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法律家として、新たなビジネスフィールドに挑戦する、虎ノ門の川口誠弁護士に会いに行ってみた。

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更新日:2019年10月30日
法律家として、新たなビジネスフィールドに挑戦する、虎ノ門の川口誠弁護士に会いに行ってみた。のアイキャッチ

今回は、虎ノ門にある、風の森法律事務所の川口誠弁護士に会いにいきました。
東京メトロ銀座線「虎ノ門」駅から、徒歩1分の場所にあります。

川口先生は、不動産の中でも借地権関係の事案を多く手掛けている弁護士です。
一方で、弁護士の仕事の枠をこえて、ビジネスの立ち上げなど、法律家として様々な企業のビジネスの成功のためにも積極的に活動されている先生です。

風の森法律事務所 川口誠 弁護士
風の森法律事務所 川口誠 弁護士

今回は川口先生の人柄を中心に、先生のビジネスに対する考え方や、海外ビジネスでの注意点などをお聞きしてきました。

 

■風の森法律事務所に関して

---まずは、風の森法律事務所の特色や強みを教えてください。

特色としては割と依頼者との距離が近いということです。
ただ一つの事件を事件としてやるっていうよりも、依頼者と一緒になって一つ一つやっていくっていうところが強みなのかもしれません。

---どのようにして、お客さんと一体となって事件解決やビジネスを進めていく秘訣などありますか?

ビジネスをやっている方であれば、自分のビジネスを高めて、強めていきたいっていう希望があるわけですよね。

弁護士の仕事をやっていると多方面につながりを持つことができますので、そういった自分が持っている情報がお客さんの役に立てばと常々思っているのです。
ビジネスとは関係のない個人的な裁判をお願いされることも当然にありますが、一つの事件をきっかけにして、その人の周辺のことなどを雑談の中で話していくうちに、ニーズを感じ取って提案するのです。
そのようにして、裁判とは全く別の仕事につながっていくことがよくあるのです。

結局、裁判というのは、新しい何かを生み出すというよりは、失われた損害を回復するといったマイナスの世界なのですね。
ですから、裁判の打ち合わせでも、マイナスの世界の話ばかりではなく、雑談で前向きな話もしたくなるのですね。

---確かに、そうですね。弁護士のお仕事はお客さんをいかに回復できるかというところのお仕事だと。

例えば、貸したお金が返ってこないとか,交通事故で怪我をしたという場合などがわかりやすいかもしれませんが、そのマイナス分をどこまで回復できるかということで裁判や交渉をするわけですね。
常にマイナスからゼロを目指し、ゼロまで行ければ大成功というわけです。
医者の仕事に似ているかもしれません。
病気というマイナスの状態を健康等ゼロの状態を目指すわけですから。

ただ、弁護士の仕事もマイナスの世界ばかりではなく、契約ごとに関わっていったり、ビジネスの仕組みを作るといった、世の中に新しいものを生み出すというプラスの世界の仕事もあるのです。

風の森法律事務所 川口誠 弁護士

---弁護士でいうプラスの世界について詳しく教えて下さい。

ビジネスをスタートさせるときというのは、儲けの方ばかりに頭が行って、きちんと形を作る前に物事がどんどん進んでしまうことがあるのですが、それがやがて大きな利益が出たり、逆にうまくいかなくなった時に、あらかじめ決まったルールがないと、せっかく一緒にやっている仲間の間で不信感をもったり、喧嘩になったりするのですね。

出資されたお金が単なる貸金なのか、出資金なのか、よくわからないまま進んでしまい、結局声の大きい者に会社を支配して、好きなように経費を使うようになって、他の人は離れていくなどということがあるのですね。
私の場合、そういったルールづくりが得意と言いますか、そういったところをやっていきたいと思っているのです。

法律家というとビジネスの現場から少し離れた位置に身を置いて、問題が起こってから相談にのるというのが通常かと思います。
契約書を作る場合でも、相談者からの話を聞いてドラフトを作成し、それをリバイズして作り込んでいくのが普通かと思います。
ただ、人間関係や商流、どういうところに問題が起きそうなのかをイメージできないと本当にトラブルになった時に、契約書が機能しない場合があるかと思います。
ですから、実際に中に入って人間関係を見て、「じゃあ、こういうルールがいいよね」と行った具合に、同じ夢を共有する仲間として、一つずつ作っていくというのが大切だと思っているのです。

