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【弁護士監修】相続税と贈与税の違いをわかりやすく解説!

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弁護士 古閑 孝 アドニス法律事務所

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更新日:2024年09月20日
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子どもに株式をあげる、彼女にお誕生日プレゼントをあげる。これらはあげた地点で、相手のものになりますから、贈与になります。

一方、長年連れ添った夫が死亡したら財産が当然のように妻に渡ります。これは相続になります。そもそも相続と贈与の違いは何でしょうか?

相続と贈与はどちらも対価0円で所有権があげた人からもらった人へ移動するという点では2つとも同じです。今回は相続税贈与税のしくみとともに2つの違いについてご紹介します。

相続税と贈与税の違いって何?

例えばノートを購入した場合、ノート1冊あたり108円だったとします。この108円は対価といい、お金と引き換えにノートという物の所有権が売り手から買い手に移転したということになります。これを譲渡といいます。もし、0円でノートをもらい受けたとします。この場合無償でノートの所有権は売り手から買い手に渡ったことになります。このように無償で財産の所有権の移転があること、無償での財産の譲渡が相続や贈与になります。

相続税と贈与税の具体的な違い

例え話1)

60歳の父が息子へ土地をあげたとします。父は病気でその2年後に死亡したとします。父は大富豪だったので沢山の財産を妻はもらいます。

相続と贈与のちがいはこんな風に簡単にとらえてみたいと思います。

  • 贈与・・・財産を与える人が生きている間の、財産の所有権が無償で相手に渡ること
  • 相続・・・財産を与える人が死亡したことがきっかけで、財産が対価0円で財産をもらった人に所有権が渡ること。

つまり、父が生きている間に息子が父からもらった土地については、所有権が父から息子に無料で移動したことになり、これを贈与と言い贈与税が課税されます。

これに対して、夫が死亡してから妻に無料で所有権が夫から妻へ移動した財産については相続となり相続税が課税されます。死亡してからの財産の無料の移転が相続、生きている間の財産の無料の移転が贈与ということですね。

相続税の節税対策~現預金の場合

先祖代々からの財産がたくさんあるご家庭の場合はどのように節税をしたらいいのかを迷うところです。現預金が沢山ある場合で、将来の相続人(推定相続人)が多い場合などは、被相続人(財産を与える人)の生前に、贈与して財産の分散をする方法があります。

贈与税は毎年1月1日から12月31日までの算定期間があります。この期間に贈与すれば毎年110万までは非課税となります。

将来の相続人(推定相続人)が多い場合で、相続人の年齢が20歳未満の場合は、毎年贈与をすることで、将来の相続財産を年月をかけて減らすことができます。

注意することがあります。それは相続開始3年前に贈与をしてしまうと、相続開始3年前の贈与金額はすべて相続税が課税されてしまうことです。これを生前贈与といいます。

生前贈与としてカウントされてしまうと相続税が課税されてしまいます。

贈与の時期についても、被相続人が元気なうちに贈与をしてもらうということをおすすめします。

相続時精算課税~相続人が20歳以上の場合の節税方法

・相続人(財産を受け取る人:贈与においては受贈者)が、被相続人(財産を与える人:贈与においては贈与者)の子または孫で、贈与年度の1月1日において20歳以上

・贈与者(財産を与える人)は受贈者(将来の相続人:推定相続人)の祖父母または親

言い換えると 「祖父母 ⇒ 子・孫」もしくは「親 ⇒ 子」

この関係性(直系尊属からの贈与)であればいいということになります。

上記の2つの条件を満たせば、贈与税の中でも相続時精算課税が利用できます。

贈与税には2パターンあります

1つ目は「暦年(課税)贈与」で、毎年の非課税額は最大110万で、110万を超える贈与金額については贈与税が課税されます。これに対して、2つ目の「相続時精算課税」の場合は、2500万円以上であれば贈与税が課税されます。

・暦年贈与・・・毎年非課税金額は110万

・相続時精算課税・・・一生のうちで非課税金額が2500万

ですから、暦年贈与の場合は、3000万という額を30年かけて毎年100万ずつ贈与したとすると、税金は0円になります。暦年贈与の場合は、その年ごとの非課税限度額が110万なので、非課税限度額をある年度に110万を適用したとしても、翌年にはまた110万の非課税が使えます。

