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【住宅ローン低金利も追い風】住宅取得資金の贈与税が最大3,000万円まで非課税

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更新日:2018年12月29日
【住宅ローン低金利も追い風】住宅取得資金の贈与税が最大3,000万円まで非課税のアイキャッチ

人生で最も大きな買い物「住宅購入」

長い人生では一生に大きな買い物をいくつかします。

例えば、一軒家・マンションなどの住宅購入です。

家族がいれば、いずれは購入するというのが通念であると思いますし、最近では、投資として購入するケースも増えています。

平成28年1月29日に日銀のマイナス金利政策の発表後、銀行等の住宅ローンやフラット35なども軒並み金利が下がっていく傾向にあります。また、消費税が10%になる前に、家の購入を検討されている方も多くなっていくのではないでしょうか

よほどのお金持ちでなければ、ローンを組んだり、資金集めに奔走することになりますね。ですが、住宅の購入資金というのは、往々にして額面通り使えないということが間々あるのです。

低金利とは言え、多額の債務となる住宅ローンでは、利子が発生し、多く払うことになります。後々の返済を考えれば、『借りた額』<『返済総額』となることは間違いありません。

しかし、まるまる受け取ったお金が課税もなしに住宅の購入のために使えるとなればどうでしょうか。

このテーマでは、住宅購入資金として両親・祖父母などから資金の贈与を受けた場合、適応される2つの制度「住宅取得資金の非課税制度」・「相続時精算課税制度」のうち、「住宅取得資金の非課税制度」についてまとめていきます。

住宅取得資金としての贈与と非課税枠

平成26年度の国土交通省の「住宅市場動向調査」では

購入資金のうち、親族などからの贈与での資金調達の平均は、一戸建てだと135万、マンションなどの集合住宅だと116万円という調査結果になっています。

国土交通省 平成26年度 住宅市場動向調査

出典:http://www.mlit.go.jp/statistics/details/t-jutaku-2_tk_000002.html

住宅購入を考えている人に取っては、大変ありがたいこのお金は住宅取得資金の贈与というものです。

住宅取得資金にあたる贈与の場合、非課税枠が1500万円あり、その分が税金も掛からずそのまま使えるということになります。

つまり、住宅購入のために贈与するならある程度は税金を掛けないよ、というシステムです。

この住宅取得資金の贈与税の非課税枠にはいくつか条件や注意点があります。上手く活用するためにも気を付けておきたい点をまとめてみましたので、ご覧ください。

贈与税、住宅取得資金の非課税枠条件はいくら?

それでは、贈与税の非課税枠の恩恵を受けるためにはどのような条件があるのか見ていきましょう。

まず、条件の一つとして消費税という要素が密接に関わってきます。

住宅取得契約の締結するタイミングと、消費税が現行の8%と増税後の10%とでは贈与税の非課税限度枠が変わるのです。

※2017年(平成29年)4月から消費税10%に増税予定

もう一つの条件である住宅の種類と併せてご紹介しましょう。

非課税の限度額

住宅取得資金の贈与税非課税枠一覧表

こうしてみると良質な住宅の場合は、一般的な住宅に+500万円非課税限度額が引き上げられます。良質な住宅については、下記でご説明。

また、平成28年後半と平成29年後半とで非課税枠が異なるのは、駆け込み需要による住宅購入が過熱し、翌年には反動で冷え込むと予想されているからです。

5%から8%へ消費税増税の際も同じ現象が起こったので、その対策と言うわけです。

たくさんの人が利用する場合には購入者と国共に恩恵を受けられますが、少数の利用で同等の非課税枠では、税収が目減りしてしまいます。

そのため、段階毎に非課税枠が設定されているのではないでしょうか。

良質な住宅の条件

良質な住宅は一般住宅よりも贈与税の非課税枠が多く設定されています。この良質な住宅(住宅用家屋)とは下記のいずれかの基準を満たした住宅をいいます。(国土交通省告示第389号)