---弁護士がいることで、ビジネスの成長や成功にも繋がるといいですね。

先日、テレビを見ていたら少し面白い話がありまして。
それは、ビジネスの現場における新種という話だったのですが、要するに、失敗した実業家と投資家と弁護士や会計士などの士業との組み合わせがとても相性がよく、そういった新種が出てきているというものでした。
失敗した実業家の中には、斬新なアイデアを持っていて、幅広い人脈があり、バイタリティーに富んだ人が結構います。
エンジェルという投資家からすれば、そういった人に出資をしたいと考えているものの、一度失敗していることから、出資をためらってしまうのですね。

そういったところに弁護士などの士業が関わることで、円滑にビジネスを立ち上げていって成功に導くというのです。
最近化粧品関係の仕事に私も役員として関わっているのですが、ビジネスというのは、進めていけば次から次へと問題が生じ、その都度法律家的な目から意見をすることがビジネスを円滑に進める上で、大切だなということを実感しておリます。そういったビジネスの現場に身をおいて、法律家の目から意見をしていくというのも、弁護士の新しい役割として重要かなと思っております。

---まさしく、新しい役割としての弁護士像ですね。

最近は、弁護士が積極的に社外取締役に就任して会社のガバナンスに関わっていこうとするケースが増えているようです。
社外取締役が設置されているのは、基本的に上場企業など大企業ばかりのようですが、本当は小さな会社こそ弁護士がガバナンスに関わった方がいいのではないかと思います。
大企業やある程度きちんとした会社であれば、会社法やその他の法令に従ったガバナンスを意識して会社運営がなされていると思いますが、数人が集まって立ち上げたばかりの会社の場合、会社法など全く意識せずに一部の力のある人の意見だけで会社運営がなされてしまっているケースが多いようです。
株主総会や取締役会も実際には開催されず、議事録だけを作成するというのではなく、やはり会社をうまく運営していくには、面倒でも会社法に従って運営をしていくべきなのです。

また、弁護士もただ顧問として外から事後的にアドバイスをするばかりではなく、株を一部保有するなどした上で、契約書の作成などの業務を分担するなどして、積極的に会社の経営に関わっていければと思います。
そのほか、取引の決済等に関わることで取引を円滑、確実にするという場面でも弁護士として関わっていければいいかと思っております。

例えば、海外との取引やネットの取引などの場合には、お金を払ったのに本当に物が送られてくるのか安心できませんね。特に高額の商品であればなおさらであるかと思います。
そういったときに、弁護士が取引に関わり、一旦代金を預かった上で、契約どおりの物がきちんと送られたことを確認した上で、代金を支払うことで取引を円滑、確実にするお手伝いをするのです。
こういった役割は単に物の取引の場面だけでなく、いろいろと応用がきくものだと考えておりますので、こういったこともやっていきたいと考えております。

---弁護士の必要性が企業にもでてきているのですかね。

弁護士になって思いましたけど、会社法を勉強して、実際の小さい会社の中で取締役会とか株主総会をやっている所なんかほとんどないわけです。
要するに、社長がどんどんやっていって、取締役が会社にたまに来ることがあるとか、名前だけとか、そんなことはいっぱいあるわけですよ。
でも、そういうところで「じゃあ、株主総会をちゃんとやりましょうか」って言うと、なかなか今までやったこともないことをいきなりできないわけです。
でも、会社の業績が良くなってきて、ちゃんとした会社になってくるのであれば、やっぱりそういうところはちゃんとやっていかないと会社はうまくいかないんです。
要するに、社長1人の感覚だけでいっちゃうのもいいんだけど、人が増えて、出資する人が増えてきたら、ちゃんとガバナンスをやっていかないとっていうことです。
1人だったらいいんだけど、そうでない限り、そうやっていったほうが会社も伸びるし、いいと思います。

---今度は弁護士業にフォーカスして、先生の受けている事案は、どのような依頼が多いですか?

