遺産相続専門の弁護士検索・法律相談ポータルサイト

遺産相続の相談件数 6097

遺産相続に強い弁護士 207

【弁護士監修】離婚した元夫の父が亡くなった場合、相続の権利はあるのか?

この記事を監修しています
古閑 孝の画像

弁護士 古閑 孝 アドニス法律事務所

42214 Views
更新日:2024年02月10日
離婚した元夫の父が亡くなった場合、相続の権利はあるのか?のアイキャッチ

離婚した後の相続ってどうなるのか、今回は意外とよくある離婚後の相続についてのコラムです。
こちらの記事を読んでから弁護士に相談してみてはいかがでしょうか。

亡くなった義父(離婚した元夫の父)の遺産を相続する権利はあるの?

私は離婚をしています。

その元夫の父(義父)が亡くなりました。離婚した元夫も既に亡くなっています。

義母は健在で、元夫には兄と姉の兄妹もおり、共に健在です。

私と元夫の間には、子供が3人いますが、親権者は私です。

因みに、義父が住んでいた実家の土地建物の持分のうち、4分の3は義母の名義であり、現在も義母が継続して住んでいます。そのため、私たちが仮に相続人だったとしても、この不動産については相続することは出来ないのでしょうか?

法定相続人

法律では、相続が発生した場合に、争いが起きないように遺産を相続できる人を定めています。その人を『法定相続人』と言います。

また、法定相続人の相続割合についても法律は規定しています。

まず、配偶者がいれば常に相続人となります(民法890条)。

次に、子供がいれば、被相続人の配偶者と第1順位である子またはその代襲相続人(孫、ひ孫)が相続人となります(民法887条)。

子供や代襲相続人がいなければ、配偶者と第2順位である直系尊属(父母、祖父母)が相続人となります(民法889条)。

子供や直系尊属もいなければ、配偶者と第3順位である兄弟姉妹、相続開始時に兄弟姉妹が先に亡くなっていた場合は、その代襲相続人(甥、姪)が相続人になりますが、子供の場合とは違い再代襲は認められず、甥、姪の一代限りです(民法889条)。

ご相談事例は、誰が法定相続人?

被相続人の配偶者である義母が健在ですから「配偶者がいれば常に相続人となります」のとおり、義母は相続人です。

次に被相続人の子供にあたる、亡元夫の兄妹の兄と姉は相続人です。

そして、相談者とその子供たちですが「子供がいれば、被相続人の配偶者と第1順位である子またはその代襲相続人(孫、ひ孫)が相続人となります」に該当する子供たち3人は、亡元夫の代襲相続人ですから相続人となります。これに該当しない元妻である相談者は、相続人となりません。

子の親権が相続に影響すると考えている方は多いようですが、その子どもが親権を持たなかった方の親について相続人にならない、ということはないのです。

法定相続分

相続人が配偶者のみの場合、配偶者が100%。

相続人が配偶者と子供の場合、配偶者が2分の1、子供が2分の1(子が複数いる場合は、均等に分割)

相続人が配偶者と父母の場合、配偶者が3分の2、父母が3分の1(両親とも健在の場合は、均等に分割)

相続人が配偶者と兄弟姉妹の場合、配偶者が4分の3、兄弟姉妹が4分の1(複数の場合は、均等に分割)

例えば、配偶者と父母の相続の場合、配偶者が3分の2、父と母は3分の1を2人で分けるため、それぞれ6分の1ずつの相続分となります。

(民法900条)

相続の割合・配分は?家系図イラスト(図解)で法定相続分・遺留分の割合がすぐわかる!

100人居たら100パターンの相続があると言われており、割合で表せない思いや家庭環境がそれぞれある場合があります。

今回は、夫...

今回のケースでは、義母が2分の1、兄と姉が各6分の1、相談者の子供3人は各18分の1が法定相続分となります。

離婚した元夫の父が亡くなった場合の家系図

家系図

「特別受益」:生前にもらった財産を考慮する

遺産分割をするうえで、『特別受益』についてご説明します。

共同相続人の中に、故人から婚姻費用や事業資金の援助、住宅購入資金などについて生前贈与を受けたり、被相続人から遺贈を受けたりした者がいる場合に、これをまったく考慮せずに相続分を計算すると、相続人間で不公平が生じることになってしまいます。

そこで、相続分を計算する際に、故人から生前贈与や遺贈を受けた分を考慮することによって、相続人間での公平を図る制度を「特別受益制度」といいます。

しかしながら、この制度は、生前贈与されたり、遺贈を受けたりした額が、法定相続分より多くても返還を請求することは出来ないことには注意が必要です。

ただし、遺留分の侵害があった場合には、遺留分減殺請求することができますが、本件のような特別受益とは別の問題となります(因みに、遺留分とは故人の財産のうち、一定の相続人に必ず承継されるべきものとされる相続財産の一定割合の事をいいます)

今回のご相談事例では、元夫の兄は長男と言うことで、生前に被相続人より土地や住宅を購入する際の費用を援助してもらっていました。

特別受益:相続前に受けた経済的利益は相続時に調整される
生前に受けた特別な贈与や遺贈は、特別受益となり、特別受益分は相続時に調整され減額対象となります。
特別受益は相続の前倒し
結婚した時に親から...
住宅購入資金・結婚式費用など生前贈与は相続財産に含まれるのか?

