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【弁護士監修】「相続」ってそもそもなんですか?弁護士がわかり易く解説

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弁護士 古閑 孝 アドニス法律事務所

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更新日:2018年12月29日
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そもそも「相続」とは?

「相続」とは、亡くなった人の財産を、誰かに引き継いでもらうことです。ですから、相続は誰にでも必ず発生するものだといえます。

相続の話をする際に、必ず知っておいていただきたい言葉があります。

被相続人(ひそうぞくにん)」という言葉です。被相続人は亡くなった人のことを言います。

そしてその財産を引き継ぐ人を、「相続人」といいます。被相続人の財産を引き継ぐ人は、法律で決められています。昔は「家督相続」といって原則として長男が財産を全部引き継ぐという制度がありました。

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しかし、それは不公平だということになり、民法が改正され、財産を引き継ぐ権利が認められる人が決められました。特別な事情がなければ、この人たちが財産を引き継ぐことになります。これを法定相続人といいます。

この「特別な事情」には、相続人の間で法律と異なる合意をした場合や、遺言書で指定されていた場合、相続人の方が亡くなってもういない場合などがあります。

誰が財産を引き継ぐ人なのか?

では、誰に「財産を引き継ぐ権利」が認められるのでしょうか?

法定相続人について

「配偶者(妻や夫)」

亡くなった方に配偶者(妻または夫)がいて存命なときは、常に配偶者が相続人になります。内縁の妻など、事実婚の場合には相続権がありません。事実婚の相手に財産を残すには遺言書を書いておく必要があるでしょう。

「子供」(直系卑属)

被相続人に子供がいる場合、子供が相続人になります。これを第一順位の相続人といいます。配偶者が存命であれば、配偶者と子供が相続することになります。子供が先に亡くなっていたら孫が代わりに相続人になります。子も孫も亡くなっていたら、ひ孫が相続人になります。これを代襲相続といいます。

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養子も実子と同じように相続人になりますし、婚外子であっても子に変わりありませんので相続人になります。離婚していて前の配偶者の間に子があるときはその子も相続人になります。再婚した相手の連れ子は、養子縁組をしていない限り、法定相続人にはなりません。

「父や母、祖父母」(直系尊属)

被相続人に子供も孫もいない場合、父母が存命でいれば父母が相続人になります。

父母は第二順位の相続人になるので、子供などの直系卑属がいない場合に限り、相続をする権利が認められます。父母が先に亡くなっていても祖父・祖母が存命であれば祖父・祖母が相続人になります。祖父・祖母も先に亡くなっていても曾祖父・曾祖母が存命であれば曾祖父・曾祖母が相続人になります。

「兄弟姉妹」

被相続人に第一順位の相続人である子供も孫も、第二順位の相続人である親も祖父母もいない場合、若しくは、いたがすでに亡くなっているという場合、兄弟姉妹が第三順位の相続人になります。被相続人に配偶者がいる場合は必ず相続人になるので、その場合、配偶者と兄弟姉妹が相続人になります。兄弟姉妹が先に亡くなりその兄弟姉妹に子供がいた場合、その子供が相続人になります。

そして、第三位順位の相続人の場合、代襲相続は甥・姪までで終わりです。甥・姪の子供たちは相続人となりません。

法廷相続人となるのは甥・姪までですので、被相続人に「いとこ」がいたとしても、「いとこ」が法定相続人になることはないです。

法定相続人に分ける割合

民法では相続人だけでなく、各相続人が相続する割合も決められています。法定相続人全員でそのように遺産を分けるかについての話し合い(遺産分割協議といいます)で分け方がすんなり決まれば法定相続分に従う必要はなく、配偶者が全部相続するというようなこともできます。しかし、遺言もなく遺産分割協議もまとまらない場合は、法律で決められている分け方(法定相続分)に従って分割をすることになります。法定相続分は、どのような相続人がいるかによって変わってきます。

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「配偶者がいない場合」

未婚の場合、配偶者が先に亡くなるなどでいない場合、同一順位の相続人が等分に相続します。たとえば、配偶者が亡くなっていて子供が三人いれば、各人三分の一ずつです。子供が亡くなっていたらその人の子供、つまり孫が代襲相続します。孫は子の分を孫の人数で割ったのが一人分です。ある兄弟には子供がたくさんいるからと言って、法定相続分が増えるということはありません。

「配偶者がいる場合」

相続発生時に配偶者がいる場合、配偶者のほかに誰が相続人になるかによって、配偶者の相続分が変わってきます。

1)配偶者と子が相続人の場合

配偶者が二分の一を相続し、残りの二分の一を子供で等分します。

2)配偶者と親が相続人の場合

配偶者は三分の二を相続し、残りの三分の一を父母で等分します。

3)配偶者と兄弟姉妹が相続人の場合

配偶者は四分の三を相続し、残りの四分の一を兄弟姉妹で相続します。

前妻との間の子にも相続権はある?

再婚した妻と築いた財産であっても、前妻との間の子に相続権はあります。渡したくないと現在の妻が言っても、子である限り相続する権利があるのです。たとえ遺言で「前妻の子には1円も渡さない」と書いたとしても、法律上最低限相続する権利が認められています。最低限の財産は相続したいといわれれば、分けなければいけません。

この最低限相続できる権利を「遺留分」といいます。

遺留分は、配偶者や子、親が相続人になる場合に認められ、被相続人の兄弟姉妹や甥・姪が相続人になる場合には認められていません。

遺留分の割合

最低限相続できる遺留分とは、どのくらい要求できるのでしょうか?

1)父母や祖父母だけが相続人の場合は、被相続人の財産の三分の一を相続することができます。

2)それ以外の場合は、全体で被相続人の財産の二分の一を相続することができます。

最低限相続する権利(遺留分)というものが認められていますので、事情のある方は事前に弁護士等に相談して、遺留分のことを考えた遺言書を作成しておくことが良いのではないでしょうか。

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古閑 孝 (弁護士)アドニス法律事務所

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