不動産取引に関する事案、特に借地非訟など借地の取引に関わる案件が多いですね。
たまたま顧問先にそういう所があるからかもしれませんが。もちろん、交通事故や、離婚、相続、その他損害賠償請求の訴訟など一般的な事件も取り扱います。

それと最近面白いところでは、ミャンマーにおける会社設立に関わるケースも何件かやっております。
ただ、会社の設立をするだけでなく、必要な契約書の作成やビジネスのスタートアップにおける関係者の役割や報酬の分配等に関する取り決めを書面等にして、トラブルが生じないようにアドバイスをするといったもので、ミャンマーで事業をしたいという人のお手伝いをするのです。
ミャンマーに何度も行っているうちに、現地の弁護士など友人が多数できましたので、そういった人たちとの人間関係が仕事をする上で非常に役立っております。

---借地権の問題である、借地非訟について詳しく教えてください。

借地非訟というのは、要するに借地上の建物を第三者に売買する際、地主さんに承諾料を支払う必要があるのですが、承諾料の金額に折り合いがつかないなどの場合に、裁判所に申し立てて承諾料を決めてもらうといった手続のことです。
木造の建物を取り壊して、新たにビルを建てることとなれば、さらに条件変更承諾料などの支払いも必要になります。
このような承諾料は、契約書に書かれておりませんし、その上高額になるのが通常ですから、話し合いで簡単に決まらないケースが多いのです。

また、地主さんと直接話をして関係を悪くするよりも、早々に借地非訟事件にして、裁判所に決めてもらった方が、かえって関係が悪くならないかもしれません。
裁判所に申し立てたからといって喧嘩を売ったとかそういうのではなく、事務的な手続きだと思って、もっと活用されるべきだと思います。

---不動産関連だと、具体的にどのような相談、依頼が多いですか?

それと、最近ですと共有不動産の売買というのも結構出てきているようです。
相続やその他の事情で不動産が共有になってしまっている物件は結構あるかと思います。
共有者全員がまとまって物件を売れればいいのですが、意見が合わないため、売れないままになっているというケースが結構あります。
いくら持分を持っていても使えなければ意味がありませんし、安くてもいいから早くお金にしたいということも多いかと思います。
そのような物件を積極的に購入している業者が最近出てきているようです。

風の森法律事務所 川口誠 弁護士

---共有持分を業者が買い取るっていうこですよね。

そうです。
共有持分では銀行の融資もつきませんし、買っても使いようがないというのが通常ですから、これまで共有持分を購入しようとする業者はほとんどいかなったと思います。

ただ、一方で安くてもいいから売却したいというニーズもあるのです。そのような場合、業者さんの方で安く共有持分を購入した上で、他の共有者と交渉し、交渉で決着が付かなければ共有物分割請求の申し立てをしていくということになるのです。
今まではなかったビジネスで、うちから提案するわけにはいかないですけど(笑)、そういうのもちょっと関わってやっていきたいかなと思っているのです。

---なぜ、業者やそのようなビジネスが増えてきたのでしょうね。

やはりインターネットの影響が大きいのではないかと思います。
不動産取引の中で底地や借地、共有持分の売買といったものは、全体からすれば少ないのだと思います。
そういった少ない市場を扱いたくても対象が少なければビジネスにならなかったのです。

ところが、情報が溢れるネット上で他とは違う差別化された情報を提供することで、それまで扱えなかった底地、借地、共有持分というものがビジネスになるようになってきたのだと思います。

---個人と法人の割合で言うと、どれぐらいになるんですか?

おそらく6対4ぐらいで個人の方が多いかと思います。
法人の事件と言っても社長や従業員の個人的なケースも多いのですね。
あとは刑事事件でしょうか。

 

■川口誠弁護士について

---川口先生が弁護士を目指した理由・キッカケを教えてください。

大学は法学部でしたので、入学して少しは司法試験の勉強をかじりましたが、その後はバイトをしたり人生を謳歌しているうちにあっという間に4年生になって就職活動をするようになったのです。

ただ、一方で企業に入るよりも自分で何かをしたいという気持ちが漠然とあったのです。
それで、司法試験や弁理士試験などの資格試験が頭をよぎるようになったのですが、今更勉強を始めても遅いよなという気持ちから踏み出せませんでした。
それで、それこそ就職先も決まっていよいよ卒業というときに、ふと5年後に「あの時始めていればよかった。」と後悔するのではないかという気持ちになったのです。
それで、やるかやらないか悩むなら、やって後悔しようと思い、勉強始める前に就職先を断ってしまったのです。
その上で、働きながら勉強ができそうな警備員のバイトをするようになったのです。
もはや身の置き場がない状態で、試験に合格する以外に道がありませんでしたから、バイトをしながらひたすら勉強を続けたのです。

風の森法律事務所 川口誠 弁護士

---卒業して、司法試験まではどのように?

