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【弁護士監修】自動車が相続財産の場合の手続きや注意点

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弁護士 古閑 孝 アドニス法律事務所

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更新日:2021年03月10日
自動車が相続財産の場合の手続きや注意点のアイキャッチ

父が亡くなり、遺産には唯一父名義の車がありました。車が運転できるのは私だけなので、母と相談した結果、名義は私にすることに決めましたが、実際に相続での名義変更について、どのような手続をすればいいのか教えてください。

意外とよくある「故人の車を乗りまわす」ケース

相続財産の中で、あまり手続自体に注視されないのが自動車(またはバイク)かと見受けられます。

その理由として、他の相続財産である預貯金などは、手続を経ないと金員を下ろすことが出来ない等の不都合が生じるので、みなさんきっちりと然るべき手続を行うのですが、こと自動車となると、相続が発生した時点ではすぐに不都合が生じないことが多いようなので、何の不自由も無く、そのまま使用してしまうケースが多いのではないかと思います。

また、自動車は日常的に使用する方も多いので、「財産」である認識が比較的低いというのも原因の一つかも知れませんね。

しかし、自動車は立派な相続財産であることを、ここで改めて確認して頂きたいと思います。

自動車の相続手続をしないときのデメリット

相続の手続をしないということは、自動車の名義は被相続人のままです。

そのため、いざ自動車を買い換えたい場合や、登録抹消の手続など、車にまつわるあらゆる手続が出来ないほか、あまりにも時間が経過してから手続を行うと、取得できたはずの書面が取れずに手続に支障を来たしたり、また、他の法定相続人と連絡が取れないことや、自動車の相続手続をそのまま放置してしまったために法定相続人間でもめてしまい、相続手続そのものが進まなくなったりする等のトラブルが起こる可能性があります。

自動車の名義は誰なのかを必ず確認しましょう

ここで「自動車の名義は誰なのか」について改めて説明する必要はないと思いますが、誤解されるかたもたまにいますので、念のため説明しておきたいと思います。

単に、車の「使用者」=「所有者」であれば問題ないのですが、実際にはそうでないケースもありますね。

それは、自動車をローンで購入している場合や、リース契約をしている場合であり、それにより名義人が違いますので、確認をしておく必要があります。

特に亡くなった方の自動車であれば、もともとその方の名義だったのか、ローンが終っているのかいないのか等の状況が、意外と遺されたご家族が知らないケースもあります。

そのため、必ず名義を確認する必要があり、その名義によって今後進める手続が変わってくるので、必ずチェックしてください。

自動車ローンが残っていた場合

相続発生時にローンやリースなどがあった場合の車の名義はローン会社やリース会社となっており、実際に車を使っていた人(使用者)ではありません。

したがって、相続が発生した場合は速やかにローン会社等に連絡をし、債務者が亡くなった旨を報告し、残債務がいくらあるのかを確認し、その債務の弁済方法を相談するとよいと思います。

しかし、残債務は基本的に一括精算を求める会社もあるようなので、今後その車を使用し続けるかどうかの状況も含めて、よく相談して頂いたほうが良いでしょう。

また、残債務を返済ができないとか、ローンやリースを引き継がないとか、もう自動車を乗らないなどの場合は、ローン会社等が車輌を引き取り換価処分されます。

しかし、換価処分されてもなお残債務が発生した場合には、法定相続人に対し請求がきますので、その支払については、他の相続財産を含めて相続して支払いをするのか、はたまた、相続放棄の手続を取られるのか判断する必要が出てきます。

自動車の相続手続に必要なもの

相続における自動車の名義変更に必要なものは以下のとおりです。

名義人になる人によって揃えるものが違うので、注意が必要となります。

A 特定の法定相続人の名義に変更する場合

1.自動車検査証の登録手続

2.被相続人の、出生から死亡までの、戸籍全部事項証明書

3.法定相続人の戸籍全部事項証明書

【法定相続人全員が手続に来た場合に必要なもの】

4.法定相続人全員の印鑑証明書

5.法定相続人全員の実印

6.委任状(法定相続人のうち、手続に来られない場合。捺印は実印)

7.新しく自動車の所有者となる人以外の法定相続人全員の譲渡証明書(捺印は実印)

【遺産分割協議により代表相続人(新しく所有者となる相続人)が手続きを行う場合】

8.遺産分割協議書(法定相続人全員の実印が押印されているもの)

9.代表相続人(新しく所有者となる相続人)の印鑑証明書(発行後3ケ月以内のもの)

10.車庫証明書(証明後概ね1ヶ月以内のもの)

B 第三者に譲渡する場合

①法定相続人が用意する必要書類

1.自動車検査証

2.被相続人の戸籍全部事項証明書

3.法定相続人の戸籍全部事項証明書

【法定相続人全員が手続に来た場合に必要なもの】

4.法定相続人全員の譲渡証明書(実印を押印したもの)

5.相続人全員の印鑑証明書(発行後3ケ月以内のもの)

6.相続人全員の実印

7.委任状(法定相続人のうち、手続に来られない者がいる場合。捺印は実印)

【遺産分割協議により代表相続人が手続きを行う場合】

8.遺産分割協議書(法定相続人全員の実印が押印されているもの)

9.代表相続人の譲渡証明書(実印を押印したもの)

10.代表相続人の印鑑証明書(発行後3ケ月以内のもの)

11.代表相続人の実印

②新しく所有者になる人が用意する必要なもの

12.印鑑証明書(発行後3ヶ月以内のもの)

13.実印(本人が来られる場合)

14.車庫証明書(所有者と使用者が異なる場合は使用者のもの)

【所有者と使用者が異なる場合の使用者が用意する必要な書類】

15.使用者の住民票(発行後3ヶ月以内のもの)

16.使用者の委任状(使用者本人が手続きに来ることができない場合)

C 一時抹消登録する場合

1.自動車検査証

2.ナンバープレート

3.被相続人の戸籍全部事項証明書

4.法定相続人の戸籍全部事項証明書

【法定相続人全員が手続に来た場合に必要なもの】

5.相続人全員の印鑑証明書(発行後3ケ月以内のもの)

6.相続人全員の実印

【遺産分割協議により代表相続人が手続きを行う場合】

7.遺産分割協議書(法定相続人全員の実印が押印されているもの)

8.代表相続人の印鑑証明書(発行後3ケ月以内のもの)

9.代表相続人の実印

D 永久抹消登録する場合

1.自動車検査証

2.ナンバープレート

3.被相続人の戸籍全部事項証明書

4.法定相続人の戸籍全部事項証明書

5.申請をする法定相続人の印鑑証明書(発行後3ケ月以内のもの)

6.申請をする法定相続人の実印

7.解体に係る「移動報告番号」および「解体報告記録がなされた日」(引取業者にご確認ください)

【車検残存期間が1ヶ月以上の場合】

自動車重量税の還付を受けることができます。この申請には以下のものもあわせて必要です。

8.申請をする法定相続人の銀行等の預金口座内容

9.代理人申請の場合は代理人の印鑑

以上のように、車も立派な財産です。そのことを念頭に入れて然るべき手続を進めて頂きたいと思います。

また、自動車が残ってしまった為に遺されたご家族などがトラブルに見舞われてしまいますので、生前から対策を講じるのも一つかと思います。

相続に強い弁護士

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古閑 孝 (弁護士)アドニス法律事務所

相続は、どなたにも身近で起きる出来事です、しかし、感情で揉めてしまったり話し合いで解決出来ないことも少なくありません。 相続時には色々なトラブル・悩みが発生するものです、私の40年間という弁護士経験のを元に事例や状況に沿って対処法を電話でも解説可能...

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