ですが、相続時精算課税の場合は、適用年度に非課税の最大金額である2500万を使ってしまったとすると、翌年では非課税金額が0円となる事に注意が必要です。例えば、5000万を相続時精算課税を適用した場合、1年目に2500万の贈与をしたとすれば、1年目は贈与税は0円となりますが、2年目は2500万の贈与に対して、贈与税が全額に対して課税されることに注意が必要です。また、贈与者が同じ場合に暦年課税制度と相続時精算課税制度を併用することは出来ません。

配偶者への節税対策

現預金を配偶者に相続しようとしていたとします。配偶者と相談し、相続の後は、この現預金は、相続の後の家を買う手段として使うことになっていたとします。

相続税では「配偶者の税額軽減」という措置があります。ですが、莫大な財産がある場合は、家に使う現金の他にも、相続で与える現金が多くあったとします。この場合、相続税での配偶者の税額軽減額を上回ってしまい、相続税が課税されるかもしれません。

そうならないように、あらかじめその使い道が、家であるということが分かっている場合なら、配偶者が贈与を受けた現金を家のために使うなら非課税になるという贈与税の制度があります。

【贈与税の配偶者控除を受けるための条件】

・婚姻期間が20年以上であること

・贈与を受けた資金が受贈者(贈与を受けた人)の住宅のために使われる資金であること

・贈与を受けた年の、翌年の3月15日までに住居に住んでおり、引き続きその住居にすむ予定であること

これらの条件を満たせれば、被相続人の生前に配偶者に資金を贈与し、かつ贈与税も相続税も0円とすることができます。

相続のときに、住宅のための資金として相続財産として受けてしまうと、全額に相続税が課税されてしまうので、贈与としたほうが配偶者間の場合は節税となります。ですが、他に相続財産がない場合は、現金を相続財産としても相続税の非課税内に納まる場合もありますので、迷われたときは税理士にご相談ください。

贈与税と相続税はどちらが得なのか?

一概には言えません。例えば贈与税のほうが相続税よりも税率は高いです。税率だけをみると相続税のほうがお得なような気がします。

ですが、財産には、税額を計算するときに、財産から控除できる金額というものがあります。配偶者の場合でみてみましょう。

相続税の場合、財産から控除できる金額の最大金額は1億6千万円(配偶者控除です。それに対して、贈与税は2500万です。ですから配偶者は、相続税の場合は1億6千万以上の財産を相続したときに、はじめて相続税が課税されます。それに対して贈与税では2500万以上の財産を得たときに贈与税が発生してしまいます。

また、こんなこともあります。莫大な財産を持っている人の場合は、相続だと税額の全部を一度に納税しないといけません。これに対して、贈与を毎年活用すると、毎年当たりの金額のトータルは贈与税のほうが高くつくものの、分割できるので負担感は和らぐかもしれません。

このように財産の状況や、納付状況などを配慮し、贈与にするか相続にするかを選択することをおすすめします。もし迷ってしまう場合は税理士に相談されることをおすすめします。

相続税と贈与税に関しての基礎知識

【相続税における遺産にかかわる基礎控除額】

3000万 + 600万 × 法定相続人数

ですのでお墓を生前に購入すると、相続財産の額が0円となるのに対して、お墓を生前に購入しない場合は200万が課税対象となってしまいます。

お墓を生前に購入するなんて縁起が悪いと思われるかもしれません。ですが寿凌(じゅりょう)と言って、古来の聖徳太子や秦の始皇帝なども生前にお墓を準備していたそうです。家内安全、長寿、子孫繁栄のご利益があるとされているので、縁起が悪いということではないようです。

相続開始3年以内に贈与した分を加算する「贈与財産の加算」

相続開始日というのは、財産を与える人(被相続人)が死亡した日のことです。相続は財産を与える人(被相続人)の死亡の日から開始すると考えます。

相続開始日が平成28年3月1日だったとします。この日から3年以内というと平成25年3月1日から平成28年2月28日までの期間に贈与を受けた場合、この贈与を相続開始3年以内の贈与ということになります。

