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【弁護士監修】上手な生前贈与のコツ。「暦年課税」と「相続時精算課税」のポイントと注意点

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弁護士 古閑 孝 アドニス法律事務所

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更新日:2022年11月30日
上手な生前贈与のコツ。「暦年課税」と「相続時精算課税」のポイントと注意点のアイキャッチ

Q:上手な生前贈与暦年課税」と「相続時精算課税」についてポイントと注意点は何ですか?
A:同じ親からもらう場合は、2つの方法のいずれかを選択する必要があります。

年間110万円までの贈与は非課税

相続対策の柱の1つである相続節税対策で有効なのは、相続税の課税対象に相続財産そのものを減らすことです。そのためには生前に贈与することが決め手と言えますが、親子間の生前贈与は、贈与税の仕組みを理解しないで行うと、財産をもらった子どもに思わぬ贈与税がかかる場合があります。そこで、贈与税の非課税枠や特例を中心に、贈与税の基本を知っておく必要があります。

贈与税は年間(1月1日~12月31日)の贈与財産について、贈与を受けた人に課税されます。
贈与税には「暦年課税」と「相続時精算課税」という2つの課税方法があり、それぞれに非課税枠があります。贈与税がかからないか、より少額ですませるにはその非課税枠をフルに活用することが最大のポイントです。

ただし、同じ親からもらう場合は、2つの方法のいずれかを選択しなければなりません。父親から相続時精算課税でもらう方法を選択したら、その後、暦年課税に切り替えることはできません。父親から暦年課税でもらい、母親からは相続時精算課税でもらうというやり方は可能です。

2つの課税方法を詳しく説明しましょう。

「暦年課税」は毎年少しずつ贈与

まず、「暦年課税」は、贈与された金額のうち年間110万円までを非課税(基礎控除)とし、それを超える部分に税金をかける仕組みです。

税率は10~55%の累進課税となっています。したがって、贈与額によっては多額の税金をとられる可能性があります。

ただ、基礎控除の範囲内で毎年コツコツと贈与していくと、将来、相続財産が基礎控除を下回るならば、相続税の節税対策として実行してもいいでしょう。相続財産が自宅と金融資産で5000万円から1億円前後の中流層の中には、こうした地道な生前贈与で相続税がかからなくなる人もすくなくないと思います。

「相続時精算課税」相続時に精算して税金を支払う

一方、「相続時精算課税」は原則として60歳以上の父母、祖父母からの贈与であれば、2500万円までの財産に対する贈与税の課税を相続発生時まで繰り延べられる方法です。

2500万円を超えた分には一律20%の税金がかかりますが、2500万円までならもらった時点ではかかりません。2500万円までであれば、贈与財産の種類、贈与回数、1回当たりの贈与金額に制限はありません。前年に精算課税の適用を受けた金額がある場合には2500万円からその金額を控除した残りの額がその年の精算課税の適用限度額となります。

相続時精算課税を適用する場合には、納税額がない時であっても、財産をもらった人が財産をもらった年の翌年2月1日から3月15日の間に申告する必要があります。

相続時精算課税で注意したいのは、これによる贈与税額は、全ての相続税の対象になる点です。具体的には、贈与者が亡くなった時の相続税額は、まず、それまでに贈与を受けた精算課税の適用財産の価額と相続や遺贈により取消した財産の価額とを合計した金額をもとに算出します。

次に、すでに納めた精算課税の贈与相当額を控除します。その差額がプラスであれば、相続税を支払います。

一方、差額がマイナスであれば、精算課税についての贈与税相当額については、相続税の申告をすることにより還付されます。贈与を受けた精算課税の適用財産の価額と相続や遺贈により取得した財産の価額とを合計した金額が、相続税の基礎控除の範囲内でそもそも相続税を支払う必要がない人は、繰り延べ分の非課税が確定します。

相続時に精算されるのなら、納付する相続税、贈与税を合わせた税金の額は同じなので、メリットがないのではないのかという見方もあります。

ただ、相続時精算課税では、贈与財産は贈与時の価格で相続財産に合算される仕組みです。したがって、値上がりしそうな株式や土地は精算課税で贈与したほうがその分節税になります。例えば、優良株の贈与を相続時精算課税を使って早めに行ってもいいでしょう。

相続に強い弁護士

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古閑 孝 (弁護士)アドニス法律事務所

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