遺産分割協議を行う中で、一部の相続人が、故人から、生前、もしくは遺贈によって現金や不動産等の贈与を受けていた場合、その生前贈与が争点にな...

遺産相続で寄与分・特別受益・遺留分などで複雑に揉めている
妹から突然、遺産である全ての現金を請求された
少し長文となりますが、遺産相続問題としては、家族が豹変することが稀にあります。
今回は、そう...

義母の住んでいる家について

義父が住んでいた不動産の土地建物の4分の3の持分は、義母の名義で、尚且つ現在も義母が継続して住んでいると言うことで、相談者としては、半分以上の割合を義母が持っているし相続は出来ないと考えていました。

ですが、この不動産においても、あくまで被相続人の持分については、遺産に含まれますので、遺産分割の対象となります。

しかし、義母が住んでいるこの不動産の被相続人の持分から、子供たちは相続してもメリットがないと考えるのであれば、義母に相続してもらいその他の遺産で平等になるように交渉をしてみることも一考です。

遺産分割協議

遺産をどのように分けるか話し合うことを、遺産分割協議と言います。

ご説明をしましたが、相談者の子供らは法定相続人ですから、この遺産分割協議に参加することになります。

また、わが国は法治国家であるため、法に反する行為をすれば当然に罰せられます。そのためか、遺言書が無ければ「相続財産は法定相続分どおり配分しなければいけない」と思っている人もいるかも知れませんがそうではありません。

相続人全員の合意があれば、遺産の配分は自由に決めることができます。

法定相続分というのは遺産をいくら承継できるかという権利の範囲であり、遺産配分の基準なのですが、どの様に配分し、分割を行うかは、相続人の自由です。相続人全員が納得すれば、どのように分割しても構わないのです。

相続人間で遺産分割協議を行い、協議がまとまれば遺産分割協議書を作成するのが一般的です。

しかしながら、当事者間で考え方に相違があれば、話がいつまで経ってもまとまらないということはよくある話です。

そのような場合には、裁判所にて遺産分割調停を行うこともできますし、弁護士に話し合いの代理を依頼することもできます。

未成年者を含む相続

ご相談事例では、子供たちは全員成人でしたが、相続人が未成年である場合、本人の意思によって遺産の処分行為(名義変更・解約・払戻しなど)を行なうことは出来ません。そのためには、親権者である母親が法定代理人となって進めていくこととなります。

(もし、何らかの事情で親権者がいない場合には、別途、家庭裁判所に申立をして、『未成年後見人』を選任する必要があります。)

※親権者と未成年の双方が法定相続人となる場合、親権者と子供の利益が相反する場合は、『特別代理人』の選任を家庭裁判所に申立てしなければなりません。

遺産相続に関する困りごとは弁護士へ相談を

遺産分割協議とは「相続人全員の合意があれば、遺産の配分は自由に決めることができます」と述べましたが、離婚した元夫の親族らとの協議は感情的な問題も発生し、いつまでも決着が着かないケースは珍しくありません。

そこで頼りになるのが「弁護士」の存在です。

法律のプロである弁護士なら、個々の状況に合わせて相談に乗ってくれるだけでなく、相続で起きやすいトラブルを未然に防いでくれます。

相続に詳しい弁護士に事前に相談しておくのがおすすめです。

弁護士費用が不安な方は"弁護士保険"の加入がオススメ

弁護士に相談する前に、弁護士費用が不安な方はベンナビ弁護士保険の利用を視野に入れてみましょう。

あらかじめトラブル発生する前に弁護士保険に加入しておくことで、いざという時の高額な弁護士費用を補償してくれます。

弁護士保険なら月々2,250円〜加入できるベンナビ弁護士保険がオススメです。

困ったら弁護士に相談しましょう

お住いの地域
相談したい内容

この記事の監修者

古閑 孝の画像

古閑 孝 (弁護士)アドニス法律事務所

相続は、どなたにも身近で起きる出来事です、しかし、感情で揉めてしまったり話し合いで解決出来ないことも少なくありません。 相続時には色々なトラブル・悩みが発生するものです、私の40年間という弁護士経験のを元に事例や状況に沿って対処法を電話でも解説可能...

この記事を見た人が見ている記事

「相続放棄」と「相続分の放棄」の違いの画像

2023年05月02日 13473 views

古閑 孝 (弁護士)アドニス法律事務所

多種多様な遺産相続。5分で基本をしっかり理解しよう!の画像

2022年06月15日 5164 views

古閑 孝 (弁護士)アドニス法律事務所

遺産相続で寄与分・特別受益・遺留分などで複雑に揉めているの画像

2021年11月04日 6214 views

古閑 孝 (弁護士)アドニス法律事務所

「争族」になる原因と揉める4つのポイントの画像

2024年03月28日 8285 views

白木 弘夫 (弁護士)しろき法律事務所

遺産相続で「争続」に発展させないために対策すべきことの画像

2024年01月29日 535 views

編集部

問い合わせの多い遺産分割に強い弁護士

遺産分割に強い弁護士相談

問い合わせの多い遺産分割に強い弁護士

弁護士保険ミカタで高額な弁護士費用を補償