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【弁護士監修】相続は突然訪れる!意外と相続税対策していない一般家庭が危ない!?

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弁護士 古閑 孝 アドニス法律事務所

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更新日:2019年04月15日
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ドラマでよくある遺産相続。遺産争族とも例えられるほど、相続人たちが繰り広げる相続にからむ骨肉を争うサスペンス。遺産相続はそれだけ人々の関心をよぶテーマなのです。ですがこれらの相続ドラマの大半は、大富豪の一家が設定されています。

だからうちは大丈夫!なんて思っていませんか?

相続は突然訪れるものではあるものの、相続が実際に生じても、お葬式などで相続が円滑に進まないのが現状です。そこで今回は相続対策についてご紹介いたします。

固定資産は現金化しておくと便利?

家、土地、骨董品、宝石、美術品などの固定資産。相続税評価額は時価をもとに計算されます。

現金よりも不動産が多いご家庭のほうが注意

お金はないけれど、不動産などの固定資産の金額が多いご家庭は相続でもめることも。なぜかというと、均等に相続をと考えられている場合、固定資産は現金のように分割できないからです。じゃあ固定資産は売却してキャッシュ化しておけばいいのでは?と思うかもしれません。

被相続人の財産が固定資産であり、相続人は固定資産が不要でキャッシュにしたい場合は、固定資産の売却による所得税、固定資産または固定資産を売却した現金を相続することの相続税の両方が課税されることになります。

このとき、「いつ現金化すれば節税になるのか」がポイントです。

現金化するタイミングに注意

被相続人の生前に、固定資産を現金化してしまうよりも、相続人に固定資産が移転されてから相続人が売却して現金化したほうが節税になります。

相続後3年以内に売却した場合は、固定資産の譲渡対価からその相続税の額が取得費とともに控除できるので、所得税の節税にもなります。固定資産の価値が高ければ高いほど、譲渡のときに譲渡対価から減額できる額(相続税額)も多くなるということで、相続人の負担が減るということになります。

ただ、固定資産が莫大な価値があり、その固定資産を相続人に均等に分けあいたいということであれば、被相続人(財産を与える人)が生きている間に、現金化してしまい、相続では現金を相続するという形をとるのもひとつです。

相続できるのは誰?

ここで相続人についてみていきましょう。相続人は誰でもなれるわけではありません。よくドラマで、愛人が妻の財産をすべてのっとるという場面があります。これは遺贈と言って、相続ではなく、被相続人(財産を与える人)の遺言によって財産をもらうことを意味しています。

相続と遺贈の違いをみてみましょう

遺贈・・・財産を与える人の意思が反映される。

・相続・・・法律で決められた血縁をもとにした財産分与の形

おじいさんは、子供達は皆忙しく、誰も介護をしてくれないので、老人ホームで一人ぼっちで暮らしていました。ただ、おじいさんは莫大な財産の持ち主でもありました。おじいさんはお隣のAさんにとてもお世話になっていました。留守宅の掃除、洗濯、食事の準備とおじいさんを介護まで手伝ってくれました。ある日、おじいさんは相続のことを思いました。Aさんは自分の子供ではないけれど、相続財産のうちの一部をお礼しよう。ですがAさんはおじいさんの相続人ではないので、財産をもらえません。そこで遺贈がでてきます。おじいさんの意思で遺言をAさん宛てに書けば、おじいさんの意思が反映されて遺言に書かれた財産はAさんに渡ることになります。「遠い親戚よりも近くの他人」という故事成語にもあるように遺贈は相続よりも効力があるという訳です。

相続には順位があります

相続の第1順位は配偶者

相続には順位があります。いくらおじいさんが子供達を可愛いと思っていても、奥さんにはかないません。配偶者はどんな場合でも相続人となります。

相続の第2位は子

子供達からみた場合、お父さんがすでにこの世におらず、お母さんだけだったとします。お母さんが亡くなった場合は、お母さんにはお父さんという配偶者がいないということになりますので、第2位の子に相続されることになります。このとき子供が2人いたとすれば、財産を2分の1ずつ均等に分けることになります。

