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【弁護士監修】同居する長男・長女が親の財産を使い込んでいた場合の相続対処法

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弁護士 古閑 孝 アドニス法律事務所

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更新日:2019年05月13日
同居する長男・長女が親の財産を使い込んでいた場合の相続対処法のアイキャッチ

問題点の把握

両親が既に亡くなってしまっている場合、相続人になるのは子供だけ、というのが原則になります。
その場合に、相続人の子供の一人が相続財産を使い込んでしまっているような場合があります。

このような場合に対応するのは、相続前・相続後に分けて対応する必要があります(なお、以下のケースはあくまで遺言のない場合を前提にしています。)。

相続前の場合

相続前の使い込みについては
①使い込んでなんかいない
②本人の同意(または本人の指示)で使用した
という言い訳(法律上は抗弁、といいます。)が出てくることが考えられます。

「①使い込んでなんかいない」の場合

銀行の取引履歴などと共に、当該銀行の被相続人名義の通帳をその使い込んだ相続人が管理していたような事実を証明すれば、反論することができます。
その反論に成功した場合には、その相続人に対して、民法709条の不法行為か、703条の不当利得返還請求が被相続人に発生していたことになりますので、相続人はこれらの権利を相続し、使い込んだ相続人に行使することになります。なお、このような場合、使いこんだ相続人にも相続分は存在するので、その分は相殺されることになるでしょう。

「②本人の同意(または本人の指示)で使用した」場合

②については実は厄介な問題です。
立証という観点からは、●●に●●円あげたなどというメモがでてくると、その部分は生前贈与、ということになりかねません。
そういったものがない、ということであれば、当該財産の贈与は特別受益であり、相続財産に含めた上、一旦(計算上は)財産に戻して分配をし直すべき、という主張をしていくことになるでしょう。

相続後の場合

相続後に使い込みがあった、あるいはそれが疑われる状況になったのであれば、被相続人の財産をまずは凍結させましょう。
本来、預貯金については、名義人が亡くなった時点で凍結させなければなりません。そのため、凍結の手続自体は簡便にでき、銀行によっては、電話一本で対応してもらえるところもあります。凍結手続の際、通帳への記帳はしっかりしておきましょう。

万が一、凍結より前に使い込まれてしまったような場合は、使い込んだ人に対して上記の場合と同様、不法行為あるいは不当利得を理由として、損害賠償・返還請求をしていくことになります。
この場合は、本人の同意云々ではなくなります。遺産分割協議を終了していない以上、その金員を使うことは許されません(金員については相続人の共有状態になります。)。
よって、同請求が認められる可能性は高くなるといえます。

まとめ

相続財産の使い込み遺産分割調停を提起し、その中で使い込みについても全てを含んで清算することも可能です。
訴訟なのか調停なのかは当事者の関係や金額、証拠等を総合的に判断して決定する必要があります。
そのような場合、弁護士に依頼してどういった手続きをとるのが適切なのか、少なくとも、第一次的なアドバイスを仰ぐべきでしょう。

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古閑 孝 (弁護士)アドニス法律事務所

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