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親の介護をすれば相続に有利になる?寄与分を徹底解説!

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更新日:2024年01月29日
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親の介護をしている方にとっては、その貢献度を将来の相続分に反映させたいと考えるのは自然なことだと思います。

そこで考慮したいのが「寄与分」という概念です。
寄与分とは、相続対象となる資産の維持や増加に貢献した人に認められる手当のようなもの。特別に相続分を増加できる制度です。

本記事では、相続人の貢献度における寄与分について徹底解説します。

相続財産における寄与分って何?

寄与分とは、相続対象となる資産の維持や増加に貢献した人に認められる手当のようなもの。法定相続人が複数いる場合、特定の相続人に対して相続の取り分を増やせる制度です。

このほか、法定相続分を変更できるという特徴があります。

たとえば、あなたが親の介護に徹したとしましょう。介護施設に入所すると、さまざまな費用が必要になります。しかし、あなたの介護のおかげで資金を減らすことなく維持できるでしょう。

寄与分は、こうした何らかの貢献に徹してきた相続人が不公平にならないようにするのが目的なのです。

寄与分には、民法上で以下の基準が設けられています。

  • 相続人の行為によるもの
  • 扶養行為ではなく、特別な行為であること
  • 寄与行為=財産の維持・増加に直結すること

寄与分が認められるには、上記を満たすことが重要になります。

しかし、具体的な計算式があるわけではないので、トラブルになりやすいかもしれません。不安な場合は、相続トラブルに強い専門家に相談して決めるのもおすすめです。

寄与分には4つのタイプがある

寄与分が認められる4つのタイプを解説していきます。

先ほど示した3つの基準を満たす場合、あなたの寄与分がどのタイプに当たるのか見てみましょう。

家事従事タイプ

一つ目は、家事従事タイプです。
あなたが何の報酬をもらうことなく被相続人の代わりに家事を行い、財産・増加に貢献している場合は、家事従事に該当するでしょう。

もっと具体的にいうと、親が営んでいる農業や商業に従事するパターンが挙げられます。

金銭出資タイプ

金銭出資タイプとは、被相続人である親に対して生活に必要なお金を立て替えたり、親の借金をあなたが前もって返済したりする場合に適用されます。

親が高齢で収入がなく、相続人である子どもが代わりに光熱費や食費を立て替える場合もあるでしょう。こうした行為は、金銭出資タイプの典型例です。

療養看護タイプ

療養看護は、子どもが親の看護を行い通院代の支出削減に貢献した場合に該当します。
相続上でいう療養看護とは、被相続人の世話をすることで、財産の消失を回避できたものを指します。

ただし、看病をしたとしても財産の維持増加につながらない場合は、寄与分と判断されにくい傾向があります。

あくまで、「本来ヘルパーへ支払う可能性のあった費用を捻出せずに済んだ」というパターンが該当するでしょう。

扶養タイプ

扶養タイプは、被相続人の生活費を支払うことで財産の維持につながる行為を指します。

ほかにも、高齢の親をあなたが引き取って扶養する場合や、ヘルパー代を負担するケースなどがあります。

寄与分はどう算出する?注意点を知ろう

それでは、寄与分の算定方法を見ていきましょう。
一般的に、寄与分は以下の項目を考慮します。

  • 寄与の時期
  • 寄与の方法(タイプ)
  • 貢献度
  • 寄与した額
  • その他の事情

見ていただくと分かるのですが、抽象的な部分が多いものです。
実際に適用される取り分は、家庭裁判所によって委ねられるのが一般的です。
これが、相続人間でトラブルにつながる要因になることもあるでしょう。

では、裁判所でどういった評価がなされるかというと、以下のとおりです。

  • 絶対評価
  • 相対評価

寄与分における絶対評価とは、あなたの貢献度を絶対的な金額として算出する評価方法です。たとえば、被相続人を引き取って100万円分を食費に使ったとします。この場合、100万円分を評価基準にします。

寄与分における相対評価は、絶対的な金額では評価せず、どれくらい貢献したかの程度を評価します。

たとえば、2年間の療養看護分をお金に換算せずに、財産全体の8%を加算する方法です。

ただし、財産の金額によって分配される金額が変動するので注意が必要です。財産が少ない場合は、加算分も自然と減ってしまう可能性があるでしょう。

絶対的評価と相対的評価のどちらが採用される?

