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【弁護士監修】法律事務所が考える「正しい遺言書」とは?そのために必要なポイントを解説!

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弁護士 古閑 孝 アドニス法律事務所

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更新日:2023年06月12日
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遺言書について、皆さんはしっかりと把握できていますか?

「遺言とは」

遺言とは、家族や友人など自分の死に関わりを持つ人たちに対して、自分が死んだ後、「こうして欲しい」という要望を伝えることであり、その要望を相続人に伝えるための文書を「遺言書」といいます。遺言書は、お亡くなりになった方の最後の意思であり、大変尊重されることとなります。

遺言はした方がいいか、しない方がいいかとよく聞かれますが、私は、「正しい遺言であれば、した方がいいですよ。」と答えます。正しい遺言と正しくない遺言があるのかと問われたら、「正しくない遺言があります。」と回答します。

正しい遺言とは

正しい遺言とは、相続人間に争いが起きないように、遺産の分配方法に配慮をした遺言です。更に、遺産の分配の方法だけではなく、相続人の方々に生前の感謝の気持ちを伝える「付言」などが残されていると、思わずウルっとさせられてしまいます。

テレビドラマなどでも時々やっていますが、遺産相続に関しての争いは、非常に多いと思います。「自分の取り分が少ない。」とか、「妹は、結婚して外へ出たのだから、相続させたくない。」とか、「長男ばかりが優遇されている。」とか、「自分が老後の面倒を看てきたのに、その分を考慮してくれていない。」とか・・・。バランスよく考えた遺言でも、トラブルの原因となることが少なくありません。

もちろん、相続人の全員が納得するような遺言など、できないのかも知れません。しかし、皆に気を配っているということが伝われば、多少の意見の相違があったとしても、うまくまとめることができるのではないでしょうか。要するに、「バランス」です。

非常によく見かけるのが、相続人中の特定の誰かに対し、偏った遺産を与えるという内容の遺言書です。特に、最後に同居をしていた親族に対し、偏った遺産を与えるという内容の遺言を残す傾向があります。これは、同居している親族が、そのように仕向けることが多いのだと思いますが、この遺言によって、裁判所が関与しなければならないような問題に発展するケースが非常に多いです。

法律では、同順位の相続人は、同一の割合で相続をする様に定めています。お父さんが亡くなって、奥さんと子供が3人いた場合、奥さんの相続分は2分の1。残りの2分の1を、子供三人が均等に分けることとなるので、子供1人の相続分は2分の1の3分の1となり、各自6分の1が相続分となります。奥さんがいなくて、子供3人が相続人である場合は、3分の1ずつとなります。

「嫁に行き、外の人間だから相続させない」とか、「長男だから全ての土地を相続する」とか、昔からよく聞く話です。昔は、「家」の存続に重きを置いていたので、そのような考え方が多かったのは事実です。しかし、法律では、同順位の相続人の相続分は同じです。長男も末っ子も、相続分は同じなのです。これを理解していないと、自分の死後に、相続人たちが悲しい争いをしなければならなくなります。そんなことを、望む人がいますか?

誰も争いを望まないはずです。だから、遺言は大事なことなのです。偏った遺言をしないように、くれぐれもご注意下さい。

遺言書には種類があります

次に、遺言の種類について、お話します。
遺言には、①公正証書遺言、②自筆証書遺言など、いくつかの種類がありますが、我々は、遺言をするなら、公正証書遺言をお勧めします。

皆さんは、公証役場とか公証人という言葉を聞いたことはありますか?

公証人とは、裁判官や検事を定年退職した人が、法務大臣に指名されて、その職に就きます。ですから、法律をよく知っている人たちです。この方たちが作成する書類は、私たちが書く書類と違い、公文書となります。

公証人が作った書類は、公正証書と呼ばれ、法律に則って作成されたものと認定されるのです。ですから、その内容が真実に相違ないものとの推定を強く受けます。自筆証書の遺言は、遺言無効の訴え等が起されることがあり、その信憑性に疑問がもたれる事が多いのです。

しかし、公正証書遺言は、公証人が作成した、いわば公文書なので、その真否が疑われることはめったにありません。ですから、遺言は、公正証書でとお勧めするのです。法律を良く知った公証人が、皆さんの話を聞き取り、相続財産を確認した上で、その分配を記載します。また、遺言執行者という、遺言書の記載を実現する人を選任しておきます。そうすれば、相続が開始しても、滞りなく遺産分割の手続が進みます。無用な争いを防ぐこととなるのです。

これに対し、自筆証書遺言というものもあります。これは、遺産の分配について、自分で書面を作成し、その日付と自分の名前を自ら記載し、印鑑を押さなければなりません。その要件を欠く遺言は、無効となってしまうので、注意が必要です。また、相続開始後は、自筆証書の遺言書を見つけた人は、家庭裁判所に対し、遺言書を提出して、「検認」の申し立てを行わなければなりません。家庭裁判所は、期日を定め、相続人を呼び出して、遺言書を皆に見せた上で、本人の自書に相違ないか否かを確認し、本人の印鑑に相違ないかを聞き取ります。その後、相続手続を進めるには、相続人の誰かが、遺言執行者を選任する申し立てを、家庭裁判所に対して行わなければなりません。

このように、自筆証書の遺言は、相続開始後に家庭裁判所に検認や遺言執行者選任の手続を申し立てなければならず、手続が煩雑です。このような手続が不要である公正証書遺言を、私たちは勧めるのです。

遺言書の検認の申立書の書き方・雛形・サンプル集

相続人の代表者「遺言執行者」の役割と必要な条件とは?

最後に…

相続に関する手続きに携わっていて感じることは、「おじいちゃんおばあちゃんは、段々わがままになる。」ということです。そして、皆に対して、いい顔をしたがります。皆にいい事を言うので、皆がそのつもりになり、いざ、遺言書の内容を知ったときに、「そんなはずはない。生前にこう聞いていた。」ということになって、争いが始まるのです。大切なことは、「よくしてくれないと、他の誰かにあげちゃうよ。」というそぶりを見せない事です。

遺産は、あると争いになる可能性があります。自分たちが苦労をして築いた財産を、子や孫に残したい気持ちも分かります。しかし、その財産が原因で家族の中が壊れてしまうのであれば、自分たちが使い切って何も残さないのも、一つの選択ではないでしょうか。

海外旅行へ行ったり、趣味を始めたりと、やりたいことを精一杯やって、それでも財産が残ったら、子供や孫たちに渡してあげる・・・。そんな考えが宜しいのではないかと考えます。

最初に申しましたが、遺産の分配方法を定めるのが遺言の大きな意味ですが、相続人の一人ひとりに対し、生前の思い出や感謝の気持ちを綴った遺言書には、本当に心を打たれます。また、そんな方が作った遺言書は、その後の争いに発展することはありません。

どうか、自分亡き後、残された子供や孫たちが仲良く暮らしていけるように、素敵な遺言書を残してあげて下さい。私たちは、そのようなお手伝いをさせて頂きたいと考えますので、いつでもご相談下さい。

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