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【弁護士監修】上手な生前贈与② 教育資金の一括贈与、結婚・子育て資金の一括贈与、住宅資金の贈与の使い方は?

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弁護士 古閑 孝 アドニス法律事務所

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更新日:2024年03月29日
上手な生前贈与② 教育資金の一括贈与、結婚・子育て資金の一括贈与、住宅資金の贈与の使い方は?のアイキャッチ

Q: 教育資金の一括贈与、結婚・子育て資金の一括贈与、住宅資金の贈与の上手い使い方は?

A: 使途が限定される資金の贈与であれば、一括贈与の非課税制度は使う価値がありますが、遺産分割上、不公平になる恐れがあるため注意しましょう。

教育資金の贈与が非課税に

お金を贈与すると、原則として贈与された人に贈与税がかかります。祖父母、父母が子ども、孫に対して、必要に応じて生活費や教育費などをその都度援助する場合は非課税なのですが、当面必要のない分までまとめて一度に贈与すると贈与税の対象になってしまいます。

ただ、子どもや孫の教育資金、結婚・子育て資金、住宅取得資金という使途が限定された資金の贈与であれば一括して贈与しても非課税となります。相続税の節税対策としても有効なので、活用するケースが増えています。

まず、2013年4月から始まった「教育資金の一括贈与の非課税制度」です。これは、祖父母、父母が子どもや孫のため、教育資金をまとめて銀行、信託銀行、証券会社など金融機関に預ける場合、孫1人当たり1500万円(学習塾などの費用はうち500万円)までの贈与税が非課税になる制度です。当初、非課税で贈与できる期間が2015年末まででしたが、2019年3月末まで延長されることになりました。

祖父母が孫に教育費を必要な都度、贈与することは以前から広く行われていましたが、この制度のミソは、将来の教育費まで現在まとめて贈与しても非課税となったことです。子どもや孫は金融機関に一括して贈与された金額から、入学金や受験料といった支出の領収書などと引き換えにお金を非課税で引き出せます。

教育資金の一括贈与の非課税制度と似た仕組みが2015年4月から始まりました。「結婚・出産・育児資金の贈与の非課税制度」です。祖父母や父母が子ども、孫に対して、結婚の式場費用や披露宴費用、新居の住居費、新生児の保育料などに充てるお金を、子ども、孫1人当たり1000万円まで非課税で贈与出来ます(期間は2019年3月末まで)。

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暦年課税、相続時精算課税との併用もできる

住宅取得資金の贈与の非課税制度」は、子どもや孫がマイホームを買うお金(住宅取得資金)を親や祖父母などからもらう際に特別に適用されるものです。この制度は2009年に新設されました。現在、2019年6月まで利用できることが決まっています。

導入当時の非課税枠が500万円でしたが、2010年には1500万円に拡大。2011年は1000万円になりましたが、今後は消費税率の再引き上げ(2017年4月から10%になる予定)の前後には最大3000万円まで拡大することになっています。このように、時期により非課税枠が異なりますから注意が必要です。

いずれの非課税制度も、暦年課税相続時精算課税との併用ができます。年間110万円までの暦年課税の非課税枠や2500万円までの相続時精算課税の非課税枠との併用ができる結果、親からの贈与でマイホームを買う場合は、2016年10月から2017年9月までは暦年課税との併用で3110万円まで、相続時精算課税との併用ならば最大5500万円までが非課税となります。

相続税の節税対策としても、父母や祖父母の財産を一気に減らすことができるので、特に富裕層からは「歓迎」されています。

最も問題点がないわけではありません。

「余計な習い事が増え、家計が放漫体質になってしまった」。こうした「反省」を口にする親が目立ってきました。教育資金の一括贈与の非課税で目の前に多額のお金があるため、「ついつい、あまり必要のない習い事に使ってしまう」というのです。

「なぜ、特定の孫ばかりに援助するのか」。こうした不満も出てきました。例えば、兄の子どもが教育資金の非課税贈与で数百万ずつ贈与されたのに、自分の子供は今年から就職が決まっているため、「両親からもう援助の必要はない」と断られたといった類の話は珍しくありません。

生前贈与の仕方が不公平だと、後々、相続のときに遺産分割の争いとなって表面化しかねません。非課税贈与を使う際はくれぐれも公平性を心掛けたいものです。

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