遺産相続専門の弁護士検索・法律相談ポータルサイト

遺産相続の相談件数 6097

遺産相続に強い弁護士 207

支払った後に相続税が戻ってくる「相続税還付」は、なんと平均1,200万円!?

9019 Views
更新日:2022年12月21日
支払った後に相続税が戻ってくる「相続税還付」は、なんと平均1,200万円!?のアイキャッチ

相続税の平均還付金額は1200万円にものぼるそうです。どうしてそのような莫大な金額が還付されるのでしょうか?

今回は相続税の還付についてふれながら、相続についての税理士選びについて紹介いたします。

相続税の平均納税額

相続税の平均納税額は約810万円だと言われています。

税金から相続で受けた財産を換算してみると、その額は1人あたり7500万円なのだそうです。相続は一生に一度しかないので、所得とはちがい、その財産の移転の額も大きなものになっているようです。

相続税には還付期限がある?

相続税を支払ってから数十年してから、還付金額が1200万円見つかったと言って、還付申請をしても還付が受け取れないという事態が発生したりすることもあります。それは相続税には還付期限があるからです。

相続税の還付期限は5年!

相続開始年度には、相続人(財産を受け取る人)が被相続人(死亡し財産を分け与える人)が死亡する日の1月1日から死亡日までの所得税を代理で申告・納付しないといけません。これを準確定申告といいます。

準確定申告の申告期限→相続人が被相続人の死去を知った日から4か月以内

年金収入では年金から所得税が源泉徴収されています。このときの源泉徴収の額は12月分の年金を受け取ったと仮定して計算した1月当たりの源泉徴収額になっています。ですが、相続により、12月分すべての年金を受け取っていないので、多く徴収されていることになります。準確定申告をし、還付申請をすれば、払い過ぎた税金還付されることになります。

【相続税は戻ってくる】

平成27年1月1日から相続税改正により増税となったため、相続税の対策をされている方が増えてきていますが、実は払い過ぎた相続税が戻ってくるという話はあまり知られていません。
「うちはプロの税理士に依頼しているから大丈夫ですよ!」
よく聞くセリフですが、税理士に依頼しない方はほとんどいませんし、実は相続税に慣れている税理士はごくわずかなのです。

以下で順を追って説明していきたいと思います。

【なぜ還付を受けられるのか?】

例えば医者であれば内科、外科、眼科などの専門があるように税理士にも得意不得意があります。
一般的な税理士は会社の顧問や個人の確定申告を専門にすることが多く、相続税を専門にする税理士は限られています。

税理士によって特に差が出てくるのが土地の評価です。
相続税に慣れていない税理士は普段、土地の評価に接することがほとんどありません。
土地評価の際に現地調査、役所調査を実施していないため、最大限の評価減をしていない場合が多く、税理士によって数百万から数千万の差が出ることが多々あり、場合によっては億単位の差が出てくることもあるのです。

相続税の見直しをする際には、まず机上で減額の可能性を検討し、必要に応じて現地調査、役所調査を実施し土地の利用制限、公法上の制限等の有無を確認し、実務上是認されている最大限の評価減要素を探して相続税を減額します。

【同じ土地でも価額がちがう】

土地の価格といっても、いろいろな視点から算定された額で設定されています。実勢価額というものがあります。実勢価額とは、実際に取引をするときに使われる価額で、売買取引価額とも言われます。その他にも土地の価額にはこのような種類があります。

・公示価額・・・不動産鑑定士の評価を参考にした国土交通省が発表する価額です。毎年3月下旬ころに発表されます。実勢価額の90%ほどで設定されています。

・路線価・・・国税庁が発表する土地1平方メートルあたりの価額で、公示価額の80%ほどで評価されます。決められた道路について、その道路に面している土地についてのみに適用がされます。

・固定資産評価額・・・市町村が発表する価額で固定資産税の計算要素としても使われています。実勢価額の70%くらいの評価額となっています。

相続税では、「路線価」または「固定資産税評価額」のいづれかで評価することになっています。固定資産税で評価する場合とは、路線価で定められた道路ではない道に面する土地などに適用されます。

実勢価額は時価でもありますので、時勢によってその額は上昇したり、下降したりします。

相続税の専門でない税理士さんの場合は、実勢価額で相続税の評価額として相続税を算出する場合があります。そのような場合で、土地の価値が高かったり、広大な土地であったり、土地の数が多い場合は相続税を支払い過ぎになりそのまま還付期限が過ぎてしまうということが起こります。

逆に、実勢価額が路線価や固定資産税よりも下がってしまった場合、実勢価額で評価した場合は、本来支払うべき税金よりも少なく支払ってしまっていることになるので、過少申告加算税などが加算されてしまうこともあります。

この様な理由から、相続や贈与をされる場合は、相続・贈与の専門の税理士にご依頼されることをおすすめいたします。

複雑な土地の相続は不動産鑑定してもらおう

相続税の土地の評価は相続税評価額で評価します。相続税評価額とは、路線価または固定資産評価額でするということです。

ですが土地によっては、複雑な相続の仕方をされる方もいます。例えば広い土地に家屋が3棟あり、それぞれの家屋を相続させる場合の土地の按分の仕方などです。このようなケースでは税理士だけでなく、不動産鑑定士による不動産の鑑定も取り入れられると、納得のいく相続になるのではないでしょうか?

