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相続税を少なくしてくれる!相続税の控除6つを覚えよう

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更新日:2022年01月05日
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相続税では1人1人の相続税額から、個人的事情により6つの税額控除という金額が税金から直接控除できるシステムとなっています。そこには贈与された財産が関係している場合もあります。今回は相続税の控除6つについて紹介いたします。

贈与税額控除

日本では1つの財産に2つの税金(相続税と贈与税)を課税するのをNGという考え方があります。ですから、贈与税を既に支払っているのに、相続税を課税した場合贈与税を相続税の額から控除することになっています。これを贈与税額控除と言います。

贈与税を先に支払って、後から相続税で課税したことにより2重課税となってしまうケースは2つあります。

  1. 暦年贈与課税の中で、相続開始3年前に贈与されて贈与税を支払った場合の贈与税
  2. 相続時精算課税で支払った贈与税

A.は生前贈与と呼ばれるものです。相続税では課税逃れ防止のため、相続開始3年前の贈与については、相続とみなして相続税を課税することにしています。

B.は相続時精算課税という贈与の形です。贈与された財産について、相続税で支払いますよという予約めいた贈与ということです。なぜかといいますと、相続税の税率のほうが、贈与税の税率よりも低いので、大きな財産の贈与を受けた場合は贈与税での税率で計算した税額よりも、相続税で計算した税額のほうが支払う金額が少なくてすむからです。

また、同時に相続税の計算における金額そのものを減らすためです。

また、贈与者(財産を与える人)が60歳以上であることから、年齢を召すと、相続の前に保有している財産を子や孫に自分が生きている間に譲り渡そうということが多いことから、贈与という形をとりつつ、税金は相続という形をとり、相続にスムーズにはいれるようになっています。

配偶者控除(配偶者の税額の軽減)

・1億6千万円

・遺産の額(D)のうち配偶者の法定相続分(E)

これらのいづれかの額を超えたとき、はじめて配偶者には相続税が課税されます。

配偶者の法定相続分の額というのは、財産の放棄をしていないと仮定した場合の人数で課税される遺産の額を按分した額ということです。

10万円をとりあえず5人でわけてみなさい。1人2万円ですね。ですが実際は2人で分けたとします。1人当たり5万円ですね。このときのとりあえずの人数が法定相続人、実際の2人で分けた金額が実際に配偶者が相続でもらった金額となりますので、(E)の金額は実際に配偶者がもらった金額とは違う金額となっていることもあります。

例えば、被相続人の遺産の合計が3億円だったとします。上記の遺産の額(D)というのは、この3億円すべての金額ではありません。遺産には遺産から控除できる額というものがあります。

【遺産にかかわる基礎控除額】

3000万円 + 600万 × 法定相続人数

ですから、相続人が配偶者と息子だった場合は、3000万円+1200万円=4200万を超える部分に相続税が課税されますので、3億 - 4200万 → 2億5千800万円に相続税が課税されます。

これが課税される遺産の額(D)です。

息子と配偶者の2人で、放棄はだれもしていないので、法定相続分は半分ずつになっています。ですから2億5千800万円の半分の金額である1億2千900万円が配偶者控除における判定要素となります。

この額よりも配偶者が実際に受け取った財産の額が大きくなければ、配偶者には相続税は課税されないということになります。

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未成年控除

控除を受ける相続人についての条件があります。日本に住んでいる場合はOKなのですが、日本に住んでいない場合は条件があります。

  • 日本国籍をもっている場合

    →5年以内に本人または被相続人(死亡して財産を分け与える人)が日本に住所をもっていたことがあること
  • 日本国籍を持っていない場合

    →相続で財産をもらったとき、被相続人が日本に住所をもっていること
  • 本人(相続人)が20歳未満であること
  • 法定相続人であること

    →放棄をしていても、未成年者控除は受けれるということ。例えば被相続人は債務が多かったので、子が相続の放棄をしたとします。ですが子宛てに、遺言がある場合は、放棄をしていても遺言の財産は受け取れます。この場合、未成年者控除は適用できるということになります。

未成年者控除の額 = 10万円 ×(20歳 - 相続人の年齢)

相続人が15歳2か月だったとします。この場合は、2ヶ月分は切り捨て15歳を相続人の年齢とします。ですから50万円が未成年者控除の額となります。

※平成26年12月31日以前の相続等の場合は、「年数1年につき6万円」となります。また、年数の計算に当たり、1年未満の期間があるときは切り上げて1年として計算します。そのため、相続人の年齢計算の時に端数は切り捨てて計算します。

障害者控除

障害者が相続人となって財産を受けとる場合にも、障害者にかかわる条件があります。

・85歳未満であること

・日本に住んでいること

→海外に住んでいる場合は適用がありません。

・法定相続人であること

→放棄していても、遺言等で受け取った財産に対して障害者控除が受けれます。

障害者控除の額→10万円 ×(85歳 - 相続人の年齢)

*特別障害者である場合は上記の金額は10万円→20万円となります。

相次相続控除

相続税は人でなく、財産に対して税金が課税されますので、一次相続と二次相続の期間が短い場合は短期間に2回も同じ財産に相続税が課税されることになってしまいます。例えば祖父と父の年齢が近く、祖父が死亡した5年後に父が死亡したケースなどです。このような場合、相続人の相続税への負担を減らすために、相次相続控除はあります。

条件としては、一次相続で相続人として相続税を課税された人が二次相続では被相続人となっていることや、一次相続と二次相続のスパンが10年以内であることなどがあげられます。また、対象者にも条件があります。それは相続を放棄した人には適用がないということです。これらの条件を満たせば、相次相続控除の適用が受けれます。

外国税額控除

外国にも相続税はあります。もし日本でも外国でも課税されてしまうと2重課税になってしまいます。そこで、日本の相続税の金額から、既に支払った外国税の額を差し引けるという外国税額控除があります。

外国で支払った税金を超えない範囲で、日本で支払った相続税の額から控除するというものです。

・外国で支払った税金の額

・日本で支払った相続税の額を、外国にある財産の総額が相続人たちが受けた財産の総額に占める割合で按分した額

どちらか少ない方の額が外国税額控除となります。

まとめ

いかがでしたか?相続税からダイレクトに控除できる控除6つなので、節税対策として活用していくことをおすすめします。ですが種類も多く条件などもありますので、迷われた時は、とにもかくにも税理士にご相談ください。

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相続相談弁護士ガイド 編集部

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