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国際的な人権、労働問題に取り組む女性弁護士にインタビュー

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更新日:2019年07月26日
国際的な人権、労働問題に取り組む女性弁護士にインタビューのアイキャッチ


秋葉原駅から徒歩7分のところに、ミモザの森法律事務所はあります。

伊藤和子弁護士は国際人権NGOヒューマンライツ・ナウ事務局長もつとめ、人権問題や女性・子供の権利を中心に講演や執筆活動にも積極的に活動している弁護士だ。
今回はヒューマンライツ・ナウでの活動や、弁護士として女性の抱える問題に力を注ぐ、伊藤和子弁護士にお話をきくことができました。

ミモザの森法律事務所 伊藤和子弁護士

ミモザの森法律事務所 伊藤和子弁護士

 

■ミモザの森法律事務所に関して

---ミモザの森法律事務所の特色、事務所を秋葉原にした理由を教えてください。

私は46期なのですが、中堅、若手弁護士で、市民の方に身近な親しみやすい法律事務所をつくろうということで結成いたしました。
やっぱり弁護士事務所というのは敷居が高い部分が多くて、ご紹介がないといけないとか、いろんなバリアがあると思うので、なるべく敷居を低くして、市民の方から身近に相談していただけるようなスペースにしたいと思ってこの事務所をつくりました。

「ミモザ」というのは花の名称ですが、女性の権利だったりとか、平和であったりとか、そういったことを象徴する花です。

私たちとしては、日本ではいろんな面で法律的に守られていない女性の方たちを助けたい、そして、女性のほかにも、なかなか声を上げにくい、権利を主張しづらい立場にある方のためにお役に立ちたい、そのために、敷居が低く、頼りになるような事務所にしていきたいということでこの事務所をつくりました。
こうした設立当初の経緯もあり、現在私が取り組む事件の多くは女性の権利に関する事件、または女性から依頼を受ける家事事件です。

ミモザの森法律事務所 伊藤和子弁護士

当事務所ではさらに、ビジネス関係のコンプライアンスに関する事件、外国人の事件にも取り組んでいます。

私は、弁護士業の傍ら、NPO法人ヒューマンライツ・ナウという団体を2006年から立ち上げて、国境を越えた人権活動を展開してきました。
この団体の事務所は隣接していますので、ヒューマンライツ・ナウの活動とも連携しつつ、市民と法律家の架け橋として活動していく、というのがこの事務所の大きなコンセプトだと思います。

事務所の所在地・秋葉原は、大変便利でどこにいくにも比較的アクセスがいいかと思います。
例えば東京駅にも近く、上野から茨城県のほうにも行きやすいし、埼玉県にも行きやすい、川崎など南のほうに行くのも行きやすいです。
その一方で、東京の北東部地域を見渡すといろんな問題に直面しながらも我慢して泣き寝入りしてしまいがちな方もまだ多い。
そうした方にとってアクセスしやすい事務所でありたいと思っています。

 

■伊藤和子弁護士について

---伊藤和子先生が、弁護士を目指した理由、キッカケは何ですか?

最初は漠然と「人を助ける仕事がしたい」ということでした。
小説家になりたいという夢がありましたが、実現するのは大変ですよね。
そして、私が大学を卒業する頃というのは、男女雇用機会均等法が施行された後でしたが、やっぱり家庭と両立しながら女性が一生仕事をやっていくのはかなり大変な時代でしたし、まだ本当に女性が職場で平等に扱われてはいませんでした。
そんな中、一生やっていける、やりがいのある仕事を見つけたいな、と思って、「何がいいだろう」と迷った際に、資格を持って女性でも男性と対等に働ける、そして人を助けられる仕事、という点で、弁護士になりたいな、と考えたのです。

ミモザの森法律事務所 伊藤和子弁護士

---弁護士になってからの苦労話とかってありますか?

若くして弁護士になったので結構大変でした。最初のうちは本当に修行というか、困難な事件がものすごく多かったのです。

最初に就職した事務所も街の中心にあるような事務所だったので、結構ご近所同士のいろんないざこざとか、どうやって解決していいのか全く分からないような事件をたくさん抱えていました。
それに新人なので、なかなか相手の弁護士さんも裁判前の交渉をしても、「じゃあ和解します」とは言ってくれないので、一年目などは訴訟外の和解ができずにどんどん裁判になってしまって、裁判案件をものすごくたくさん抱えて大変でした。
でも段々そこから力が付いてくるというか、やっぱり苦労をすればそれだけ力がついてくるということはありました。

---先生の趣味、リフレッシュするためにしていることは何ですか?

