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相続放棄しても生命保険はもらえるって本当!?

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更新日:2020年03月31日
相続放棄しても生命保険はもらえるって本当!?のアイキャッチ

今回は、相続放棄関するお話「相続放棄をしても生命保険はもらえるの?」というよくある疑問

相続放棄をした場合、相続財産はもらえません。

ですが生命保険金は相続の放棄をしたとしても受け取ることができます。生命保険金を節税手段として使うメリットなどにもふれながら、生命保険金と相続税について紹介いたします。

相続を放棄しても生命保険金の受取人となれる理由

相続を放棄するということと、生命保険金を受け取るということは別の問題だと考えます。生命保険金は被保険者(被相続人のこと。財産を死亡後に分け与える人)の遺族の生活の保障という面を持っているからです。

相続財産というのは正の財産と負の財産があります。被相続人の借金などの債務は、相続財産から支払われると考えられます。ですが、もし被相続人の債務が多い場合で債務も相続しないといけないという状況になった場合、相続を放棄する相続人(財産を受け取る人)も出てきます。もし、このような理由で相続を放棄してしまった場合に生命保険金が受け取れないということになるのは、遺族の生活が保障されないということになってしまうからです。

法定相続人って何?

相続では、「相続人」と「法定相続人」という言葉がよく使われます。

相続には相続できる順位というものがあります。

・1位:配偶者と子

・2位:配偶者と被相続人の直系尊属(親や祖父母などの目上の人々)*子がいない場合に限ります。

・3位:配偶者と被相続人の兄弟姉妹 *被相続人に配偶者、子、親や祖父母がいない場合に限ります。

遺言書がない場合は、自動的に被相続人の財産は上記の順位で分割されることになります。配偶者は常に一番高い優先順位になっており、相続人となっています。

もし、第1位の配偶者と子が相続を放棄したとします。この地点で、第2位の親または祖父母が相続人となります。

このとき、もし財産を放棄していなければ、相続人は配偶者と子だったのに、ということになります。

・もし財産を放棄していなければ、相続人は配偶者と子だったのに→もし放棄をしていなかったら○○(ここでは妻と子)だったのに、という相続人のことを法定相続人と言います。

法定相続人とは → もし、放棄が無かった場合の相続人

ちなみに、もし放棄したのが子だけの場合は、相続人は第1位の配偶者1人ということになります。この場合は、相続人が1人(配偶者)、法定相続人が2人(配偶者と子)となります。

みなし相続財産とは?

相続財産には2種類あり、明らかに被相続人が保有している財産のことを本来の相続財産と考えます。

これに対して、生命保険金や退職金はどうでしょうか?どちらも被相続人の死亡が発生原因であると考える場合の生命保険金や死亡退職金のことです。この場合は、生命保険会社や会社から遺族に支給されます。つまり被相続人は一度も所有していないけれど、発生原因が被相続人となっていることから、遺族に支払われた生命保険金や死亡退職金は被相続人からの財産とみなされて、相続税が課税されるということになります。

このように生命保険金や退職金などをみなし相続財産と呼びます。

死亡保険金と解約返戻金

もし、被相続人の生前に、被相続人を被保険者とする生命保険だけでなく、妻に対しても妻を被保険者とする生命保険に加入していたとします。保険料負担者はどちらの生命保険も被相続人だったとします。

生命保険金と相続税の関係は、保険金受取人が受け取った死亡保険金のうち、被相続人が負担していた保険料の額にかかわる死亡保険金に対してだけが、相続税の課税対象となります。

100万円の死亡保険金を妻は夫の死後受けとったとします。保険料は夫と妻で半分ずつ毎月負担していたとします。このとき、相続税が課税される保険金は100万円のうち50万円だけということになります。

解約返戻金が発生するケースを紹介します。被相続人である夫は生前に、自分が死亡したときのために生命保険に加入しました。

・契約者:夫

・被保険者:夫(夫が死亡したら死亡保険金が発生するという保険契約)

・保険料負担者:妻と夫が半分ずつ

・保険料受取人:息子

このとき、夫が死去する前に、妻が死去してしまったとします。死亡保険金は夫が死去していないので発生しません。ここでは保険料負担者である妻が死去してしまいました。それから数年し、夫も死去してしまった場合、息子は生命保険金を受け取ることになります。

生命保険金についての(息子の)相続税の課税は、被相続人(夫)が負担した保険料にかかわる死亡保険金の部分のみでした。ですから、息子に課税される相続税は、保険金のうち、被相続人である夫が支払った保険料にかかわる保険金、つまり息子が受け取る生命保険金の半分の額に夫からの相続として相続税が課税されることになります。

では妻が負担していた部分にかかわる、息子が受け取った生命保険金は、すでに死亡した人からの贈与ということになってしまいます。死亡した人からの贈与なんて、なんだか怖いですよね。

そこで、妻が死亡したとき、生命保険料の負担者が死亡したときは、契約者に今まで死亡した保険料負担者が支払ってきた保険料が、相続財産として課税されるということになります。このときの額は解約返戻金の額となります。このとき、相続人となるのは契約者になります。この場合は契約者の夫が相続人となります。

妻が今まで(妻が死去するまで)支払ってきた保険料というものが、妻が死去したときに相続財産として契約者である夫に課税され、その額は解約返戻金の額となる、ということになります。

相続税の基礎控除と生命保険金の非課税額

生命保険金を受け取った場合は、非課税となる金額が一部あり、その額を控除した残額に相続税が課税されるという特典が、生命保険金にはあります。

【生命保険金の非課税額】

500万 × 法定相続人数

法定相続人数は相続を放棄しなかった場合の人数でしたね。ここで注意したいのが、相続を放棄した人は、生命保険金は受け取れるのですが、非課税の適用は受けれないということになります。ですから財産の放棄をした人で生命保険金を受け取った人はその全額が相続税の課税対象となります。

相続税の基礎控除とは何でしょうか?

相続税はある一定以上の金額でないと課税されません。なぜかというと相続税の基礎控除額というものがあるからです。

【相続税の基礎控除額】

3000万 +(法定相続人数 × 600万)

ここでも法定相続人数がでてきています。相続を放棄した場合でも、放棄がなかったときの相続人の人数がカウントされています。

ですから相続で放棄した人がいなかった場合で、相続人が2人の場合、被相続人の財産の総額が4200万未満であれば、相続人である2人には相続税は課税されないということになります。

まとめ

いかがでしたか?放棄しても生命保険金は受け取れるということ、法定相続人と相続人があるということ、解約返戻金にも相続税が課税される場合があるということなどがわかりました。生命保険については色々なケースがありますので、迷った場合は税理士にご相談ください。

この記事の著者

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相続相談弁護士ガイド 編集部

相続問題に関することを専門家と連携しながら情報発信しております。 悩んだり、わからないことがあるときは参考にしてください。 どーしてもわからない場合は、一度弁護士に相談するのもいかがでしょうか。

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