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【弁護士監修】【相続トラブル】親族から相続放棄を求めらたらどうする?

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弁護士 古閑 孝 アドニス法律事務所

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更新日:2023年03月08日
【相続トラブル】親族から相続放棄を求めらたらどうする?のアイキャッチ

叔母から、相続放棄を求められている

相続については、様々なケースが存在しますが「相続放棄」を求められているトラブル事例についてです。

昨年、父方の祖母が亡くなりました。

父親が既に他界しているため、わたくしと姉が代襲相続人となり、他に叔母にあたる父の妹2人の、合計4人が法定相続人となります。

相続財産に、故人名義の土地がありますが、その土地の上にわたくしの母名義で建物を建てて、そこに現在も母が住んでいます。

ところが、叔母たちから「あなたたちは孫なのだから相続放棄をしなさい」と言われてしまい、母親が住んでいる家の「土地の賃料の支払え」と請求されています。そもそも、父親(故人)と祖母の間では地代についての取り決めをしておらず、無償でその土地を利用することに承諾をもらって、現在まで住んでいました。

叔母たちは、祖母が存命にも拘らず、祖母名義の車の処分をしたり、生命保険の受取人変更をしていたりと、好き勝手をしてきたようです。姉は「面倒なので放棄をしてもよい」と言っていますが、わたくしとしては、相続財産が幾ら有るのかわからない状態では納得もできないし、法定相続分は貰いたいと思っています。今後、どのように対処したらよいのでしょうか。

今回の相関関係を家系図にしてみました。

【相続トラブル】親族から相続放棄を求めらたらどうする?家系図

権利は主張しなければ、実現はしません

そもそも「相続放棄」とは、相続開始を知った時から3ヶ月以内に家庭裁判所に申立をし、裁判所がその申立を受理することによって、はじめから相続人でなかったことにするための手続きです。

今回のご相談の中で、叔母様方が要求されている相続の放棄とは、遺産分割協議において、共同相続人であるご相談者姉妹に対し、叔母2人にすべてを相続させることに了承することを要求されていることと思われます。

ご自身の相続する権利を放棄するか否かは、誰かに決められるものではなく、ご自身がお決めになるものです。相続人ご自身が納得できず、遺産分割協議の手続きに協力をしなければ、叔母様たちは、原則、相続の手続きを進めることはできません。

遺言書の有無にもよりますが、孫だからという理由で放棄を求められたのだとしても、ご相談者姉妹は、既に亡くなられているお父様の相続する権利を受け継いでおり、祖母の相続については、叔母2人と同等の権利を有しているのです。

遺言書があった場合も最低限の相続財産を貰う権利もある

仮に遺言書があった場合、原則は、遺言書に基づいて相続手続きを進めることとなります。遺言書によって遺留分に満たない遺産しか貰えない場合、多く貰った相続人に対し遺留分減殺請求をすることにより、自分の遺留分を取戻すことができます。

遺言書がない場合は、法定相続人全員による協議による遺産分割か、法定相続分に基づく遺産分割をすることになります。

叔母様方に、財産目録(遺産の内訳)を見せて貰って下さい。遺産分割協議は、故人の方にどのような財産があったのか、負債はなかったのか、などを知ることから始まります。その後、遺産分割協議を、相続人全員で行いましょう。その場で、ご自身の権利を主張されればよいかと思われます。もし、遺産の内訳を開示してもらえないのであれば、相手方の一方的な要求に応じる必要はないと思われます。

故人名義の財産の勝手な手続について

故人が存命中に行われた、車の処分や生命保険の受取人の変更については、その当時、故人に物事を判断する能力に問題がなければ、故人の意思で行われたと考えるのが一般的なので問題はありませんが、万が一にもその当時、故人が痴呆を患っていたり、病気などで物事を判断できない状況であったりしたのであれば、その手続は違法に行われたことになるため、その点について詳しく確認する必要があるでしょう。

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請求されている地代については、まずは遺産分割協議をきちんと行い、誰がその土地を相続するのか決めた時点で、その土地を相続した者との間で、今後についての話し合いを改めて進めていけばよいかと思われます。

最後に

世代が違う叔母様方と交渉を行うのは、自分たちが知らない事実を楯にされてしまい、困難な場合も多いと思われますが、ご自身の権利は主張しなければ実現しません。もし、お悩みのようであれば、お近くの弁護士などの専門家にご相談ください。

相続に強い弁護士

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古閑 孝 (弁護士)アドニス法律事務所

相続は、どなたにも身近で起きる出来事です、しかし、感情で揉めてしまったり話し合いで解決出来ないことも少なくありません。 相続時には色々なトラブル・悩みが発生するものです、私の40年間という弁護士経験のを元に事例や状況に沿って対処法を電話でも解説可能...

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