まずはヨガに行くこと。
頭の中が無になるっていうのはすごく大事なことなので、忙しいのでそんなには行けないですけど、なるべく週に1回か2回ぐらいは行くようにしています。
それと、家でガーデニングをして草花を育てたりしているのですけれども、それも結構楽しいです。
いろんな種類の花やハーブを育てているのですけど、いろんな種類を育てると、あまりうまくいかないものもあったり、逆にほかの種類がうまくいったりとか(笑)。
私は子どもがいないから分からないですが、子育てとかもそうかもしれないですね。
1つの植物だけすごく過保護にしていると、うまく育たないかもしれないけれど、いろんなものを植えて、こちらは今きれいに咲いているけれど、今はなかなか目が出ないこちらの花も長い目でみて育てていこうみたいな想いで見守っていくと、それぞれ元気がない時期もあるけれどきれいな花が咲く時期もあったりとか、枯れても翌年の春に思いがけず復活したりとか、1年の中でもいろいろな変化があったりして結構楽しいし、励まされます。

 

■お仕事に関して

---先生のお仕事について質問で、ヒューマンライツ・ナウの活動について教えてください。

日本を拠点とする初めての国際人権団体としてこの団体を2006年に設立しました。
この団体をつくるまでは日本を本部とする国際人権団体というものがなかったのです。

私は弁護士登録をしてしばらくしてから、日本の人権問題だけでなく、国境を越えて世界中で理不尽な人権侵害の被害にあっている人たちのために人権活動をしたいとずっと思っていたのですが、そういうことができる基盤というか、団体というか、バックボーンのようなものが日本には全くなかったので、そういった活動ができませんでした。

ミモザの森法律事務所 伊藤和子弁護士

2004年から2005年まで日弁連の推薦でアメリカ・ニューヨークにあるニューヨーク大学で勉強するという機会をいただきました。
その時にニューヨーク大学のロースクールで国際法を勉強したり、NGOや国連に研修に行ったりという経験を積み、そこで国際的なNGOがどんな活動をしているのか、世界的にはいま、どんな人権問題に多くの人が苦しんでいるのか、そういった問題をどうやって国際的に解決していくのか、といったことを学んだのです。
そしてその経験を活かして、同じようなNGOの活動を日本に戻ってもやってみたい、と考え、この団体を立ち上げました。

私たちの活動は、まず、事実の調査、光の当たらない人権問題を調査し、公表するということから始まります。
調査によって問題を明るみに出し、その上に立って解決のための政策提言をして、実際に社会を動かすために働きかけをします。
例えば「法律を作ってこの問題を是正しましょう」とか、もう少し大きな国際的な問題であれば、「国連に働きかけて国連の決議を出してもらいましょう」とか、そういったことに取り組みます。

しかし、国や政府を動かすとか、国連を動かすというトップダウンのアプローチだけでは、現実の社会や人々の意識を変えることはできないので、草の根レベルで若い人たちへの教育支援の活動も展開しています。

---例えば教育支援だと小学校、中学校ですか?

日本では中高生にアプローチしています。
ヒューマンライツ・ナウの活動を通じても、弁護士としても、様々な問題に携わってきましたが、いわゆる人権なんて縁遠いと思っているにもかかわらず、ブラック企業などの、様々な被害に遭っている若い人たちが結構いることがわかってきました。
つまり人権なんて関心ないと思っている人たちのところに人権侵害がやってくる、その犠牲にあう。

ヒューマンライツ・ナウが最近、取り組んできた人権課題のひとつがAV出演強要問題という、女性に対する深刻な被害です。モデルにならないか、とスカウトされて、契約書にサインしたら、入った仕事は実はAVで、そうした仕事を強要されてしまうという深刻な被害です。
私自身も弁護士として解決のためのご相談に乗っていますが、若い女性がなかなかNOと言えない、断れないまま、いつの間にか深刻な被害に巻き込まれてしまっている、そういう事例が多いのです。
そうした被害をなくす仕組みをつくることが何より大事なのですが、同時に、若い世代に権利意識を持ってもらうこともとても大切だと思っています。
おかしなルールや慣習に縛られて自分を殺して被害にあう前に「嫌なことは嫌だと言っていい」「人権侵害を我慢しないで」という基本的なことを声を大にして言いたい、そんな思いで中高生の方々への人権教育を進めています。

