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【弁護士監修】揉めないための相続対策とは?相続人が未成年(高校生)だったら?

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弁護士 古閑 孝 アドニス法律事務所

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更新日:2022年05月18日
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漠然とした質問になります。

私は現在高校2年生ですが、最近やたらと相続という言葉を耳にするようになりました。私の父は75歳になります。父の最初の奥さんが亡くなり、母と再婚して私が生まれました。私には年の離れた異母兄弟が3人います。とても仲は良いのですが、皆結婚して子供が産まれると次第に私との距離は離れ、自分たちの生活で精一杯になっているようで、昔ほど交流がありません。

父は工務店を営んでいましたが、今は長男に譲り、いわゆる隠居生活ですが、役員報酬や年金があるので、私たちは十分に暮らしています。

私は父の資産がどの位あるか分かりませんが、友達からは「資産家」だと羨ましがられています。学生の私がお金の話をするのは見苦しいかも知れませんが、何だか急に心配になってきました。まさか、父には話せませんが、元気とはいえ父も75歳なので、あと何年かしたら亡くなってしまうと思うと気が重くなります。相続はやはり揉めるものなのでしょうか。高校生の私でも何か準備しておくようなことはあるのでしょうか。

相続とは

民法は「相続は、死亡によって開始する(第882条)と定めています。つまり、相談者のお父様はご健在ですから現時点では相続手続きには至りませんが、お父様の年齢を考えれば、いまから何かしらの対策を行うことは決して早くはありませんし、当然のことと考えてよいと思います。

立派な工務店を経営され、多くの資産をお持ちのお父様であれば、当然何かしら準備をされていると考えられます。あなたの取り越し苦労だとは思いますが、折角のご相談なので幾つかご説明致します。

法定相続人について

法で定められた一般的な配分ルール「法定相続分」

ご相談者の場合に沿って説明すれば、現時点でお父様の法定相続人は、お母様、そしてご相談者のあなたを含めた兄弟4人の計5人が法定相続人となります。そして、法定相続人の遺産の割合は、お母様が2分の1、あなた方兄弟4人が併せて2分の1の財産を4人で分けるので、1人当たり8分の1となります。

最低限もらえる相続分「遺留分」

これはあくまでも法定相続分なので、もし仮にお父様が遺言書を残し、お父様の意思でこの割合とは異なる遺産の分割をした場合には、法定相続人は、本来もらえる割合のさらに半分だけは権利として受け取る事が認められているのです。

仮に相談者に当てはめると、8分の1の半分である16分の1だけは必ず守られる相続分となるわけです。これを「遺留分」といいますが、これは侵害されていると分かった時点で、請求することが可能であり、請求しないでも自動的に受け取れるものではありません。

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遺言書について

「遺言書」は故人の最後の意思であることから、尊重されますが「私の全財産は末娘に」等と書かれていたら、納得出来ない兄弟もいるでしょう。それが全て認められてしまったら大変です。法律は故人の意思を尊重しつつ、残された親族のことも考え「遺留分」を認めているのです。

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未成年者の相続における注意点

高校2年生であるあなたは未成年者ですから、単独で法律行為を行うことは出来ません(相続も立派な法律行為です)。

未成年者のあなたが法律行為を行うには法定代理人が代理するか、あるいは法定代理人の同意が原則として必要となります。この法定代理人は通常親権者がなりますが、仮にお父様が亡くなった時にはお母様が親権者として法定代理人となり、お母様があなたの代理として法律行為を行うことになります。

しかし、同じくお母様もお父様の相続人である相続の場合に限っては、お母様があなたの法定代理人として相続の手続きを行うことは出来ません。

利益相反行為とは

利益相反行為とは、お父様が亡くなった場合、同じ相続人であるお母様とあなたが遺産分割協議をする際に、両者の間で利害関係が発生し、トラブルになる行為のことです。

例え、あなたとお母様の間が円満であても、お母様が法定代理人としてあなたの代理人になることは法律で禁じられています。

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相続とは相続人の間で故人(被相続人)の遺産をどのように分けるかの話し合いをすることであり、その結果人間関係に亀裂が生じ、泥沼の裁判に発展していく事は良くある話です。これが、ご相談者のあなたが心配している相続争いです。

いくら未成年であっても相続人として同じ権利を有しているわけですから例え親であっても同じ相続人には利害の対立があるものと考えられているのです。このような場合には、親権者は家庭裁判所に対して、特別代理人を選任してもらうための手続きを行わなければなりません。特別代理人には、叔父や叔母などの親戚が選任されることもありますが、場合によっては弁護士が選任されることもあります。余談になりますが、未成年者が2人いれば、特別代理人は2名選任しなければならず、これも必ず同じ人が特別代理人を兼任することは禁じられています。

まとめ

「相続」を「争族」と揶揄することがあるくらい、昔から相続に揉め事はつき物でした。相談者の心配は当然です。ましてやこれから大学への進学を考えているかも知れせんし、お金は非常に大切です。

しかし、今大切な事は、無用な噂話に惑わされず、しっかりと自分の考えを持つことです。例え未成年である高校生でも当然自分の権利を守り、主張することを忘れてはいけません。しかし、権利を守る事に固執し、人間関係が疎かになっては何にもなりません。

お父様は75歳、確かに世間では高齢であり、あなたがお父様と過ごせる時間は、廻りの友人と比べればきっと少ないかもしれません。しかし、その時間を大切にして、より良い親子関係を築いていくことが、今後発生する相続において、何者にも替えがたい実ととなる事は間違いないと思います。

無用な心配をせず、毎日を楽しく、親子孝行をいっぱいして下さい。必ず良い結果になることを願っています。

相続に強い弁護士

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古閑 孝 (弁護士)アドニス法律事務所

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