遺産相続専門の弁護士検索・法律相談ポータルサイト

遺産相続の相談件数 6097

遺産相続に強い弁護士 207

知らないと損をする!相続税の基礎控除

4931 Views
更新日:2022年06月01日
知らないと損をする!相続税の基礎控除のアイキャッチ

基本的に人の死は悲しいことです。親しければ親しいだけ悲しみは強くなります。心的要素で言えば良い要素など一つもないことでしょう。

しかし、こと金銭的に要素、懐事情に限って言えば、後ろめたい限りですが、良いこともあります。

それは相続です。

残念ながら人はお金が無ければ生活出来ません。何をするにも、ただ生きていくのにもお金は必要です。中にはお金が必要ないとおっしゃる方もいらっしゃいますが、お金は多ければ多いほど良いというのは通年的考えです。

そして、相続ではある程度まとまったお金を受け取れることになります。決して褒められることではありませんが、相続が受けられると亡くなったことを喜び勇む方もいるでしょう。

しかし、小躍りして相続を喜んでいても、いざ受け取るとあれ?という事態になる場合があります。それは想定していた相続額よりも低い、または減額されている場合です。

後々必死になって調べても後の祭りで、後悔先に立たずとなってしまうことでしょう。そうならないためにも知らないと損をする相続税の仕組み、基礎控除について解説していきたいと思います。

相続は故人の想いを受け取る作業でもあります。ぜひともそうした想いを無駄にせぬように相続税の仕組みと基礎控除について覚えていってください。

遺産相続の仕組みと受け取れる人

相続の仕組み

相続をする際には、

「被相続人(=遺産を残して亡くなった方)から戸籍的に近い方が優先的に分配される」仕組みとなっています。

一例を挙げますと被相続人の配偶者(旦那または妻)、そして息子、娘などです。

相続する権利のある人(法定相続人)

相続する権利のある人を「法定相続人」と言い、基本的なルールとして民法で定められています。

様々な条件はありますが、基本的に「被相続人の配偶者は常に法定相続人となる」と覚えておけば大丈夫です。残念ながら兄弟や甥・姪は基本的に法定相続人の優先順位では下位扱いとなってしまいます。

故人の意志は遺言書で残すことで尊重される

この優先順位を左右するものとして、故人の意志を残した遺言書というものがあります。

「自分が死んだら財産はこうしてくれ」「誰々に分け与えてくれ」というものです。こうした遺言書を故人が用意していた場合は、この優先順位が変わる恐れがあります。

例えば、自身の死後、兄にすべての財産を与えるという様な旨を書き記した遺言書があるとします。

その場合は、恐らく相続財産の分配対象に兄も加わることになると思いますが、すべての財産をもらうことにはなる可能性は低いでしょう。というのも実務的なほとんどの遺産相続では遺産分割協議という相続人全員で会議をし分配を話し合うという工程を踏む必要があり、相続人全員の同意が必要だからです。

晩年を息子が手厚く看病したのに被相続人の兄にすべてを相続されたのでは、息子はもちろん、他の親戚筋まで反感を買いますね。そうした無用な争いが起こらぬように法的な面だけではなく、遺族それぞれの心情を汲み取った円満な遺産相続を促します。

ただし、全員が一致し、同意しない場合はこの限りではありません。

お金が増えるのと同じ意味!?重要な「相続税の基礎控除」

まず基礎控除とは、基本的に除外されるものを指します。

1000万円の遺産相続があり、200万円の基礎控除があるとすれば、1000万円から200万円を差し引いた800万円が税金の対象になります。つまり、税金を大元から純粋に免除してもらえる金額ということですね。

さらに噛み砕いた言い方をすると、1000万円相続するのに対して実質800万円を相続したことになります。

相続額が1000万円以上で相続税率が15%、相続額が1000万円以下で10%だった場合、基礎控除がない場合は1000万円×15%=150万円が税金です。ということは、相続1000万円-150万円=850万円しか手元に残りません。

基礎控除がある場合は、1000万円-200万円(基礎控除)=800万円、800万円×0.1=80万円が税金となり、手元には920万円も残ることになります。

何が言いたいかと言うと、基礎控除を受けることは税金の対象になる金額が減ることでお金をもらっているも同然であり、知らないということは大変に損をすることになるということです。

平成27年に変わった最新の相続税の基礎控除

平成27年に相続税の改正がありました。それよって最低限受ける事の出来る基礎控除は以下のようになっています。

3000万円+600万円×法定相続人

つまり、相続人が最低の1人でも3600万円は基礎控除を受けることができます。もはや一般家庭レベルの相続では、この恩恵を受けてしまえば相続税は発生しないと言えるでしょう。それほど大きなメリットなのです。

相続税の考え方

相続税は累進課税という制度になっており、相続財産のうち税金の対象になる総額によって、税率が変化し、その金額帯によって基礎控除以外の控除が設定されています。

相続税の税率に関する控除は、段階毎に分けられており、受け取る金額によって控除される額が異なります。相続人の受け取る額が1000万円以下の場合は、控除額が0の代わりに税率も10%と大変緩やかです。

しかし、6億円を超えるようなケースでは、税率が55%を超える代わりに控除額も7200万円と相当な効果を発揮します。逆を言えば控除を受けなければ6億円も5億2800万円しか受け取ることができないのです。

取得金額 税率 控除額
1,000万円以下 10% -
1,000万円超~

3,000万円以下
15% 50万円
3,000万円超~

5,000万円以下
20% 200万円
5,000万円超~

1億円以下
30% 700万円
1億円超~

2億円以下
40% 1,700万円
2億円超~

3億円以下
45% 2,700万円
3億円超~

6億円以下
50% 4,200万円
6億円超 55% 7,200万円

受け取る遺産が大きければ大きいほど、相続税の控除、または基礎控除は知らなければならない知識の一つということです。

まとめ

今回お伝えしてきた知らないと損をする「相続税の基礎控除」の知識。この知識を知っているだけですぐに遺産に対して税金が掛かるのか、またはどれだけ手元に来るのかをおおよそ把握する事が出来ますね。

相続額がわかるという意味もありますが、この知識を知っていれば相続金がはっきりとし、大変な事後処理のシミュレーションがしやすくなり、負担を楽にする側面もあります。

ぜひとも相続税には基礎控除と言う一定の税金免除額がある、さらに税金が掛かる場合も控除額が発生し、税金が緩和される場合があるというのを覚えて帰っていただければと思います。

後は相続の優先順位は基本的に配偶者が最も強いと覚えておいてください。

相続に強い弁護士

この記事の著者

編集部の画像

編集部

中立的な立場として専門家様と連携し、お困りの皆様へ役立つ安心で信頼出来る情報を発信して参ります。

この記事を見た人が見ている記事

【離婚歴がある場合は特に注意】遺産相続で注意すべきことの画像

2021年06月23日 8777 views

古閑 孝 (弁護士)アドニス法律事務所

義母が全てを相続させようとしてくれているが、何かいい方法はあるのか?の画像

2018年12月29日 7840 views

古閑 孝 (弁護士)アドニス法律事務所

相続対策をどの専門家に相談したら良いのか?の画像

2021年06月09日 2163 views

古閑 孝 (弁護士)アドニス法律事務所

遺産相続で「争続」に発展させないために対策すべきことの画像

2024年01月29日 460 views

編集部

問い合わせの多い相続税に強い弁護士

相続税に強い弁護士相談

問い合わせの多い相続税に強い弁護士

弁護士保険ミカタで高額な弁護士費用を補償