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資産数十億円? ビートたけしの「孫を養子に」は相続税対策だった!

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更新日:2018年12月29日
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画像:オフィス北野

2015年の2月に大変話題になったニュースがあります。それはビートたけしさんの「孫を養子にしたのは相続税対策だった」というものです。タイトルだけを見ても「え?どういうこと?」とチンプンカンプンですね。

そこで今回は、資産数十億と言われているビートたけしさんの取った相続税対策を明らかにしていきたいと思います。

世間的な倫理観を一先ず置いておき、お金の運用方法としてはバッチリの孫養子節税は、一般の方々も必見です。

そもそもどうしてそうせざる負えなかったのか、どんな節税になったのかということを順を追って説明していきます。また、相続税対策を通してビートたけしさんの人となりが見えてくるかもしれません。

「なぜ孫を養子にしたのか」

そもそも皆さんには孫を養子にするというのは大変奇妙な行為に感じるのではないでしょうか。世間では孫は孫、子供(養子)は子供ですね。

しかし、ことお金もちに限っては事情によって孫は息子、娘に成り得るのです。というのは遺産を残す方からすれば子供が増える=法定相続人が増えるというのはより多くの遺産を残せるということになります。

これは、相続税の基礎控除額というものが関係しています。基礎控除額とは、有体に申せば税金が発生する金額を免除される額です。つまり、相続税が100万円から発生するとしましょう。そして、基礎控除額が10万円です。

相続した遺産が100万円であれば、実際に受け取ることになった金額は100万円ですが、実務上は100万円-基礎控除10万円=90万円を相続したことになります。上記の例で言えば相続税が発生せず、額面すべてを受け取れることになります。

平成に27年に施工された法律の基礎控除額の計算式は、3000万円+600万円×法定相続人です。

もうお分かりでしょうか。そうです、ビートたけしさんはこの法定相続人を増やしたいがために養子縁組を組んだと言っても過言ではないでしょう。

つまり、彼の孫を養子にした相続税対策の正体は、法定相続人を意図的に増やし、基礎控除額を上げようというものです。また、基礎控除額が大きくなるということは、それだけ段階的に掛かる税率も変わります。

「実際の減税効果はどれほどのものか」

それでは以上を踏まえた上で、どれほどの減税効果を発揮したのでしょうか。

まず、ビートたけしさんの資産をわかりやすく1億円と仮定してみましょう。そして、彼には正妻以外との間にもお子さんを設けており、認知などややこしいので、孫を養子にして法定相続人を増やした場合と増やさなかった場合というポイントのみに焦点を当てて解説します。

つまり、お子さんが1人だった場合と2人だった場合で例題として比べさせていただきます。

特にも何もせず、法定相続人である子供が1人だった場合、基礎控除額の式にあてはめると3000万円+600万円×1=3600万円が基礎控除額です。ということは1億円-3600万円=6400万円が相続税の税金が掛かる対象になります。

次に孫を養子にし、法定相続人が子供2人だった場合、基礎控除額の式に当てはめると3000万円+600万円×2=4200万円が基礎控除額になります。ここだけでも600万円の節税になりますね。資産の額が額だけに少ないと感じてしまうかもしれませんが、世間一般では大金です。

実際はこれに遺言書の中身、法定相続人であろう配偶者などが加わってきます。また、前述した様に税率は段階毎に分かれており、6億円を超えると55%という最大の税率が掛かることになります。

彼の資産が約20億円、お子さんが3人と4人(孫→子)のケースで考えてみると、20億円を3人で分配するので、1人あたり約6億円以上受け取ることになり、税率も最大限掛かりますね。

対してお孫さんをお子さんにし、4人で分ける場合は、20億円を4人で分けることになるので、1人あたり5億円を受け取ることになります。税率もそれぞれ最大限の55%ではなく、50%の税率で済みます

こうして相続人を増やすということは幾多のメリットを享受する事が出来るのです。

「ただしデメリット的反動も」

こうして節税の面ではさすがのビートたけしさんという面ですが、その反面、実生活においてはやはり如何なものか、と考えてしまいます。

まず如何なものかという点は“孫であるのに娘になってしまった”ことです。

この養子縁組を組んだ孫と言うのは、ビートたけしさんと愛人の間に生まれた子だと言われている娘の子です。変な話、戸籍上では親と子が姉妹の様な関係になってしまいます。

そして、ビートたけしさんには他にも孫がいると言われており、前述の娘方の孫のみを特別扱いしてしまうことになります。当然、いい気はしませんし軋轢が生じますね。

出来るだけ子供、孫にお金を残してあげたい、自分の死後に苦労させたくないという想いがあったとしてもどうなのでしょうか。一概に良い、悪いと決めつけることは出来ませんが、正解だとも言えません。

もしも、ご自身で同じような節税を考えられる場合には、金銭的な面だけではなく、どうか後に与える本人と周りの心情的な部分を考慮して欲しいと思います。戸籍上だけ、実生活では通常通りに過ごすとしても奇異なケースであることに変わりはありません。

ただ、個人的な見解ではありますが、何も自身の富のためにどうこうしたわけではないでしょう。あくまでも多く遺産を受け取ることが出来るようになるのは、子供や孫です。

自身の富が増すというわけではありません。そうした意味でも子供、孫の可愛さ故の行動なのかな、と思います。

この記事の著者

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相続相談弁護士ガイド 編集部

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