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【弁護士監修】【離婚歴がある場合は特に注意】遺産相続で注意すべきこと

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弁護士 古閑 孝 アドニス法律事務所

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更新日:2021年06月23日
【離婚歴がある場合は特に注意】遺産相続で注意すべきことのアイキャッチ

連れ子がいるご夫婦の相続の注意点

夫が5年前に他界しました。

わたしたち夫婦は再婚同士で、夫婦の間に子はいませんが、お互いに前婚の相手との間に子どもがいます。
わたしには、前婚の子が2人(長男A・二男B)いますが、2人共疎遠になってしまっており、今現在どこに住んでいるかもわかりません。

亡夫には子が3人(長女C・二女D・長男E)おり、夫の生前から実親子のように接してきました。特にCとDについては、わたしの面倒もよく看てくれていますが、Eは私たち夫婦に、再三にわたり金の無心をしてきて、それがキッカケで亡夫と大喧嘩をして、勘当同然で家を飛び出し、10年以上連絡も不通で、それっきりになってしまっています。

私自身も、Eについてはお金で苦労したので、なるべく関わり合いになりたくないというのが本音です。

わたしも高齢になってきたので、自分の死後のことを考え、遺言を遺そうと思っています。疎遠になっている実子たちではなく、わたしの面倒を看てくれるCとDに遺したいと思っています。そうしたところ、自宅不動産が亡夫との共有名義のままになってしまっていることを思い出しました。

夫の相続の際には、預貯金が数百万円ありましたが、そのお金は亡夫の生前に引き出していたうえで、亡夫の入院費用と葬儀代に充てていました。因みに私個人では、預貯金が2000万円ほどあります。
どうすれば、わたしの希望どおりに、財産をCとDに遺すことができるのでしょうか。

弁護士からのアドバイス

再婚をしている方の相続の場合、法定相続人の確定をする際に注意が必要です。

原則、被相続人の配偶者は、常に相続人となります。つぎに、子が第1順位の相続人となります。

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ところが、再婚相手と、前婚の相手との間に生まれた子については、実親の再婚によって当然に親子関係ができるわけではありません。いくらお父さん、お母さんと呼んでいても、法律上の親子関係はないのです。この場合、再婚相手と養子縁組を行うことで、初めて法律上の親子関係が生じることとなり、相続する権利が発生するのです。

したがって、ご相談者の場合、亡夫の相続については、ご相談者と、亡夫の前婚の子3人(C・D・E)が相続人となります。
一方で、今後、ご相談者が亡くなり相続が開始された場合、現状のままであれば、現在音信不通になってしまっている前婚の子2人(A・B)のみが法定相続人となることになるのです。現状のまま、遺言でCDを財産の受取人に指定すると、法定相続人ではない第三者が財産を譲り受けることとなるため「遺贈」となります。

遺贈の場合の相続税について

遺贈で譲り受けた財産にも相続税が適用されることとなりますが、相続税の基礎控除額や、生命保険金や死亡退職金の非課税限度額の計算などを行うにあたり、遺贈で相続財産を譲り受けた人は人数に含むことができなかったり、相続税を納税する際には2割加算されたりするなど、法定相続人が財産を譲り受ける場合と異なる点があることに注意が必要です。なお、上記のとおり、養子縁組をすることで、法定相続人と同じ立場になりますが、相続税の計算をするとき、法定相続人の数に含めることのできる被相続人の養子の数は、実子がいる場合には1人まで、実子がいない場合でも2人まで、と一定数に制限されていることにも注意です。

所在が不明な相続人がいる場合は

相続人が疎遠になっていたり、音信不通になっていたり、住所も連絡先も分からないというケースはよくあるようです。

連絡不通の法定相続人を無視して遺産分割を行うことはできませんし,遺言書があって、財産を遺す者を指定していたとしても、相続人に遺言書の存在を知らせる必要もありますし、相続の手続きを進める上では法定相続人の所在確認はどうしても必要になります。

通常、相続の手続きを行う場合、被相続人の出生から死亡までの経過の記載がわかる戸籍謄本を取得しなければならないことが多いです。それに併せて、各相続人の現在の戸籍も取得することができれば、そこの本籍地から戸籍の附票を取得することで、住民票をおいている所在地を確認することは可能です。ただし、戸籍の附票に登録されている住所は、あくまで住民票に登録されている所在地であり、住民票をきちんと居住地に合わせて登録していなければ、附票に書かれている住所=居住地とはならないことに注意が必要です。

特定の相続人が相続する場合には、遺留分も考慮する必要あり。

また、本件のご相談者のように、相続財産を特定の相続人、もしくは第三者に相続若しくは遺贈するような場合、遺留分についても考慮しておく必要があるでしょう。

遺留分とは、一定の条件を満たす相続人に対して最低限の遺産相続分を保証する相続割合のことで、遺言書の内容に関わらず保障されるものです。

相続人の遺留分を侵害する遺言も、当然に無効となるわけではなく、その遺留分を侵害された相続人が、自己の遺留分の範囲まで遺産の返還を請求する「遺留分減殺請求」が行使されるまでは、有効な遺言となります。しかしながら、遺留分減殺請求が行使されると、遺留分相当額の財産を返還することとなり、その返還しなければならない金額を巡って争いになってしまうケースも多いのです。

ついては、遺産を巡る争いを防ぐためにも、各法定相続人の遺留分を考慮した上で、遺言書を作成することをお勧めします。

今回のご相談事例の場合は、まずは5年前に他界されたご主人の相続について、音信不通になっているEの所在を確認した上で、不動産の名義をどうするかを協議する必要がありました。上記のとおり、戸籍を確認し、本籍地から戸籍の附票を確認したところ、現在の住所が判明しましたので、Eに事情をご説明したところ、生前に両親には散々迷惑をかけたから・・・とのことで、相続分については放棄されるとのことで、一旦すべてをご相談者の名義にすることで協議をまとめることができました。

その上で、単独名義になった不動産と現金2000万円をに遺す旨、遺言書を作成することとなりますが、その際、ご相談者の実子であるA及びBへの遺留分についての対策も検討し、遺留分相当額の現金をAとBにも相続させることで、その他の財産をCとDに遺す内容で遺言書を作成することとなりました。

今回の相談例のように、数年前の相続がそのままになってしまい、次の相続が複雑になってしまうようなケースも多く見受けられます。

相続に強い弁護士

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