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【弁護士監修】相続時、借金が多かった場合のみ相続しない「限定承認」の手続き方法とは?

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弁護士 古閑 孝 アドニス法律事務所

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更新日:2018年12月29日
相続時、借金が多かった場合のみ相続しない「限定承認」の手続き方法とは?のアイキャッチ

ネットで「限定承認」というのを見たのですが、どのような手続ですか。

とあるQ&Aサイトで、相続に困った方が投稿されていました。今回は「限定承認」という制度について触れていきます。

まず、3つの相続の方法を押えておきましょう

「限定承認」という言葉が出てきましたので、この「限定承認」を含めて、まずは相続の方法を確認しておきたいと思います。

まず、相続は被相続人が死亡して開始されます。そして、その相続種類として主に以下の3種類があります。

単純承認

単純承認とは、相続人が被相続人の財産を全て相続することであります。

この財産とは、不動産や預貯金など、いわゆるプラスの財産だけではなく、借金などのマイナスの財産も全て受け継ぐことになります。

単純承認をする場合、特に届出などの手続は必要なく、自動的に承継されます。

それを踏まえて、下記のような場合が生じたときは、民法第921条では単純承認したものとみなすと定めています。

1.相続人が相続財産の全部または一部を処分した場合

2.相続人が、相続が開始されたことを知った時から3ヶ月以内に「限定承認」または「相続放棄」をしなかった場合

3.相続人が「限定承認」または「相続放棄」をした後でも相続財産の全部または一部を隠匿したり、消費したり、悪意で相続財産の目録の中に記載しなかった場合

相続放棄

相続放棄とは、相続財産を引き継ぐ権利を放棄することです。

これは、プラスの財産もマイナスの財産も全て手放すことを意味します。

この手続は、被相続人が亡くなったことを知ったときから3ヶ月以内に家庭裁判所で手続をする必要があります。

法定相続人が複数いたとしても、一人で相続放棄をすることができます。

ただし、相続放棄の手続を行うと撤回することは一切できません。

仮に後から多額の資産が発覚した場合でも、その財産を受け継ぐことができないということになります。

また、相続放棄をすると、相続に関する権利や義務は他の相続人に受け継がれていきますので、もし、相続人が相続に関わりたくない場合は、第一順位(被相続人の配偶者、被相続人の子)、第二順位(被相続人の父母、祖父母)、第三順位(被相続人の兄弟姉妹)までの全ての相続人が相続放棄の手続を行う必要があります。

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限定承認

限定承認とは、相続財産の範囲内のみで債務の承継をするという条件付の相続をいいます。

被相続人の財産には、不動産や預貯金などプラスの財産もあるけれども、借金などのマイナスの財産もあったとします。

しかしながら、借金額がどれくらいあるのかわからない場合に、相続財産の範囲内で借金などを清算し、残りの財産があれば相続するという制度です。

例えば、プラスの財産が500万円あり、マイナスの財産が分かっているだけで700万円だったとします。

限定承認の手続を行うと、法定相続人はマイナスの財産を500万円だけ返済する義務が発生しますが、残りの200万円は返済する必要がなくなるという風になります。

ちなみにこの手続は、被相続人の最終住所の管轄をしている家庭裁判所に申述して行います。

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実は難しい限定承認

上記の③で説明しましたが、一見やりやすそうな手続に見えますが、実はこの手続、実際に行われた件数としては圧倒的に少なく、とても使いづらい制度なのです。

その手続の条件として更に説明しておきたいと思います。

①この手続をする場合には、亡くなった方の財産を一切使ってはいけない

被相続人が突然亡くなれば、葬儀を執り行わなければなりませんね。残された方に手持ちの現金があればそれで賄えばよいのですが、現金がないけれど、被相続人名義の預金にはお金がある。本人の葬儀だから良かれと思い、たまたま被相続人の口座はまだ凍結されず引出しが可能であった、そんな状況であればついつい現金を引出して葬儀費用に充ててしまった。

このような場合、使い道はどうであれ、被相続人の遺産を使ってしまったので、原則として、遺産を相続した(つまり単純承認)とみなされてしまいます。

ほかのケースですと、被相続人が負っていた負債の返済のために、被相続人の家財(不動産など)を売って返済に充てたなんていう場合も、同じく単純承認としてみなされてしまいます。

そうすると、上記のような状況を作ってしまうと、原則、相続放棄や限定承認の手続ができなくなってしまします。

ただ、限定承認ができるかできないかを判断するのはあくまでも家庭裁判所が決めますので、実務上では、葬儀代だけを使っただけであれば(葬儀の規模にもよりますが)単純承認したとみなされない場合もあるようですので、一概には言えないのも実情です。

②とにかく申請できる期限が限られている

限定承認の申請ができるのは、相続の開始(つまり、故人の死を知ったとき)から3ヶ月以内と定められております。

原則は、この期間以内に申請をしないと手続は認められません。この期限を過ぎると単純承認したものとみなされ、全ての財産を相続することになってしまいます。

ただ、家庭裁判所の判断で認められればの話ではありますが、例外もあります。

裁判所の公式ホームページにもありますように、「相続人が、自己のために相続の開始があったことを知ったときから3か月以内に相続財産の状況を調査してもなお、相続を承認するか放棄するかを判断する資料が得られない場合には、相続の承認又は放棄の期間の伸長の申立てにより、家庭裁判所はその期間を伸ばすことができます。」とあります。

③限定承認は相続人全員で行わないといけない

この手続は、相続人全員が共同して行わないといけません。

複数の相続人の中で一人でも欠けては行えない手続なのです。期限も限られているので、その短い時間で相続人で話し合って申請するかどうかを決めなくてはならないのです。

以上のように、限定承認については、様々な条件があり、その手続ができるかどうかは各家庭裁判所の判断となるためやはり素人では難しいところであり、実務上でも簡単にはいかないのが実情です。

もし、ご自身の相続問題で、限定承認の可能性があるのであれば、まずは専門家にご相談されるのが最良です。

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