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【弁護士監修】相続する資格がない?相続欠格とは?

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弁護士 古閑 孝 アドニス法律事務所

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更新日:2020年07月07日
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相続人(相続を受け取る資格のある人)は、基本的には被相続人(故人)と一定の身分関係にあれば相続人になりますが、場合によっては、相続人であっても相続資格を失うことがあります。

  1. 相続欠格(民法891条)
  2. 相続排除(民法892条)

今回は、相続欠格をテーマにお話をします。

相続欠格とは

法定相続人が相続に関して、自分の相続が有利になるように不正な行為をし、またはしようとした場合、その法定相続人は、相続人の資格を失うことを「相続欠格」と言います。相続欠格に該当して者を相続欠格者と言い、相続欠格者は同時に受遺者としての資格も失いますので、遺贈を受けることもできません。ただし、相続欠格者は代襲原因にあたるので、欠格者の子は代襲相続することができます。

相続欠格の事由

相続欠格の事由としては、民法に規定がある以下の5つに定められています。

故意に被相続人、先順位・同順位の相続人を死亡するに至らせ、または至らせようとしたために刑に処せられた者

「故意」とは、殺人の故意を指すため過失致死や傷害致死は含まれない。

「刑に処せられた者」(=実刑を受けたこと)が要件となっており、執行猶予については、執行猶予経過後は欠格とならないとする見解と、執行猶予が付されたか否かにかかわりなく、欠格事由に該当するとする見解に分かれている。

被相続人が殺害されたことを知ったにもかかわらず、これを告発せず、又は告訴しなかった者

是非の弁別のない者(善悪の判断が付かない者)の場合、または殺害者が自己の配偶者若しくは直系血族であった場合を除きます。

例)父が殺害されたが、その息子は知っていたにも関わらずこれを告発・告訴しなかった場合は、相続欠格者になる。ただし、その加害者が息子の妻だった場合は相続人になれる。

詐欺又は強迫によって、被相続人が相続に関する遺言をし、撤回し、取り消し、又は変更することを妨げた者

詐欺・脅迫があっても被相続人が遺言を作成、取り消し、変更した場合は適用されません。

詐欺または脅迫によって被相続人が相続に関する遺言をさせ、撤回させ、取り消させ、または変更させた者

詐欺・脅迫があっても被相続人が遺言をしなかったり、取り消し、変更しなかった場合は適用されません。

相続に関する被相続人の遺言書を偽造し、変造し、破棄し、または隠匿した者

不当に利益を得ようとする目的でなかった場合には適用されません。

※相続欠格者にあたらないとされた判例

被相続人の意思を実現させるためにその法形式を整える趣旨で遺言書を偽造または変造をしたにすぎないとき、遺言公正証書の保管を託された相続人が遺産分割協議が成立するまで他の相続人の一人に存在を告げなかったことは隠匿にあたらない。相続人が被相続人の遺言書を破棄または隠匿した行為が相続に関して不当な利益を目的とするものでなかったとき

相続欠格の効果

相続人となるべき者が上記5項の相続欠格事由のいずれか1つに該当した場合、相続資格がなくなります。相続資格がなくなるということは、相続人ではなくなるということになります。

相続欠格は、裁判所・役所の手続きも必要としません。

相続が開始した場合、欠格者は相続人ではないものとし、相続財産は他の相続人に分配されます。欠格者に子や孫などの直系卑属がいる場合は、代襲相続をすることになります。

相続開始前に欠格事由が発覚した場合、発覚時から相続資格を失います。相続開始後に欠格事由が発覚した場合、相続開始時に遡って資格を失います。

すでに遺産分割されている場合は、他の相続人が欠格者し対し相続回復請求をすることになります。

特定の被相続人との関係で相続欠格事由がある場合、他の被相続人との相続資格が失われることはありません。

相続欠格は、何の手続きも要らずに、遺言書より強い効果をもちますので、くれぐれもご注意下さい。

相続に強い弁護士

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古閑 孝 (弁護士)アドニス法律事務所

相続は、どなたにも身近で起きる出来事です、しかし、感情で揉めてしまったり話し合いで解決出来ないことも少なくありません。 相続時には色々なトラブル・悩みが発生するものです、私の40年間という弁護士経験のを元に事例や状況に沿って対処法を電話でも解説可能...

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