最初はともかく暗中模索でしたね。
大学時代に試験の勉強をほとんどしておりませんので、勉強仲間もおりませんし、何をどうしていいのか全くわかりませんでした。
早稲田には法学部棟の4階に大きな図書室があって、通称「ヨンドク」というのですが、そこに司法浪人が集まるのです。まあ、そこで一日中法律の基本書を読むわけですが、さっぱり意味がわからず、とても日本語で書かれているとは思えないほどで、絶望感しかありませんでした。
やがて、司法試験予備校に通うようになったのですが、そこでようやく法律の基礎的なことがわかるようになり、法律の勉強が面白くなってきたのです。
試験に受からない限り、そのまま警備員を続けるしかありませんので、面白くなくても面白いと思い込まなければならなかったのかもしれません。
ともかく、結構受けましたが、合格することができたのです。

---その当時に実行したことで、今があるのですね。

何と言いますか、思い付いた時が吉日じゃないですけど、あとから考えたらあの時やっておけば良かったと後悔することよくありますよね。
あとで後悔するくらいなら、もうその時に始めようと、その時がスタートですよね。
要するに、「今でしょ!」っていうやつですよね(笑)。

---では、先生の大学卒業後の苦労話があれば教えてください。

受かるまでは大変でしたね。
お金もないし、バイトと両立ですから。
ただ、勉強を続けていると仲間もできて、ちょっと疑問とかがあると仲間同士で議論をして、「ああ、こうだよね」っていうのも楽しかったですし、お金がないながらも仲間と貧乏キャンプに行って騒いだりと、今思えばいい時期でした。
その当時はそう思っていなかったかもしれないけど(笑)。

---弁護士になってからの苦労話もあったりしますか?

時間をマネージングしなければならないというところでしょうか。
毎日何時から何時まで働けばいいというものではなく、締め切りに追われ続ける仕事という面があるのです。
時間があると思ってゆっくりしていたら、すぐに次の締め切りが迫ってきて、結局徹夜で仕上げたなどということはこれまで何度もあります。
負け筋の事件などは、反論したくても相手の言うことがもっともで何も思いつかないんですね。
それで、筆が全くすすまないままに休日を潰すこともよくありました。

---先生の趣味など、今はまっていることって何かありますか?

休日のゴルフとか、あるいは趣味ではありませんが、仕事で海外に行く機会が結構あるものですから、語学の勉強をしたりとかですかね。

 

■お仕事に関して

---先生がお仕事で一番大切にしていることは何ですか?

法律相談ってありますよね?法律相談って、相談者に法律家の観点から事案を説明して、意見を述べるというのが普通ですよね。
でも、相談者って、「じゃあ次は何をしたらいいの?」「どっちに次の一歩を踏み出したらいいの?」っていうのがわからないというのが結構多いのですよね。
「何となく、いろいろ説明を受けました」と、それで終わっちゃう法律相談が多いんですけど、そこまでじゃなくて「じゃあ、あなた、今日法律相談が終わったら次はこっちに向かって一歩を踏み出してください」と。
決断まで促すようにアドバイスするように心がけております。

例えば、遺産分割なんかの話で兄弟と揉めちゃっていますと、例えば相談の時にいきなり「遺産分割調停っていうのがありますよ」「調停が駄目だったら最後は審判になりますよ」「こういう部分は裁判になります」とか、そういう相談だったら、そういう知識を与えるだけじゃなくて、「じゃあ、今後お姉さんと話し合えばちょっと余地があるね。まだ一回も話していないんでしょ? 今日これが終わったら、まず1本連絡してあげてください」とか、連絡しづらいっていうんだったら、「じゃあ手紙を書きましょう」と、「こういう内容の手紙を書いたらどうですか?」「じゃあファックスにしましょうか」「メールでいいんじゃないの?」とか、そういう次の一歩がイメージできるような話をしてあげるというか、アドバイスをしてあげると。

