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【弁護士監修】遺留分について詳しく教えてください。

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弁護士 古閑 孝 アドニス法律事務所

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更新日:2018年12月29日
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遺留分とは

相続財産の遺留分とは、残された家族(遺族)に最低限の相続財産を保証させれている権利です。(民法1028条)

亡くなった方(被相続人)の意思を尊重するために、遺言書の内容は優先されますが、「家族ではない赤の他人に全財産を全て譲る」という遺言書を遺した場合、残された家族は生活が出来なくなるという事態も有り得ます。あまりに不利益な遺言内容を防ぐために遺産相続の一定の割合を保証する制度が「遺留分」です。

遺留分の権利が有る方(遺留分請求権利者)

  • 配偶者
  • 直系卑属(ちょっけいひぞく):父母・祖父母など自分より前の世代で、養父母も含む直通する系統の親族 ※直通する系統とは、配偶者を含む父祖から子孫へ直通する関係

    例)父母、祖父母、配偶者の父母・祖父母など
  • 直系尊属(ちょっけいそんぞく):子・孫などの自分より後の世代で、養子を含む直通する親族。

    例)子、孫、養子

家族構成ごとの遺留分の具体例

配偶者のみ 1/2
子供のみ 合計1/2 ※子供2名の場合、1/2を2等分
配偶者と子供 配偶者:1/4

子:1/4 ※子供2名の場合、1/4を2等分
配偶者と父母 配偶者:1/3

父母:1/6 ※父母2名の場合、1/6を2等分
配偶者と兄弟姉妹 配偶者:1/2

兄弟姉妹:遺留分無し
父母のみ 父母:1/3 ※父母2名の場合、1/3を2等分
兄弟姉妹のみ 兄妹姉妹:遺留分無し

代襲相続による相続人にも遺留分の権利があります。

遺留分の対象になる財産

遺留分の対象となる相続財産は、亡くなった方(被相続人)の死亡時に有していた財産とは異なります。その対象は大きく5つです。

遺贈

遺言によって、遺言者の財産の全部または一部を相続人または相続人以外に贈与・譲渡すること。

一般的に遺言書では相続人以外の者に遺産を与える場合に「遺贈する」という表現をしますが、相続人に対しても遺贈することはできます。

死因贈与

贈与契約は生前に契約しておくものの、贈与者が亡くなった後に効力が生じます。

贈与契約には、相手(贈与を受け取る方)の同意が必要です。

遺贈と死因贈与の違い

遺贈はもらう人の意思に関係なく行われる贈与ですが、死因贈与は双方の合意(契約)に従って行われる贈与になります。

亡くなった方から生前に贈与した財産

相続開始前1年以内に亡くなった方から贈与された財産、1年以上前でも遺留分を侵害すると知って行われていた贈与。相続人に対してだけでなく、相続人以外の第三者に対して行われた贈与も含みます。

相続人が受けた特別贈与(特別受益)

生計の資本として受けた贈与分(住宅購入資金や結婚資金、事業を始める援助として受けた金銭)も含まれます

不当対価の行為

遺留分を害することを知ってなされた不相当な対価をもってした有償行為は贈与とみなされます。上記の財産から,相続発生時の負債(公租公課などの公法上の負債も含む)を差引いたものを基準に遺留分の計算をします。

遺留分を請求する「遺留分減殺請求(いりゅうぶんげんさいせいきゅう)」

遺留分減殺請求の仕方

「遺留分減殺請求」をすると意思表示をするだけで効力をがありますが、一般的には請求を証拠として残すためたに内容証明郵便(配達証明付)で行うのが良いと思います。

相手が請求に応じない場合、家庭裁判所に遺留分減殺の調停を申し立てをすることが出来ます。

遺留分を侵害する遺言であっても、遺言自体が無効になるわけではなく、遺留分を取り戻す権利を行使するかどうかは、各相続人の判断となり「遺留分減殺請求」を行使するまで有効な遺言書として効力があります。

遺留分減殺請求の期限

ここで注意しなければならないのは、遺留分減殺請求には期限があります。

遺留分権利者が相続開始や減殺すべき贈与・遺贈があることを知った時から1年以内に行使しない場合は時効によって消滅する。また、相続開始から10年経過したときも同様に時効となって消滅します。

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古閑 孝 (弁護士)アドニス法律事務所

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