれる弁護士か、も大切なポイントです。
「私に任せてくだされば大丈夫ですから」と言って、細かい説明をしない弁護士は、一見頼りがいがありそうですが、要注意です。質問が多いと嫌がる弁護士、説明が下手で理解が難しい弁護士も避けた方が良いでしょう。
 良い事だけではなく、不利なことも、しっかりと説明してくれる弁護士は合格です。
 説明が丁寧でわかりやすく、質問もしやすいと、モヤモヤした気持ちを抱えずに相続問題に対処できます。説明力と丁寧さ、そして質問への対応に気持ちよく応じてくれるかも、相続問題に強い弁護士を見抜く際の大切なポイントです。

4.費用が明確に開示されているか

 相続問題で弁護士に依頼する場合、心配事の一つは費用ですね。弁護士費用は、着手金と報酬金という2つの費用が主なものです。
 着手金とは、相続問題を依頼した最初に支払う費用です。これは途中で依頼を取りやめても、返金されることは基本的にありません。
 そして報酬金とは、問題が解決した場合の成功報酬のようなものです。あなたが得た金銭的利益に基づいて計算しますので、得た利益が多ければ、報酬も高くなるのが一般的です。
 この弁護士報酬は、以前は日弁連(=日本弁護士連合会)が決めた「報酬規程」(=日弁連「旧報酬規程」)というものがありました。法曹改革によりこれが撤廃されて、現在では弁護士の費用は自由に設定してよいことになっています。つまり弁護士によって報酬の計算方法が違うのです。
 現在は報酬の計算方法は、以下3つのパターンに分類されるでしょう。
 ①着手金は独自で設定して、報酬金は「旧報酬規程」を適用する
 ②「旧報酬規程」をそのまま適用する
 ③全てを新しい独自の基準で決める。内容ごとに報酬金額が決まっているところもある。
 こうした自分の事務所で使う報酬体系について、明確にわかりやすく説明してくれる、ホームページで開示されている、という点も、相続問題に強い弁護士を見抜く際のポイントになります。

5.立地と受付時間、反応の速さ

 目当ての弁護士が見つかっても、自宅からも勤務先からも不便な場所にあったり、受付時間が自分の生活パターンと合わなかったりする場合は、残念ながら依頼をすることが難しいですね。相続問題は限られた時間の中で処理しなければならないので、頻繁に事務所に行く場合もありますから事務所に行きやすいか、という点も大切なポイントになります。
 また相続問題は問題を落着させるまでの時間が限られているので、できれば質問したことや、依頼したことに対しての反応を早くして欲しいところです。反応が遅いと、イライラするだけでなく「自分の案件をないがしろにしているのでは?」と疑いも出てきます。そのため、反応が早い弁護士を選ぶことも大切です。

6.他の士業との連携が良いか

 弁護士は法律のエキスパートですが、相続問題に付きまとう相続税に関する知識は、税理士の方が上です。そこで、弁護士ができない内容については、他の士業にお任せします。そのため、他の士業の方々と上手に連携しているかも、相続問題に強い弁護士かを見分けるポイントになります。

7.自分との相性が良いか

 最後に必要なものは、目当ての弁護士と自分との相性です。他の条件を全てクリアしている弁護士でも「なんとなく、話しにくい」「なんとなく、ウマが合わない」という気持ちを抱いたまま、大切な相続問題を依頼することはおすすめできません。
 話しやすい雰囲気があり、ストレスなくコミュニケーションができる、あなたにとって相性がいい弁護士に相続問題は依頼しましょう。最後は面談などで、自分との相性を確認することが大切です。

2. 相続問題に携われる専門家

相続問題に携われる専門家は、弁護士も含めて以下の士業があります。それぞれの特徴もご一緒に紹介します。
①弁護士・・・法律の専門家
②税理士・・・税金の専門家
③司法書士・・不動産登記の専門家
④行政書士・・街の代書屋さん

それぞれが遺産相続問題で、どのようなことを担当するのかを下表にまとめました。

相談できること
弁護士 遺言書の作成、遺言執行者への就任、遺言書の検認業務、遺産分割協議書の作成、遺産分割協議・調停・審判の代理人、相続人や相続財産の調査、遺留分減殺請求、事業承継、仮処分
司法書士 不動産の相続登記(所有権移転)、不動産の抵当権抹消登記、遺言書の作成、遺言執行、遺言書の検認、遺産分割協議書の作成、相続放棄
税理士 相続税の申告、準確定申告、相続税の更正請求、贈与の方法、相続財産の評価、事業承継
行政書士 遺言書の作成、遺産分割協議書の作成、相続人調査、車や株式の名義変更手続き

このように、相続問題を最も広く相談でき、またあなたの代理人になってくれるのは弁護士しかいません。

3.よくある相続トラブル事例

ここではよくある相続トラブルの事例をご紹介します。

トラブル事例1:離婚した妻との間の子は相続人になれるのか?