第3順位は親や祖父母

今年58歳になるTさんは病のためにあの世へ旅立ちました。Tさんには10年前に亡くなった妻のKさんがいました。子どもは1人いましたが、5年前に亡くなりました。Tさんには母親がいます。このような場合、第一順位である妻、第二順位である子供のどちらもいないので、第3順位である母親がTさんの財産を相続することになります。

第4順位は兄弟姉妹

被相続人(財産を与える人)に配偶者、子、親がいない場合は、Tさんの兄弟姉妹が相続することになります。

孫は相続できないのか?

資産家のQさんは配偶者、子、親だけでなく孫にも財産を相続したいと思っていました。この場合、Qさんはどうすればいいのでしょうか?

相続財産として相続税はかかるけど、孫に財産が移転できる手段

贈与税のひとつである相続時精算課税を使うことが出来ます。

相続時精算課税の条件

相続時精算課税は財産を与える人が60歳以上、孫は贈与年度の1月1日で20歳以上であることが条件です。最大2500万円まで贈与税は非課税とできます。相続時精算課税というのは、贈与の1つです。

贈与をするということは、被相続人がまだ生きているときに孫に財産が移転できます。このときの贈与金額が最大2500万円までなら非課税となります。ですが、相続になったとき、このときの非課税であった贈与財産は相続財産として相続税が課税されます。つまり相続時精算課税とは贈与できるけれど、相続税は徴収されるというものです。

同じ2500万を孫に贈与または相続した場合の納税額を比較

相続税の納税額 367.5万円:税率15%

贈与税(特例税率)納税額 約1006万円:税率45%

贈与税(一般税率)納税額 1125万円:税率50%

同じ2500万円を孫に渡したい場合、相続税の対象となるだけで約600万円ほどの納税額が少なくなります。

たとえば、贈与した財産が5000万だった場合は、2500万円を超える部分は贈与税が課税されます。相続のときには、5000万に対して相続税が課税されます。このとき、支払うべき相続税から、贈与の時に支払った贈与税は、相続税の前払い金額として扱うことができ、贈与税の方が多かった場合は、還付も受けれることが特徴です。

これは一例であり、養子縁組制度を活用するなど色々なケースがありますので、迷ったときは税理士に相談されることをおすすめします。

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生命保険金は節税アイテム?

現金を相続財産として保有されている場合、相続のときに現金を相続財産とするよりも、生命保険金としておくほうが相続税の節税となる場合があります。

生命保険金はみなし相続財産として扱われます。このとき、生命保険金には被相続人(死亡した人)がいなくなったあとの、相続人たちの生活保障という面から、生命保険金にはある一定の金額(控除額)には相続税を課税しないという優遇措置があるからです。

【生命保険金の非課税金額】

500万円 × 法定相続人数

つまり、相続人が配偶者と子供2人だった場合、法定相続人数は3人となりますので、1500万円が非課税金額となるのです。

もし、現金だとそのまま全額が課税されてしまうので、生前から、生命保険金になるように積み立てておくのも相続税の節税の1つです。

現金も準備しておくべき?

うちには相続できる現金はないけれど、骨董品や宝石が沢山あるので、それを相続財産とお考えになっている場合です。実際に相続を受けた人は、相続財産から相続税を支払うことになりますので、ある程度現金化しておき、現金も相続財産としておけば、相続人は相続税の納税に固定資産を売却しなければなりません。

生前時に保有している固定資産をキャッシュ化するのもどうかとも思われますが、そろそろ相続だと思われるときは、現金の不足によって相続人が、相続税が支払えないということを回避するためにも準備するに越したことはないようです。

まとめ

いかがでしょうか?

うちは遺産相続の争いは関係ないと思っていても、少額の遺産でも争いは生じるものです。ですから生前から相続についての話し合いをしておくなどおすすめします。その際に迷われたときは税理士にぜひともご相談ください。

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