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【弁護士監修】エンディングノートと遺言書の違いと効力

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弁護士 古閑 孝 アドニス法律事務所

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更新日:2019年05月13日
エンディングノートと遺言書の違いと効力のアイキャッチ

分かりやすいエンディングノートを作成するには

内容・項目別に書くことが大切

自分の人生の記録や残された方へ生前に伝えたい事を記入しておく為にエンディングノートの作成を検討する方が増えています。

遺言書の様に、法的な効力は持ちませんが、遺言書より気軽に記入する事ができ、併せて残された方への思いも伝える事ができるいうメリットがあります。亡くなった本人しか知らない情報を残された方が調べあげるのは、とても大変です。

また、亡くなった本人の希望が分からず、スムーズに葬儀や埋葬の話が進まないという事もあります。そのような場合に、エンディングノートが役に立つ訳です。残された方が分かりやすいエンディングノートを作成するコツを説明していきます。

まず、使うノートについてですが、エンディングノートとして書店や文具店で入手する事ができます。また、葬儀屋さんが主催するセミナー等で配布されたノートを使う方もいます。大切なのは、書く内容と項目なので、どんなノートを使ってもいいのです。普段使い慣れている書きやすいノートを使うと最後まで楽に書き上げる事ができるでしょう。

エンディングノートに記載をおすすめする3つの項目

次に、書く内容・項目についてです。全体を大きく三つの内容に分け、それぞれの内容を細かく項目別に書く事によって全体をすっきり見せる事ができます。

自分自身と家族、交友関係

自分自身の事や家族や交友関係をはっきりさせる事が目的です。まず、基本情報項目として、自分の名前・生年月日・血液型・現住所・既往症をひとまとめにして書きます。

次に自分史項目として、学歴・職歴・これまで住んだ家の場所・思い出を書いておくと、残された方が人生を振り返る事が容易になります。最後に、家族・親戚・友人・知人項目として、家族や友人等の名前・住所・連絡先のリストを作成しておく事が重要です。

万が一の時に必ず会っておきたい人や葬式に呼んで欲しい人、特別な思いのある人などはその旨を書いておきます。

お金

自分しか知らない財産や保険、借金の情報を明らかにし、残された方が困らないようにする事が目的です。まず、財産項目として預貯金や株式、不動産等のプラスの財産を書くとともに、ローンや借入金等のマイナスの財産も正確に書いておきます。次に、保険・年金項目として、生命保険や個人年金・企業年金について保険金額や保険金の受取人の名前等も含めて書きます。

葬儀とお墓

自分がどんな葬儀や埋葬方法を希望しているのか伝える事が目的です。葬儀項目として、葬儀を実施するかしないか、業者や会場、葬儀費用、宗教・宗派、戒名・法名等の希望を詳しく書きます。お墓項目として、埋葬方法、お墓がある場合はその場所、お墓にかける費用等の希望を書きます。

このような3つの内容・項目別に分けて書く事が分かりやすいエンディングノートを作成するコツです。

エンディングノートと遺言書の効力の違い

遺言書とは、自分に何かあった時に財産をどうするのかという意思を書き残しておくものであり、法的な根拠があるために遺言者が亡くなった後に効力を発揮します。

一方、エンディングノートに、自分の財産を亡くなった後にこのように分けて欲しいなどと書いていても、法的な効力はありません。

両者とも、将来自分が亡くなった後の心配事を、取り除くために書くものであるということは共通しています。

死後に法的に有効な遺言書は、規定された書き方で作成されていない場合には、無効になる場合もあるので注意が必要です。数万円~の費用はかかりますが、万が一のリスクに備えるために、自筆証書遺言ではなく公正証書遺言にされることをおすすめします。

自筆の遺言書より確実!公正証書遺言の作成方法を伝授
遺言とは
自分が生涯をかけて築き、かつ守ってきた大切な財産を、もっとも有効・有意義に活用してもらうために行う、遺言者の自由な最終意思を確保...