それが「いや、いくら話をしても無駄ですよ」という場合、「そうしたら早速、調停の申立てをしましょう。うちのほうで受任するのであれば、今日戻ったら、このようにして、もう一回事務所に連絡してください」「打ち合わせをして、委任状を作ってください」とか、そういった具体的なアドバイスをするんです。

それは何でもいいんですけど、金を貸しているけど取れなくて困っているとすると、「いっぱい方法はありますよ」と。
例えば、「裁判をする方法がありますよ」「支払督促というのがありますよ」「内容証明を出すっていう方法がありますよ」とか、「こういうのにはこういうメリットがあって、デメリットがありますよ」っていうのが普通の法律相談なんです。
メリットとデメリットを説明して。
でも、それだけだと「ああ、なるほどね」で終わっちゃうわけですよ。
実際に取り立てられないというか。

そうじゃなくて、その中で「あなたの場合はこの方法がいいから、まずは内容証明を打つところからやりましょう。内容証明の書き方は分かりますか?」と。
人によっては内容証明を出しましょうと言っても分からないこともあるので、例えば、「ネットで見ればひな形があるから」と、もし「私はコンピューターをいじれないし、プリンターもない」というなら、「じゃあ、文房具屋に行ってください」とか(笑)、そういう相談のあとの次の一歩までアドバイスできるように心掛けているということです。

風の森法律事務所 川口誠 弁護士

---他の弁護士に負けないところ、差別化できるポイントは?

弁護士業って基本的には法廷で裁判の代理をする仕事ですよね。
ただ法廷だけに限られるものではないし、弁護士の人数も増えてきている中で、弁護士の業務をどんどん拡大していかなきゃいけないんですね。

特にやっていかなきゃいけないのは、今まで業務と思っていないことを弁護士の業務に取り込んでいくっていうことをやっていかなきゃいけないと思うんです。
昔、ある先生が株主総会を弁護士の仕事としたという例があります。
それまで株主総会といえば、総会屋が騒いで、会社はシャンシャン総会と言って早く終わらせるというのが定番でしたね。株主総会の前に会社の総務が総会屋に金を渡したりとか、そういう裏の世界があったわけです。

でも、これじゃいかんということで、弁護士がそこに入ってきちんとカバナンスをしましょうと。
総会の運営指導などを弁護士がアドバイザーとして関与することを弁護士の一つの仕事としたのです。
総会屋のおもちゃで、収入源であった株主総会、本来あるべき姿にしようとしたのですね。
要するに今まで弁護士が仕事とは思っていない分野を仕事にしたんですよ。
そのような今まで弁護士が関与していなかったところに、法廷とは違うけれども、「これ、弁護士がやったほうが望ましいよね」っていうのを見つけていきたいんです。

その一つかどうかわかりませんが、取引の同時履行を確保するため取引に中立的な立場で関わるといったエスクロー業務というのがあります。
不動産の取引、ネット取引、貿易などでよく言われてますね。
海外取引やネット取引などの場合、先に代金を送金したものの、物が届かないとか、全く想定していた品質と違う物が届いたなどといったトラブルや、逆に商品を送ったものの、代金が支払われないといったトラブルが想定されますね。
こういったリスクのため取引が円滑にできないといったことがありますね。
特に高額のものとなればなおさらです。
そこで、契約の問題点などをアドバイスした上で、中立的な立場で取引に介在し、一旦代金を預かった上で、商品が送付されたのちに決済の代行をすることで取引のお手伝いをするといったことが弁護士の一つの仕事になればと思っております。

これは、相続争いなどの時にも応用できると思っております。
遺産分割がこじれてしまうとなかなか解決までに時間がかかってしまいますよね。
ただ、いつまでもまとまらないと、相続税に延滞税はもちろんのこと、不動産の場合には固定資産税等も発生してしまうことになりますね。
それにいい買い手が現れても売り時を逃してしまう危険性があるわけです。
また、廃墟になっている不動産をいつまでも放置しておくことは、周囲に大変迷惑をかけることにもなりかねません。
そのようなとき、不動産の売却だけは合意して売却し、相続争いに関する決着がつくまでの間、売却代金を弁護士に預かってもらうことができれば、そのような問題を回避することができるのではないかと思うのです。