ミモザの森法律事務所 伊藤和子弁護士

それから海外ではもう少し上の世代、例えばこれからの社会を担っていくような弁護士さんであったりとか、市民社会のリーダーであったり、若者のコミュニティ・リーダーとか、そういう人たちに対してセミナー等を開催しています、人権状況が深刻な国で未来を切り開こうとしている人たちに人権について知っていただくことを通じて彼らがその国を自分たちで変えていくお手伝いしたい、という想いで活動しています。

---有難う御座います。今弁護士としてのお仕事で、先生にきているご相談はどのようなものが多いですか?

離婚事件が多くて、全体で言うと3~4割ぐらいです。
原則として、女性側の事件のみを受けています。中でも多いのは、DVや精神的な暴力、モラル・ハラスメント事件で、私の専門分野です。
モラル・ハラスメント(モラハラ)というのは、夫に人格を否定されるような心無い言葉を毎日のように言われ続け、怒鳴られ続けて、すっかり萎縮させられてしまうようなケースですが、物理的な暴力と並んで深刻な被害です。
DVやモラハラ等の被害を受けている女性は、本当につらい人生を過ごしているというのに、長いこと我慢されている方々が多いですね。

また、夫の不倫など、夫側の勝手な理由で追い出されたり、離婚を突き付けられてほとんど財産分与をしてもらえないという事案も担当します。
法律上の権利や制度を使えば、女性側に有利な解決ができるのに、泣き寝入りをしている方、離婚など絶対に無理だと思っている方、そういう方がまだまだ多いです。
DVであれば保護命令という手続をきちんととって、女性やお子さんを暴力やハラスメントから保護して落ち着いてもらう。
そして調停や裁判手続を通じて、納得いく解決を実現するという分野が好きですし、得意としています。
離婚以外にも女性の権利関係の事件、女性からのご相談が多いので、それも結構あって2割ぐらいありますね。

女性の権利に関する問題としては、アダルトビデオの出演強要被害やリベンジポルノ等のインターネット上の性的被害、そして、レイプ等の性暴力被害、女性の労働問題、不当解雇や、職場での嫌がらせ、セクハラやパワハラ等の被害などの事件です。
それから、エンターテインメント関連のトラブルのご相談が最近増えています。
エンターテイメントについては、実はAV出演強要に似た構造と被害があります。
タレントさん、アイドルの方に対して、プロダクションが「奴隷契約」と言われるような、不当な契約条項をたてに理不尽な要求をしてくることが多く、若いタレントの方々が無権利状態に置かれ、被害にあっています。
また、モデルの方が撮影のプロセスでハラスメントを受けるなど、実はエンターテインメント関連では隠れた被害が多いのです。
こちらも法律をきちんと適用すれば被害をなくすことができる事案が多く、やりがいがあります。

そのほかに大きな割合を占めている分野が、相続問題やや土地・不動産関連の事件、それからお年寄りの財産、家族をめぐる問題です。
それともう一つ出てきているのが企業関係です。

---なるほど。企業側の労務問題も多い傾向なのですね。

労務やコンプライアンス、人権に関する配慮に関するご相談ですね。
今、企業の責任は広くとらえられ、企業が人権・環境への配慮など、社会的責任を負うという理解が日本でもかなり進んできています。

ヒューマンライツ・ナウでは、日本企業の海外での原材料調達や途上国にある製造工場での人権侵害の事実調査などにも取り組んでいます。
こうした私たちの調査をきっかけに、事業のあり方を改めて、改善してくれる企業が多く、ポジティブな変化が起きています。
人権への配慮を事業に取り込むことに積極的な企業が増えたのに伴い、企業がNGOとダイアログをする機会が増えています。
私自身も企業や機関投資家対象のセミナー、研修に来てほしい、という依頼を受けて、セミナー、研修の講師をしたり、企業へのアドバイス等を行っています。

---先生の相続に関するご見解、相続を考えるうえでのアドバイスがあれば教えてください。

まず、いつも思うのは、遺言がないと、どうしても遺産争いが長引いてしまって後々の解決がすごく大変なので、まずは遺言を作成してほしいな、と思います。
公正証書にしたほうが後に疑義も生じませんので、弁護士に早めに相談してほしいと思います。
早めに相談すれば、後々地獄のような争いにならなくてすみます。