【日本住宅性能表示基準に基づき下記のいずれかの基準を満たした住宅】

  • 省エネルギー対策等級(平成27年4月以降は断熱等性能等級)に係る評価が等級4の基準に適合している住宅
  • 耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)に係る評価が等級2又は等級3の基準に適合している住宅
  • 地震に対する構造躯体の倒壊等防止及び損傷防止に係る評価が免震建築物の基準に適合している住宅
  • 一次エネルギー消費量等級に係る評価が、等級4又は等級5の基準に適合している住宅
  • 高齢者等配慮対策等級に係る評価が、等級3・4・5いずれかの基準に適合している住宅

出典:https://www.mf-realty.jp/tebiki/mtebiki/03-1.html#qa10

端的に説明すると、エコ住宅ということになります。

断熱等によるエコ対策・耐震・免震・エネルギー消費・バリアフリーなどの各項目のうちいずれかの基準を満たしている必要があります。

適応するための8つの条件

では、具体的な活用例を見ていきましょう。

住宅取得のための贈与

(1) 住宅取得のための金銭の贈与で、実際にその金銭を住宅取得資金に充てていること

※居住用不動産そのものを贈与したり、住宅取得後に贈与を受けた金銭は対象外となります。

贈与をする贈与者贈与を受け取る受贈者にもいくつか制限があります。

贈与者の条件

(2) 受贈者の直系尊属(親や祖父母)であること

平成28年度の今現在、年齢制限等はありませんが、平成31年6月30日以降は年齢制限を設ける予定。

受贈者の条件

(3) 贈与を受ける年の1月1日時点で20歳以上であり、贈与者の直系卑属であること

(4) 合計所得、つまり、収入も2000万円以下であること

簡単にまとめると、父から合計所得が2000万円以下の20歳の息子へ住宅取得資金として贈与することは問題ないということです。

その他の条件

(5) 贈与の翌年3月15日までに住宅の引渡を受け、同日までに居住している。または、住むことが確実であると見込まれ同年の12月31日までに住み始めていること

(6) 建物の登記簿面積が、50㎡以上240㎡以下であること

(7) 中古住宅の場合は建物の築年数が、マンション等耐火建築物なら25年、木造等耐火建築物以外なら20年以内であること

(8) 贈与の翌年の2月1日から3月15日までに贈与税の申告を行っていること

具体例

平成27年に省エネルギー、または耐震に特化した良質な住宅を購入する場合は、1500万円まで上記の間柄で贈与、及び住宅資金に充てることができます。

そして、それ以外の一般住宅の購入資金には、1000万円が非課税となり、そのまま購入資金に充てる事ができます。

逆に適用されない例を挙げますと、父から合計所得が3000万円あり、一般住宅を購入しようとしている息子に非課税で1500万円を贈与することは不可能です。

補足としては、贈与自体に110万円という基礎控除額があります。

なので、用途が住宅資金などに関わらず、年間110万円以内の贈与であれば、贈与税は掛かりません。

実はこれからさらなる仕様の変更が

税金と密接な関係があると言いましたが、これから税率の改変や世情の変化に伴い、さらに変化する場合も考えられます。

税率が変われば、当然、非課税の額面も変更されますし、時期によって年齢や住宅のカテゴライズも変遷します。

その分かりやすい例として、現行と将来の良質な住宅の定義の変化に顕著に表れています。

現行の条件は、主に2項目あり、省エネルギー性と耐震性が著しいかどうかという点が判断基準になります。

それぞれ、省エネルギー対策等級4、免震建築物、及び耐震等級が2以上という規定があります。

ですが、将来的には省エネルギーには断熱という要素、文言が加わり、バリアフリー性の高い住宅も良質な住宅と見なされるようです

つまり、社会の流れである環境への配慮、少子高齢化を意識した改変が行われるということです。

以上の事からも住宅取得資金の贈与税に関する事柄は、これからも常に変遷を続けていくとお分かりいただけたと思います。

利用できれば大変便利なシステムですが、自分が認識していた仕様と変わっていたなんてことも予想できます。

利用する時々でしっかりとチェックをし、上手く贈与税の非課税枠を利用して住宅取得資金に充てていただければ幸いです。

同時に適応出来る「相続時精算課税制度」についてはまた別コラムでご紹介していきます。

この記事の著者

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相続相談弁護士ガイド 編集部

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