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【弁護士監修】「争族」になる原因と揉める4つのポイント

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弁護士 白木 弘夫 しろき法律事務所

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更新日:2024年03月28日
「争族」になる原因と揉める4つのポイントのアイキャッチ

Q: 「争族」になる原因は何ですか?

A: 遺産相続において、家族・親族で争ってしまうことを揶揄して「争族、または遺産争族」と言われています。
揉めてしまう理由としては、遺産分割がいろいろな意味で「不公平」だからです。「特別受益」「寄与分」「遺留分」に注意しましょう。

揉める4つのポイント

相続人同士がもめる原因は比較的はっきりしています。詰まるところ、遺産分割のやり方が不公平であるというのがもめ事の主な原因です。婚外子(非嫡出子とも言い、認知されていない男女の子)の認知をめぐる争いや、親の会社・事業・商売を誰が継承するのかという事業承継をめぐるトラブルも少なくありませんが、結局はこれも遺産分割に関係していることが多いのです。

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遺産分割をめぐって、相続人の間でどんなトラブルが発生するのかを分類してみましょう。

1. 分割する金額・配分で揉める

まず、分割額をめぐる揉め事です。「相続人の遺留分、特別受益(生前贈与分)、寄与分を反映した分割額になっていない」というわけです。

遺言がない場合、遺産は法定相続分どおりに分割することになりますが、遺言で指定があれば基本的にそれに従う必要があります。ただ、その結果、相続人によっては法定相続分の半分である「遺留分」に達しない(遺留分侵害)状態になる場合があります。

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2. 生前に贈与された「特別受益」

次に、「特別受益」をめぐる紛争です。相続人によっては被相続人から生前、特別に贈与されているケースもあります。本来はこの贈与分を遺産額と合計した上で分割額を決めるほうがより公平と言えます。

もっとも、被相続人が特別受益分を相続人ごとに詳細に記録していれば、この受益分も計算に入れて(持ち戻しと言います)妥当な分割額を算出できますが、そのような記録がなかったり、被相続人が遺言で特別受益の持ち戻しをしなくていいと表明したりすることも少なくありません。この結果、相続人の間で金額をめぐる不満がたまってしまうのです。

特別受益:相続前に受けた経済的利益は相続時に調整される

3. 「寄与分」で揉める

「寄与分」でも、紛争が起こりやすくなっています。寄与分とは、相続人の被相続人への貢献分です。被相続人の財産の維持や増加について特別の寄与をした相続人がいる場合に、その相続人には遺産の分割に辺り、本来の相続分に加えて寄与分が与えられることが認められているのです。

ただ、寄与分は「特別の寄与」がないと認められません。民法では、寄与分が認められる要件として、

  1. 相続人が被相続人の仕事などに労働力を提供したり、資金など財産を提供したりした
  2. 被相続人の療養や看護をした
  3. その他の方法で被相続人の財産の維持、増加に特別に貢献した

などをあげています。寄与分の算定基準は、法令や家庭裁判所の調停例、審判例や裁判所の判例などで積み重ねられています。ただ、家庭裁判所に判断を求めても認められないことも多く、認められても「この程度か」というケースが少なくないのが現状です。

それでも遺産分割の現場では、相続人の1人が寄与分に言及すると、「我も我もと言い立てる」傾向が見られます。中には、親への仕送り程度の額を寄与分と認めるよう求める相続人も少なくありません。寄与分をめぐり紛争が複雑化するのは子供の配偶者の存在です。法定相続人になれるのは原則として配偶者、子供、父母、兄弟姉妹です。法定相続人であれば、遺言がない場合は法定相続分の遺産をもらえますが、子供の配偶者は例えば義父の介護で貢献したとしてもそもそも法定相続人ではないので、寄与分は原則発生しません。

いずれにしても、寄与分が認められる人がいればそれを一定の基準で分割額に上乗せすることがもめない遺産分割の要諦の1つなのに、そうなっていない場合が多いのです。

寄与分:故人が生前中に貢献してた人は相続分に影響する

4. 分割する資産の種類で揉める

ついでは、分割で取得する資産の種類をめぐるトラブルです。「本当は現金で分割を受けたかったのに、山林を割り当てられた」「親が住んでいた家に住み続けたいのに、兄弟が家を売って現金で分割しろと言っている」といったもめ事です。

現実に起こっている具体的なトラブルは「分割額」「分割資産の種類」をめぐる相続人の間の不協和音を軸として、「兄が勝手に遺産を売却した」「母の世話をすることを条件に親の家を相続した兄が約束を守らない」といった相互不信がトラブルを増幅する形で展開されているといえるでしょう。

遺産分割:遺産の分け方には4つの手続き、5つの分割方法がある

相続に関する困りごとは弁護士に相談を

相続はさまざまな専門知識が必要で法的要素を伴います。少しでも不安なことがあれば、弁護士へ相談してみましょう。

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白木 弘夫 (弁護士)しろき法律事務所

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