【やらない理由はない?】

よくある質問として「前の税理士とは長い付き合いだから相続税還付の依頼をしたことがばれたくない」というものがあります。

これに関しては税務署に還付請求をする際に「税務代理権限証書」という委任状を添付しますので、税務署からの通知は全て新たに「税務代理権限証書」を添付した税理士にくるようになります。

そのため、相続人が自ら言わない限りはばれませんし、納め過ぎた税金を取り戻すだけですので前の税理士に後ろめたいものでもありません。
また、相続人同士で争っている場合には相続人1人で還付請求することも出来ます。

還付手続きに必要なものは「相続税申告書と添付書類一式」のみのためとてもかんたんです。
通常はファイリングして税理士から控えを貰っているはずですので、そのまま相続税還付専門の税理士に預ければ約10分の7の確率で還付されるため「戻ったらラッキー」という考えで可能性を試してみてはいかがでしょうか?

【相続税の見直しを躊躇する理由は全て勘違い】

納め過ぎた相続税を取り戻す「相続税還付」は非常に相続人の方から喜ばれるサービスですが、中には見直しをお願いすることに対して乗り気ではない。という方がいらっしゃいます。
それはなぜなのでしょうか?
理由としては全て「勘違い」であると言えます。

想定される勘違いには次のようなものがあります。

  • 面倒くさい
  • 税務調査が入ったのでもう税額が変わらない
  • 相続人から反対を受けているので手続きが出来ないと思っている
  • 最初の申告をお願いした税理士とは今後の付き合いもあるのでばれたくない

全て勘違いです!!
以下、順を追って説明したいと思います。

【面倒くさいと思うのは勘違い】

通常の相続手続きは財産の内容を調査して預貯金の残高証明書を入手し、戸籍謄本、印鑑証明書を入手して、相続人全員で分割協議をして…
とても大変な思いをしている方が多いため、「相続=面倒」という印象を持たれているのでしょう。
しかし、相続税還付では還付専門の税理士に「相続税申告書・添付資料一式」を預けるだけですので、実はかんたん過ぎるほどにかんたんなのです。
資料を預けるだけで、あとは還付専門の税理士が勝手に頑張って減額要素を探してくれます。

【税務調査が入ったのでもう税額が変わらないと思うのは勘違い】

税務調査は追徴課税を狙ってくるため、納税者が有利になるような減額要素はほとんど指摘してもらえません。
減額要素を見つけるためには土地の現地調査や役所調査をして手間暇をかけることになるため、税務署もそこまでは手が回らずに減額要素に気付いていないのが一般的です。
また、既に税務調査が終っているということは、これ以上増額になることはないと言えます。
つまり全くリスクがないため、相続税の見直しをする上ではこれ以上還付しやすいことはないというのが実情です。
税務調査が終っている方こそチャンスなのです。

【相続人から反対を受けているので手続きが出来ないと思うのは勘違い】

これも完全な勘違いで相続税還付は相続人1人で請求することも出来ます。
相続税は各相続人が各々納めていますし、還付請求をする際も各々が請求をする事になります。
還付を受ける話ですので出来れば相続人全員で手続きをすることをオススメしますが、もめている場合などには1人で還付請求することも可能です。

また、「勘違い」で反対している相続人がいる場合には、とりあえず1人で還付請求をしてみて、実際に還付に成功してから教えてあげるのも良いでしょう。

【最初の申告をお願いした税理士にばれると思うのは勘違い】

相続税還付の手続きでは、更正の請求書という書類を税務署に提出します。
その際に「税務代理権限証書」という委任状を添付することになります。
そのため、税務署からの通知も当初の税理士ではなく、新たに「税務代理権限証書」を添付した税理士に連絡が来ますので、相続人の方が自分から言わない限り当初の税理士に知られることはありませんのでご安心ください。

以上が一般的な「勘違い」となります。
相続税還付の除斥期間(時効のようなものです)は亡くなった時から5年10ヵ月となっています。

勘違いで、還付の可能性をつぶしてしまうのは非常にもったいないことです。
あなたの相続税は大丈夫ですか?

まとめ

相続税還付(相続税を取り戻すこと)の対象となる方は亡くなってから5年10ヵ月以内に相続税を納めた相続人となります。

実際に還付される確率としては10件中約7件ほどですが不動産を所有している方は特に確率が高くなります。

相続に強い弁護士

この記事の著者

編集部の画像

編集部

中立的な立場として専門家様と連携し、お困りの皆様へ役立つ安心で信頼出来る情報を発信して参ります。

この記事を見た人が見ている記事

遺産分割協議が終わっていませんが、相続税の申告は出来るのか?の画像

2021年03月10日 5927 views

古閑 孝 (弁護士)アドニス法律事務所

相続の際に、弁護士・税理士が必要なのはどのような場合か?の画像

2021年05月19日 4363 views

古閑 孝 (弁護士)アドニス法律事務所

問い合わせの多い相続税に強い弁護士

相続税に強い弁護士相談

弁護士保険ミカタで高額な弁護士費用を補償