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【弁護士監修】遺言書が無い場合、揉めないための遺産分割出来る方法4つ

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弁護士 古閑 孝 アドニス法律事務所

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更新日:2019年02月14日
遺言書が無い場合、揉めないための遺産分割出来る方法4つのアイキャッチ

遺言書が無い場合の相続について。
遺産分割の方法は4つあります。

遺産の分割方法は4つ

遺産分割を行う場合は、その前提として、相続財産を正確に把握し、その価額も算定しなければなりません。

そこで、ひと口に分割といっても主に4つの方法があります。

現物分割

「○○町所在の土地は、配偶者が相続する」「○○建設の株式一万株は長女が相続する」というように、相続人一人ひとりが取得する財産を具体的に決める方法です。

これを現物分割といいますが、一般に行われている遺産分割は、ほとんどがこの方法で、基本的な分割方法といえます。

共有分割

共有分割とは、各相続人の持分を決め「共有」で分割する方法です。共有とは、相続財産の現物分割が困難な不動産や動産において、他の分割方法も希望しない場合に、3分の2・3分の1のような割合で相続することができます。

例えば、1つの土地を相続人がそれぞれの相続分に応じた登記を行い、その土地を共有することをいいます。

ただこの共有分割は、特に相続財産が不動産の場合において、しばらくは「トラブル回避」になりますが、将来的にトラブルに発展する可能性があることを考慮しておいた方が良いでしょう。後々、共有しているが為に売却等を検討する際にトラブルに発展するケースもございます。

換価分割

遺産は、一筆の土地と一戸の家屋だけ、相続人は五人で、一円単位まで法定相続分どおり分けたい、という場合はどうすればいいでしょう?

一つの方法としては、土地家屋を法定相続分に応じて全員の共有とすることが考えられます。しかし、中には共有なんていやだ、という人もいるかもしれません。それなら、ということでとられる方法が換価分割です。

この方法は、相続財産の全部を処分し、金銭に代えます。お金であれば一円単位まで細分できますから、それを分け合えばお互いに満足するでしょう、というわけです。

ただし、土地や建物を売却すると、相続人全員に譲渡所得に対する所得税と住民税が課税されることになりますから、その分相続財産が目減りしてしまうことに注意が必要です。

代償分割

相続財産の大部分が農地などの事業用財産で占められている場合、後継者以外の者が相続してもあまり意味がありません。どうしても事業を引き継いだ相続人に全部を相続させる、となりがちです。

しかしながら、それでは事業を引き継いだ相続人以外の相続人の取得する財産がなくなってしまい、せっかく被相続人の事業を引き継いだにもかかわらず、他の相続人から「遺留分の侵害だ」と主張されてしまうこともあるでしょう。

そこで、特定の相続人、たとえば長男が全財産を相続する代わりに、それ以外の相続人には、長男から相続分に見合う金銭など、ほかの財産を与える方法があり、これを代償分割と呼んでいます。

代償分割で、注意しなければならないのは、代償する人、たとえば長男の支払い能力です。一時に全額の支払いができなければ分割での支払いも検討することとなることになりますが、いずれにしても、そもそもどの程度の支払いができるかを慎重に見極めなければなりません。

遺産分割協議が成立した後に支払いができないとなると、かえってトラブルの原因となってしまうからです。

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実際にあった遺産分割に関する相談

※以下実際の相談事例です。

「遺産分割をやり直したい」というご相談

親の相続について、長男が1億円の土地を相続し、二男は1億円の株式を取得するという遺産分割をしたところ、その後、土地は値上がりしていったものの、株式が暴落してしまいました。

そこで二男は、長男と同額の相続税を納税しているのに自分だけが大きな損失を受けたと主張し、元々の遺産分割が不公平だったのが原因だから、長男からもう少し遺産を分けもらうために、遺産分割をやり直ししたい

という相談が寄せられました。

回答

まず、遺産分割協議のやり直しは、相続人全員の同意があれば、法律上は可能です。したがって、今回の相談事例で言えば、長男の同意が得られれば、遺産分割をやり直すことができます。

しかしながら、税務上、問題となることがあります。それは、仮に再分割をし、長男から二男に財産の一部として不動産の持分を譲り渡したり、代償金として現金を渡したりしたとなれば、二男には、新たに贈与税が課税されることになるのです。

民法では、いったん有効に分割協議が成立すると、相続開始時に遡ってその効力が生じ、それぞれの遺産は各相続人の所有物として確定されてしまいます。

このような法的な効果からみると、遺産分割のやり直しは、確定した所有権を移転させることとなり、新たに財産のを移転させるとみなされてしまうことがあります。つまり、「遺産分割の修正」ではなく、その段階での「贈与の発生」になるわけです。

もっとも、当初の遺産分割に重大な瑕疵がある場合は別です。1億円の価値があるものとして二男が取得した株式の価額が、実際には5000万円であったというケースです。この場合は、遺産分割の前提となった財産価額の算定に重大な誤りがあったわけですから、再分割の正当な理由となります。そして、税法上も通常の遺産分割とみなされ、相続税の申告が済んでいれば、相続税の修正申告や更正の請求を行うこととなります。

しかし、あとになって株の価値が下がった、というのは理由になりません。したがって、相続人が2人以上の場合は、遺言書がない限り、相続後に遺産の分割という手続きが必要になります。そこで、遺産の分割時は公平であった財産の価額がその後の状況の変化で、アンバランスになる可能性があるため、遺産分割は十分に話し合い、慎重に行わなければならないのです。

遺産の分割とは

相続とは、被相続人の財産が相続人に承継されることで、その時期は、相続開始のとき、とされています。

つまり、ある人が死亡すると、その人の財産は、死亡と同時に、何の手続きもなしに相続人に移転するわけです。

相続ということは、そういうことですが、ただしこの状態では、相続財産全体を相続人が相続分という割合で互いに持ち合わせているにすぎません。一種の共有財産なのです。

そこで、相続後に個々の財産を、それぞれの相続人の所有物として確定する手続きが必要になってきます。これを「遺産分割」といいます。

分割はいつまでに行うか

民法には、遺産の分割について、いつまでに行わなければならない、という期限の定めはありません。「いつでも、その協議で遺産の分割をすることができる。」と定めているだけです。

このため、「相続から10年も経つがいまだに分割をしていない」とか、「自分の土地は30年も前に死んだおじいさん名義になっている」といったケースも多々あります。特に相続財産が不動産である場合には、相続した財産を処分するとか、それを担保に借り入れをするなどの事情がないかぎり、遺産分割協議を行って名義を変更しなくても、さほどの支障が生じないことも多いようです。

しかしながら、相続税が課税されるほどの財産があるような場合は、そんな気楽なことを言う訳にもいきません。相続税には、「配偶者は、法定相続分まで相続しても相続税はかからない」というような特例がありますが、この特例は、相続税の申告期限までに遺産分割が決まらないと受けられないのです。

したがって、通常の場合は、被相続人の死亡から相続税の申告期限までに遺産分割を行うことにしていますし、また、多少のトラブルがあっても、そのように努力をした方がいいでしょう。

困ったら弁護士に相談しましょう

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古閑 孝 (弁護士)アドニス法律事務所

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