質問:私が幼い頃に父母が離婚しました。私は母と生活していましたが、父が死亡し、葬儀に出ました。その際に、私は離婚した人の子だから相続権がないと言われました。本当にそうなのでしょうか?
回答:離婚した妻の子であっても、被相続人の子供には相続権があります。また相続の割合も、現在の妻との間の子と平等です。

トラブル事例2:内縁の妻には相続権がないのか?

質問:内縁の夫の老後の面倒をずっと看てきました。けれども、夫が亡くなってみると、婚姻届が無いために相続権が無い、と言われてしまいました。夫の老後を看てきたのは私なのに、釈然としません。
回答:現在の民法では、婚姻届を出した正式の夫婦だけが配偶者であり、相続権があります。また昨年から「特別寄与料の請求」が認められるようになりましたが、それも親族に限られます。そのため、残念ながら内縁の関係のままだったご相談者様の場合には、相続権も寄与料の請求権もありません。ただし法的に有効な遺言書に、ご相談者様への相続が記載されていれば、その分を相続することは可能です。

トラブル事例3:遺言の内容が読めない

質問:父が亡くなり、遺言状が見つかりました。父の意思を尊重して遺産分割を行いたいのですが、乱筆で文字が読めない部分があります。どうすれば良いのでしょうか?
回答:遺言を鑑定する専門家に依頼することをお勧めします。仮に誰も読めないのであれば、その遺言書は無効になります。

トラブル事例4:財産目録に書かれた土地が無い場合、どうすれば良いのでしょうか?

質問:母が亡くなり、遺言書が出てきました、私に相続させると指定された土地を調べてみると、既に母によって売却されていました。この場合、私は他の財産を相続できないのでしょうか?
回答:遺言で相続させるとされた土地が、被相続人によって既に売却されていた場合には、その売却行為により、該当する遺言部分は取り消されたことになります。そこで元々その相続分は無かったとして、遺産分割協議をしましょう。

トラブル事例5:遺言の内容が不公平で納得が出来ない

質問:父が亡くなり、遺言が見つかりました。その遺言内容は一見、相続人に平等に見えますが、明らかに兄は良い財産をもらい、私は価値のない財産を押し付けられています。遺言内容が不公平で納得できません。
回答:遺言書による相続人の指定や、分割の指定に関しては遺留分を侵害していない限り有効です。そのためご相談者様が不公平と感じられていても、その遺言書どおりに相続しなければなりません。ただし遺留分を侵害されている場合は、遺留分減殺請求をすることができます。

トラブル事例6:飼っていたペットに、遺産相続させるという遺言は有効なのか?

質問:父が亡くなり、出てきた遺言書には、遺産は自身の飼っていたペットに全額を相続させると書いてあります。これは有効なのでしょうか。
回答:ペットには、血縁関係も意思も権利能力もないので、相続人になる事ができません。そのため、その遺言書は無効になります。相続人間で通常の遺産分割を進めましょう。

トラブル事例7:遺産分割協議後に財産が出てきたが、どうすれば良いか?

質問:遺産分割協議が終わってから、亡くなった父名義の株が出てきました。遺産分割協議をやり直さなければいけないのでしょうか?
回答:遺産分割協議後に別の遺産が出てきた場合、故意に隠されたものではなくても、以前に行った遺産分割協議は無効になります。残念ながら遺産分割協議をやり直しましょう。

4.まとめ

3.で見たように、遺産相続には様々なトラブルが起こりがちです。それは遺産相続に慣れた人がいないうえに、金銭や権利が関係してくるからです。本来仲良く支えあう親族である相続人の間でトラブルが起きるのは、被相続人も望んではいないでしょう。
トラブルになったら、それよりもトラブルになる前に、弁護士に相談をして、円満な遺産相続をしたいですね。そのためには遺産相続に強い弁護士に相談、依頼しましょう。今回ご紹介した見分け方を使って、ぜひあなたと相性のいい、相続問題に強い弁護士とともに相続問題を乗り越えてください。

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