相続開始3年前の贈与財産は、贈与税を納税し終わったとしても、相続財産として相続税も課税されてしまうんです。

しかも

相続税の額 ≦ 相続開始3年前の暦年贈与税で支払った額

だったとしても贈与税が還付されないんです。相続財産が少ない場合は、相続税を上回る贈与税の額は、納税者が損をすることになります。

例えば、相続税を0円にしようとして、すべての財産を贈与しておいて、贈与税を支払い相続税の租税回避をしようとしたのだけれど、贈与の最終年度に贈与した人が死亡してしまうと、その日から3年前までの贈与分についての、相続税を上回る贈与税は還付されないので、課税回避どころか損をすることになるということになります。

贈与税は2タイプあります。1つは通常の贈与で暦年贈与(暦年課税制度)と言われています。相続開始3年前の贈与で相続財産になってしまうという贈与は暦年贈与のことです。

どうして還付されないのかというと、贈与税は相続税の補完税なので、相続税の意図的な回避をする場合に贈与税が使われた場合、国は相続税を徴収できなくなります。ですから相続税と贈与税の両方を課税することにすれば、偶発的な贈与はともかく、相続税の課税逃れを贈与税でしたとしても、その財産には結局、相続税も課税されてしまうし、しかも贈与税で払い過ぎた分は還付されないので贈与税で相続税の課税回避を予防することが出来るからです。

例えば、病気の親で余命がもう長くはなく、莫大な財産の持ち主である場合は、相続人(財産をもらう人)の相続税を少しでも減らすために贈与税を毎年行って、相続税の課税逃れをするケースがあったりします。そういうことは大体、相続開始前3年くらいが一番多いことから、相続開始3年前の贈与財産には相続税が課税されることになっているようです。

こんな時にはどうするのか

まだまだ元気だけど少し心配な祖父母から贈与された場合

ではこのようなケースはどうなるのでしょうか?

例え話2)

おじいちゃんは今年95歳。だけど毎日ジョギングに読書に日々の暮らしを元気いっぱいに過ごしています。ですが、年齢的に少し心配です。この前おじいちゃんから先祖代々受け継いできた土地を5つほどあげると言われました。ですがもし、おじいちゃんが2年後に亡くなってしまったのなら、今年納税した贈与税は、相続のときに還付されないということなので、勿体ないと思います。

この様な場合、おじいちゃんの余命は誰にもわかりませんし、贈与税を通常の暦年課税で納付したとしてもおじいちゃんに突然、来年にでも、もしものことがあったのなら、その支払った贈与税分のうち、相続開始3年前の贈与に成ってしまった場合は、その贈与財産だった土地には相続税が課税され、しかも支払った贈与税が、相続税よりも多くなったとしても還付されないのなら、放置しておいたほうがいいのかな?だけど無申告加算税が加算されて納付しないといけなくなるのかな?など、迷いどころがたくさんあるのではないでしょうか?

贈与税は2タイプあるとお伝えしました。1つは通常の贈与で暦年贈与と呼ばれているものです。もう一つは、贈与でもらった財産も、相続の時に相続税だけを課税できるという贈与で、これを相続時精算課税といいます。

相続時精算課税

相続税だけが課税されるといっても、これは結果論ですので、実際は、贈与年度は、一律20%で贈与税は申告し、納税しないといけません。ですが、配偶者の場合は財産から控除できる金額は最大2500万円なので、通常の贈与(暦年贈与課税)の控除額110万円よりも大きくなります。

相続時精算課税は、財産を与える人(贈与者)が60歳以上であること、財産を受ける人(受贈者)は贈与の年の1月1日において、贈与者の子、または孫に限るというものです。つまり、高齢者の財産を円滑に相続に移行するためのシステムが相続時精算課税なのです。

相続時精算課税では、

支払った相続税 ≦ 相続時精算課税として支払った贈与税

の場合に、還付してもらえます。つまり、相続税だけを徴収されれば、残りは納税者の手許に戻るということになるシステムなので、結果的に相続税だけが課税されたということになる贈与税のシステムです。

遺産相続に関する困りごとは弁護士へ相談を

贈与の形は、財産、贈与時期など配慮することがたくさんあり、法的要素を伴います。
贈与税や相続税で迷った際に頼りになるのが「弁護士」の存在です。

法律のプロである弁護士なら、個々の状況に合わせて相談に乗ってくれるだけでなく、相続で起きやすいトラブルを未然に防いでくれます。

相続に詳しい弁護士に事前に相談しておくのがおすすめです。

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相続に強い弁護士

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古閑 孝 (弁護士)アドニス法律事務所

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