ここで、絶対評価と相対的評価はどっちを選べばいい?という疑問が生じるでしょう。
実務上、相対評価が採用される傾向があります。

評価方法によっては、却って納得にいかないものになることもあるでしょう。
たとえば、金額として算出しやすい金銭等出資タイプは絶対的評価の方が有利になるかもしれません。

しかし、相対評価が採用されることで実際の寄与分と異なってくるため、どうしても混乱が生じやすくなります。場合によっては、寄与した金額よりも低い取り分になってしまう可能性もあるでしょう。

寄与分を考慮するうえで注意したい扶養義務

寄与分の評価において、扶養義務の存在には十分注意しておいてください。

民法上における扶養義務は、以下のように定められています。

  • 民法752条:夫婦が互いに協力し扶助する
  • 民法877条:直系血族及び兄弟姉妹は互いに扶養する義務を負う

被相続人を療養看護をした場合においては、扶養義務の範囲内で「特別の寄与」とはいえないと判断されるかもしれません。

ただし例外として、扶養義務を行える人が複数いる中で、実際に看護に当たったのはたった1人のみという場合は「特別の寄与」として判断されることもあります。

「特別の寄与」と認められるためには、分配分を公平に修正する必要があると証明する必要があるのです。

あなたの行為を「特別の寄与」にあたると判断してもらうには、ご自身で立証する必要があるでしょう。また、どのような結果になるにしても、ある程度は扶養と判断される可能性があると理解しておいた方がいいかもしれません。

寄与分で不利にならないための対策

被相続人の財産の維持増加に徹している相続人にとっては、やはり適切な評価をしてほしいもの。
対策として、次のことを意識してみてください。

貢献した分の証拠を保管

あなたが貢献した分の証拠をしっかりと保管しておいてください。
証拠がないと、貢献度に応じた適切な寄与分を主張しづらくなります。

証拠として有効なのは、立替えした際の領収書や看護内容の記録などです。日時を忘れずに記載するとなおいいでしょう。

通常の扶養義務を超えている行為を示す証拠を確保

通常の扶養義務を超えていることを示す証拠も、確保しておいてください。
先ほどお伝えしたように、評価方法は相対評価が多い傾向にあります。
たとえば領収書が揃っているのに相対評価にされたなど、本来なら絶対評価にしてほしい場合は不利にならないよう明確な主張が重要です。

どのような主張が有効かというと、それは被相続人の健康状態や生活スタイルなどから、あなたの貢献がいかに重要な行為であったかを示すことです。

さらに、他の相続人にはない特別な行為であったことも主張してください。
そのためには、日頃から被相続人の依頼記録や会話なども、録音機能を使って残しておくと良いでしょう。

相続人同士の協議をしておく

相続人同士の協議をしておくことも、対策として有効です。
たとえば、寄与分としてどこまで自己負担していいかをある程度話し合っておくといいでしょう。

寄与した際の領収書をしっかり残しておいても、扶養義務と判断されると実際に貢献した金額が加算されないかもしれません。

こうなると、特定の相続人だけが納得できないまま協議が進んでしまうことがあります。後のトラブルに発展する可能性があるでしょう。

そのため、相続人同士で事前に協議し、ある程度文書で取り決めをしておく必要があります。

まとめ:寄与分の評価に不安があれば弁護士へ相談してみよう

寄与分は、具体的な算出方法が定められていないことから、相続人同士でトラブルに発展することがあります。

このように、相続手続きは非常に複雑です。少しでも迷ったら、相続に詳しい弁護士のサポートを受けるのもおすすめです。

弁護士に相談することで、相続手続きのアドバイスがもらえます。安心して進められるでしょう。

弁護士に相談する前に、弁護士費用が不安な方はベンナビ弁護士保険の利用を視野に入れてみましょう。

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