公正証書遺言とは

公証役場の公証人の面前で、証人2人の立会いのもと、遺言者が口述した遺言内容を、公証人が遺言書として文章化した遺言のことです。

一方のエンディングノートについては、法的な効力がない反面、規定された書き方はありませんので、自分の考えや希望などを自由に書き進めることができます。財産の分け方だけではなく、希望する葬儀や供養の方法、延命治療などについても書くことができます。

最近では、終活と併せてエンディングノートの存在も広く認知されるようになりました。財産については遺言書で伝え、葬儀や供養などの希望や、余命宣告を受けた時、脳死状態に自分がなった時などの自分の考えを伝えるために、エンディングノートを使うというように、両方を組み合わせて活用されている方も少なくありません。

エンディングノートは、前述しましたように、書き方は自由で決まりはありませんので、普通のノートに書いてもかまいません。現在書店では、穴埋め式のタイプなど、さまざまな種類のエンディング用のノートが販売されています。そうした市販の物を利用すれば、簡単に整理立てて自分の思いを残すことができます。

自筆証書遺言にしろ公正証書遺言にしろ、残せる内容は限られてきます。残すことが難しい内容については、エンディングノートに残しておけば、遺言の内容を補完する役割を果たしてくれます。例えば、「〇〇さんにはこんな風にお世話になったから、遺産を残した」などとノートに書いておけば、法的な効力はないにしても、遺産トラブルを回避する役割を担うようになります。遺言者の思いを伝え、残された家族が納得する遺言書に、仕上げる手助けとなってくれるツールとなります。

財産目録も書きだしておきましょう

相続財産目録

最近では、終活という言葉が広く浸透し、それに伴ってエンディングノートの存在も知られるようになりました。エンディングノートに決まった形式はありませんので、普通のノートを利用されてもかまわないのですが、書店では穴埋め式タイプのエンディングノートなど、さまざまなタイプのものが販売されています。

エンディングノートには、遺言書のような法的な効力はないのですが、遺言書を作成する前段階として、ノートにご自分の財産を洗い出して書きだされている方も少なくありません。ご自分の正の財産だけではなく、負の財産も書きだすことがポイントとなります。知らないまま相続人を慌てさせることがないように、負債についてもノートに書き込んでおきましょう。

財産目録

預貯金をはじめとして株式や投資信託、さらには開設済みの銀行口座や証券口座についても記入しておくと、残された遺族は助かります。不動産についても書きだしておきましょう。1年に1回はノートを見直すようにし、資産に変化があった場合には書き直しておきましょう。

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遺言書に残せる内容は限られていますので、法的な効力はありませんが、遺言書を補完するといった意味でも、エンディングノートは大きな機能を持っています。例えば、遺言書の財産配分についての遺言者の想いを書きとめておくことによって、余計な遺産相続トラブルのリスクを回避することにつながります。

残された家族もエンディングのノートがあれば、故人の希望や想いを知ることができ、それらを叶えることが可能となります。形式は自由ですので、ご自分の葬儀の手順や葬儀に呼んで欲しい人、希望する棺やお墓の墓石のことなどを思いつくままに書きとめてもかまいません。

そうすることによって、自分自身の中で自分がどのような最期を迎えたいのか、自分の死んだ後に何が心配なのかなど、明確化することができます。葬儀に関してもしっかりと希望を書きだしておくことで、家族が困らなくて済みます。

できる限り残された家族に迷惑をかけたくないという想いは、終活をする人の共通した想いです。できる限りの想いをノートに書き留めて伝えることで、自分自身の後悔も少なくて済みます。

ちなみに、遺言書は死期が近づいた時に書くものだと思っている人もいますが、満15歳以上であれば誰でもいつでも用意することができます。さらに、何度でも修正や書き直しすることもできます。万が一に備えて、最近では若い人でも遺言書を作成する人も存在しています。

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古閑 孝 (弁護士)アドニス法律事務所

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