また、相続が発生してしまうと、深刻な争いがなくても相続の処理に悩む方が多い。
例えば戸籍謄本を全部取り寄せて相続人間で分割する、というような一つ一つ煩雑な手続きができなくて戸惑っていらっしゃる方ってとても多いのです。
私は自治体、区、の相談員をしていますが、そこでは相続のご相談がとても多いですね。
多くの方の悩みは何かというと、誰が相続人なのか、どんな割合でわけたらいいのか、登記は誰にお願いしたらいいのか、という基本的なことで、悩んでいらっしゃる方がすごく多いのです。

日本は高齢化社会を迎えていますから、相続の案件が本当に多いのですけれども、相続問題を解決した経験のある人は少ないし、なかなかまだ弁護士も身近でないのが実情です。
例えば相続の処理では、最初に戸籍謄本をさかのぼって相続人を調査し、確定する必要がありますが、そうしたことについても、「どうしたらいいんだろう」と悩みつつ、「弁護士さんは縁遠い」とおっしゃる方が多いので、潜在的に困っていらっしゃる方は本当に多いんだろうな、と想像しています。

自治体の無料相談に勇気を出してこられて、基本的なことを30分程度ご説明すると、「ようやくよくわかりました。相談してよかった。これで安心して眠れそうです」などとほっとして帰って行かれる方々が多いです。
そういうお話を伺っていると、もう少し気楽に弁護士に相談に来ていただけるといいな、と感じます。

ミモザの森法律事務所 伊藤和子弁護士

---初歩的なこと、手続きの方法などでも相談にきたほうがいいと。

そうですね。
驚くのは、手続が面倒だから、例えば何千万単位の財産があってもほったらかしにしている、という話を結構聞くんです。
ある程度の資産があっても、最初の一歩がちょっと踏み切れなくて進まないっていう方が多い印象です。
筋道を立てて解決すれば何てことはないのだけれども、普通の方には事務手続は大変面倒ですし、自分から相続人の方々にお声掛けしても、ご兄弟の仲が悪かったりしてなかなかハンコを押してくれないみたいなところで止まってしまって、「夜も眠れません」という方も結構多くいらっしゃるんです。

弁護士は「事件」という言葉を使いますよね。
「相続事件」を処理するんだ、と言うと、自分が抱えている問題は、「事件」に当たらないじゃないかって思っていらっしゃる方がすごく多いと思うんです。
でも、「事件」かどうかということよりも、困っていて眠れないとか、1年、2年すごく憂鬱な時を過ごすのであれば、弁護士のところに早めに来て、実務的なところは手伝ってもらって、心の負担を軽くしてもらいたいなと思います。
私としても、本当に基本的なことが分からないで困っている、例えば相続放棄をどうしたらいいのか、とか、どこまで遺留分があるのか分からない、というお話をうかがっていますので、もっと身近なセミナーなども開催していけるといいな、と思っています。

---先生は、世田谷区の相談員もやっていらっしゃるのですよね?

月に1~2回ぐらい法律相談をうけています。
やはりご相談は相続が本当に多いですね。

ミモザの森法律事務所 伊藤和子弁護士

---先生がお仕事の中で意識していること、相談に来る方に対して心掛けていることは何ですか?

私の事務所にご相談に来られる方を拝見していると、相続にしても離婚にしてもそうなんですけど、いろんな意味で不当な仕打ちを受けて、他のご兄弟や夫などから心無いことを言われたり、すごく孤立させられてしまったり、本当につらい思いを抱えて来られる方が多いのですが、そういう方々が、こういうことになったのは自分が悪いって思っていることが多いんですね。

相談に来る方の多くが、自分が悪い、自分のせいだ、と思っていらっしゃって、例えばDV等の暴力の被害に遭っていても、家族から虐待されたり心無い仕打を受けていても、そしてAV出演強要被害ですら、こんな被害に遭うのは自分が悪かったと思って自分を責めて苦しんでいる方が多いんです。

そして、私のところに来るまで長い間、周囲にすら相談できず悩んで苦しみ続けている。
そういうつらい思いを持っている方に対しては、あなたをそういう状況に追い込んだ人たちに責任があるのであって、あなたが悪いのではないということをいつも伝えるようにしています。
自分が悪いと思って自分を責めてしまうと、どうしても当然持っているはずの自分の権利を主張できずに、自分を押し殺して我慢してしまうのです。
「こんなことはとても言えない」と、なかなか言い出せないまま、ずっと我慢してきたという方が多いし、相談に来てもまだそういう心境を引きずっている方がいます。