今後はどのようになっていくかは分かりませんが、弁護士としての新しいビジネスを一つつくって、それが世の中にとって必要で受け入れられるならやっていきたいなと思っています。

風の森法律事務所 川口誠 弁護士

---次に、海外進出に注意すべき点、近況の海外の状況などを教えてください。

私の場合はミャンマーが多く、海外の事情全般に精通しているわけではないのですが。
特に東南アジアなどの場合、法律が整備されていなかったり、法律の建前と実際がずれていたり、あるいは運用がコロコロ変わるなどと言うことがあるわけですね。

やはり最新の情報と、現地の信頼できる人物をきちんと見つけてビジネスをつくっていかないと、ただポンっと飛び込んで行ったら失敗することも多いし、騙されて痛い目に遭った人もいるようです。
それと国にもよるんですけど、基本的にどこの国でも弁護士さんってウソをつかないわけですよね(笑)。
ですから、信頼できる現地の弁護士に相談することが間違いのないやり方ではないかと思います。

それと、日本人の場合はあまり言われませんが、国によっては東南アジアの国を低く見るということがあるようです。
それでは互いに信頼できる関係を作れませんね。
やはりビジネスの基本はコミュニケーションですから、コミュニケーションをきちんと取って進めていかないと駄目なので、そういった姿勢が大事かなと思います。

---日本の法律との違いも多かったりしますか?

ミャンマーの場合、不動産に関しては日本の法律と随分異なりますね。
日本は土地と建物が別の不動産とされておりますが、ミャンマーの場合、一つの不動産とされているのです。
ですから 土地を借りて建物を建築した場合、自分が建築したにもかかわらず、建物の所有権を土地の所有者とせざるを得ないのです。
また、外国会社が土地を借りた場合、その賃貸期間は1年と法律上されている上、日本のように賃借人が守られるような仕組みになっていないのです。
そのため、建築費にお金をかけてせっかくビジネスがスタートしても、1年後には出ていかなければならないと言うのでは、とても危なくてビジネスにならないのですね。
それと、日本のような整備された登記制度がないため、交渉している相手が本当に土地の所有者なのかを確かめるのも簡単ではないのです。
一応、不動産の取引に関しては、契約書を登録するといった制度がありますので、そういった登録を確認するとか、納税証明書などで確認するのですが、それでも日本人からすれば、本当に所有者であるのかの疑念は残ってしまうのです。
結局、その人物が信頼できる人物なのかといったが大切になってくるのですね。そういう法律とは違った意味での難しさがあったりしますよね。

 

■最後に

---弁護士歴20年に突入し、振り返って見ていかがでしょうか?

あっという間の時間でしたね。
やはり若い時も今も、日々新しいことを学んでいかなきゃいけないっていうところは変わらないですし。

---今後の先生のビジョンとか方向性は?

先ほどもお話ししましたが、今まで弁護士が手がけてこなかった分野を探していきたいと思っております。
また、弁護士の視点だけからでは見えてこない部分もありますので、自らもビジネスの現場に身をおいていく機会を増やしたいと思っております。

風の森法律事務所 川口誠 弁護士

---最後に、記事を見てくれた方、相談に来られる方にメッセージをお願いします。

弁護士は、やはり相談者とのコミュニケーションが大切だと思っております。
一つの事件を処理するにしても、その背景事情が重要だったりします。
事件の背後にあるそういった隠れた事情を聞き出す能力も弁護士には必要ですが、相談者の方も自分で弁護士に話す事柄ではないと決めつけないで、何でも相談して欲しいと思っております。

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川口 誠 (第二東京弁護士会所属 / 風の森法律事務所)

事件解決のためには、まずご相談者頂く方とのコミュニケーションを大切にしております。 お気軽にご相談を頂ければ、解決の糸口が見つかり、問題の解決が早まると思います。 遺産相続や、不動産のトラブルに強みをもっておりますので、まずはお気軽に法律相談へいらしてください。

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