相続や家族の紛争でもそうです。
姉妹間の争いで、幼いころからずっとお兄さん、お姉さんから「お前らが悪い」とか言われ続けてコンプレックスを抱え、傷ついて何もいえない、そして相続の際にも全く無視される、ということは結構あります。

会社でもずっとハラスメントの被害にあい続けてきた、という方は結構いらっしゃる。
そういう長年の積み重ねは人のメンタリティに強く影響します。マインドコントロールのような被害もあります。
本当は法律を適用すれば、問題から解放されるはずなのに、ずっと我慢してきたし、弁護士のところにきてからも権利の行使をためらっている方々が多い。

ですので、あなたが悪いのではない、ということを伝えたい、そして法律で認められている当たり前の権利を回復するため、きちんと戦ってもらえるように、励ましていきたい、といつも思っています。
奪われている真っ当な権利をきちんと回復してほしい、と願って活動しています。

 

■最後に

---弁護士歴23年を振り返ってみて、いかがでしたか?

弁護士になってとても良かったなと思います。
大変なこともいろいろあったと思うのですけども、楽しいことが多いですよね。
生きていると、社会であったり、仕事で接する人たちの様子を見ていて、憤りを感じることとかいろいろあるじゃないですか?何でこの人はこんなに踏みつけにされているのだろう、と思ったり、社会においておかしいな、と思うことが結構あったりして、そういうときに自分の職業であったり、資格であったり、NGOという立場を通じて発言をしたり、自分の弁護士としてのスキルを使って事案を解決するということを通じて、おかしいと思ったことはおかしいと表現し、問題提起できるわけです。
それによって、例えば少しでも社会を変えたりとか、不当に苦しんでいる依頼者の方々の状況を改善することができる、ということが、これまでの職業生活を通じて少しはできてきたのかな、と思っていて、これは今の仕事じゃなければできなかったと思うのです。

ミモザの森法律事務所 伊藤和子弁護士

---今後の伊藤先生の方向性、ビジョンは何ですか?

今のままのスタイルで、人権、女性やマイノリティの方々の権利を実現するということをワイフワークとして続けていきたいと思います。
そして、「人権」「事件」と言われると大げさに感じてしまうけれど、悩んで困っている、という方が身近に相談に来てくださるように裾野を広げていきたい。

地元が世田谷で、相談員もしているのですが、今はやっぱり高齢化社会になり、相続の問題が深刻だと感じています。
地元の人たちの中で困っていらっしゃる方は結構いらっしゃるので、もう少し身近にその人たちにアプローチできるようにもっときめ細やかな対応を心がけていきたいと思っています。

また、日本における女性の地位は今も低く、まだまだ不合理なことが多い。
先日、刑法の改正で性犯罪規定が被害者の要望を受けて改正されましたが、それでもまだ泣き寝入りをする人をたくさん生み出している法制度だと思います。
DV防止法はあっても、DV被害者に対する社会の対応はまだまだ冷たい。
AV出演強要被害やリベンジポルノ等の被害に対する抜本的な対策もまだ不十分です。

女性たちを苦しめているひとつひとつの問題を改善して、もっと社会全体の流れを変えていくような役割を果たしていきたいなと思います。
また、そういったことに取り組む若手の人たちをもっと育てたいなと思っています。

---最後に相談に来られる方に一言メッセージをお願いします。

「これは法律問題なのかしら」っていうことを悩んでいたりとか、「こんなことで弁護士に相談してもいいのかしら」と悩んでいらっしゃる方、悩みを持ちつつ弁護士のところに相談に来られない方というのは結構いらっしゃると思うのです。
でも、そのことで、何か大きな権利、そして大切なものをみすみす奪われている、ということを何度となく見てきました。
ですから、まずは困ったら、気軽に相談に来てみてほしいなと思います。

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伊藤 和子 (東京弁護士会所属 / ミモザの森法律事務所)

女性、子供どもの権利、企業のコンプライアンスなど、国を超えた人権問題を中心に取り組んでいる事務所です。 人権、労働問題に限らず、身近におこるトラブル、悩みについても多くのご相談をいただき、解決してきた実績があります。 家族の中で起きる問題、日常生活で起きる問題まで、つらい思いを抱えている方、悩んでいる方はまずはご相談ください。

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相続相談弁護士ガイド 編集部

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